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続・39話 ナイトメアバトル(中篇)

「今の内に残りの魔力を確認する! ステータスッ!!」


今の魔法と剣閃で結構消費した気がするからな。最後の最後でガス欠なんて勘弁だ。


俺は現れたステータスの生命力と魔力だけを素早く確認した。




名前:佐々木 流星


レベル:91(ブースト中+10)


生命力:1070/1680(ブースト中+870)


魔力:602/1035 (ブースト中+630)




ん? ブーストって何だ? なんか知らんがステータスが上がってやがる・・・って、今は検証してる場合じゃねぇ!! とにかくまだ戦えそうだな!!


「もっと飛ばせシューティ!!」


《はい!! クッ、向こうも早い!!》


クッソ、魔法を使える様になるまでは良かったが、何か知恵は無いか? これ以上飛ばすと戦う為の魔力が・・・あ、そうか!? 分からないなら聞けばいいんだよ! 俺には頼りになる相棒がいるじゃねぇか!!


「『万物の理を翻してここに奇跡を願う! 力を食らいて出でよ! 『相棒召喚オリビア!!』』」


俺が呪文を唱えると後部座席が光り、それは次第に人型になって、光の後には俺の頼りになる相棒オリビアが寝ぼけ眼で座っていた。


「あ・・・リュウセイ・・・おはよ・・・」


「寝ぼけてんじゃねーーーー!!! 起きろ、そして状況を把握しろ!!」


「ふえ? ・・・え? ええぇぇぇええええっ!!!??? ちょっとリュウセイ!! ここは何処よ!? 何で私はこんな所に居るの!?」


「ここは俺の精神世界らしい!! 魔王に引きずり込まれたみたいだ!! あいつらを倒せば俺は晴れて自由の身になれる!! 理解したか!!」


シューティに乗ってブッ飛ばしているせいで、怒鳴らないとお互いの声が聞こえないが速度を緩める訳にもいかないのでしょうがない。


「わ、分からないけど、分かったわ!! それでどうするの!!」


「俺がそれを聞きたいんだよ!! シューティもこれ以上飛ばすと戦う為の魔力が足りねぇ!! お前の力と知恵を貸してくれ!! オリビアッ!!」


「! ま、任せなさいよ!! 私がアナタを勝たせてあげるわ!! リュウセイッ!!」


嬉しい事言ってくれるじゃねぇの。へへ、正にラストバトルってノリだな。嫌いじゃないぜ、こういうの。


意気燃えるオリビアは気付いていないんだろう。自分が今下にパンツしか履いてない事に。今取り乱されても困るから俺は指摘しないよ?


「シューティ!! 私も魔力を送るから、それでもっと飛ばして!!」


《崇高なマスターの魔力に雑味を混ぜるのは嫌ですが・・・仕方ない、今だけですよ!!》


オリビアが魔力を送り始めた途端、今までの速度が更に倍ほども早くなった!! うぉぉおおおお!!! これ600キロ以上出てるぞぉぉぉぉおおお!!!


《フフフフフ!! 行けます、行けますよマスター!!! スピードの向こう側に!!!》


ヤメロ!! それはきっと死亡フラグだ!!


「追いついたら魔王を先に狙うわ!! 聖剣を持ってない勇者よりも魔法を使う魔王を先に仕留めるわよ!!」


「了解だ!!」


チッ、尻込みしてる場合じゃねぇや!!


俺は更に速度を上げると、猛然とセルフィを追い上げ始めた。








「追いついたぜ!!」


「なっ!? は、早い!!」


セルフィは自分の飛行魔術に相当自信を持っていたみたいだが、相手が悪かったな。今の俺達から逃げるんならエアフォース・ワンでも持って来やがれってんだ!!


「オリビア、一気に仕留める!!」


「援護するわリュウセイ!! 『穿て矢よ!! 『魔法のマジックアロー』!!』」


オリビアが呪文を唱えると、開いた手の先から光る矢が高速で放たれた。おお、いかにも魔法って感じでカッコイイじゃねぇか!!


