3話 やなこった
シリューにビシッと指を指すセルフィ(略した)は、今度は俺に向かって語りかけて来た。
《キミもこの魔王を封印し続けるのに協力してくれるな?》
「やなこった」
俺のセリフに決めポーズをしていたセルフィはビシっと固まった。
なんなのコイツら? なんで俺を命綱にして勝手に居候して手伝うのが当然みたいに言ってんの? バカなの? 死ぬの? コミュ障なの?
アホか、俺は帰って晴子さんとイチャイチャ過ごして、老後は30人くらいの孫に囲まれて死ぬ予定なのだ。鍋の蓋じゃあるまいし、訳のわからん貧相なガキを閉じ込めて一生こんな場所に居るつもりは無い。
《な、何故だ! キミにしか出来ない事なんだぞ!!》
「自分がトチって出来なくなったからって、人に擦り付けてんじゃねぇよ」
《なっ!?》
図星を突かれて勇者様も動揺していらっしゃるらしい。尊大口調の外見JK如きに諭されて恐れ入るほど俺はヘタレじゃねぇんだよ、ボケが。
《クックック・・・ハーッハッハッハッ!! 惨めだな!! アレクセルフィ!! こやつは我の忠実な下僕として既に忠誠を誓った身よ!! おい、お前からも何か言って――》
「あ、洞窟発見! これで今日の寝床は何とかなるな」
《聞けぇぇえええ!!!》
うおっ、うるせえなコイツ。
「さっきからお前とか貴様とかうるせぇぞ。