「まだまだ!! 『最大化マキシマイズ』!! 『追尾ホーミング』!!」


オリビアが更に呪文を立て続けに唱えると、矢の数が一気に10倍以上に膨れ上がり、しかも外れた矢がまた引き返してシリューとセルフィを何度も襲い掛かっている。


す、スゲェ。100本以上あるんじゃねぇか、アレ。・・・もしかしてオリビアって結構凄い魔法使いなのか?


「あ、あら? ・・・なんでこんなに矢が出たのかしら?」


・・・いや、違うみたいだ。この結果に一番驚いているのは本人みたいだしな。もしかしたらオリビアにもブーストとかいうのが効いてるのか? ・・・となると原因はアレだな。宿の毒料理だ。いわゆる料理ブーストってヤツだろう。効果時間が長い上に強力過ぎると思うんだが・・・


「な、なんだこの矢の数は!? クッ! 避け切れん!!」


「下ろせセルフィ!! これ以上は逃げられん!! ここを決戦の場と定めるぞ!!」


「分かった!! 『羽よ!! 散り行きて我を守れ! 『光羽壁』!!』」


セルフィの呪文と共に背中の光る羽が粉々に吹っ飛んだと思ったら、その欠片がオリビアの矢と相殺し始めた。流石にこれで決まるほど楽じゃねぇか。


だが、セルフィはともかく、シリュー、お前・・・スキだらけだぜっ!!


「ラギ、気合を入れろよ!! うらぁぁぁぁああ!!!」


《念願の魔王取り、逃しはせんのじゃ!! はぁぁぁぁぁああ!!!》


「グッ、か、かわせぬ!! かくなる上は・・・」


俺とラギの心を合わせた剣閃はこれまで以上の大きさでシリューに向けて放たれた。シリューは何か魔法を使って防御しようとしているが、落下中でかわす事は出来ない。


構うもんか、そのまま魔法ごとブッ飛ばしてやるぜ!!!


「「いっけぇぇぇぇええええ!!!!!」」


「セルフィィィィイイイイ!!!!!!!」


直撃寸前でシリューがセルフィに何かを投げつけたが、俺とラギの剣閃はそのままシリューを飲み込んだ。


「ぐぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!」


真っ二つにはならなかったが、シリューは明らかに意識を失ったまま地面に落下してゴロゴロと転がった。そのまま見ていたが、特に起き上がる様子は無い。


やれやれ・・・魔王退治なんてどこの勇者の仕事だよ。俺、2回も退治しちまったじゃねぇか。


「ふぅ・・・何とか倒したな、ラギ、オリビ」


「避けてリュウセイッ!!!」


オリビアと呼びかけようとした俺に向かって逆にオリビアが切羽詰まった声で警告を飛ばして来たのに反応して、俺は咄嗟にラギを掲げて飛びのいたが、横薙ぎの一撃がラギの刀身の上から3分の1を切り飛ばし、俺の胸に一文字の傷を付けた。


《はぐっ!?》


「があっ!?」


ぐぁ・・・な、何だ? 一体何が起きやがった?


俺の剣閃の起こした砂煙が収まると、俺の前に一人の女が立ち塞がっていた。そしてその手には神々しい光を放つ剣が握られている。


「シリューが最後に私に何を渡したのかを見ておくべきだったな・・・この『神剣クサナギ』に切れぬ物は無いぞ!!」


・・・そうだったな、忘れてたぜ。お前がまだ居たんだよな、勇者セルフィ


「動くな、せめて一太刀で葬ってやる。クサナギの前には生命力など無意味だ。さらばリュウセイ!!」


どうやら戦いは最終ラウンドに入ったみたいだ。もしかすると俺の人生の最終ラウンドになるかもしれないな・・・


俺は剣を掲げて迫り来るセルフィに絶望的な気持ちで向かい合ったのだった。

疑似シリアスから微シリアス、そしてシリアスになって来ました。本編はいつコメディーに戻るのでしょうかって中編って書いてるんだから次までに決まってますよね。へへ。

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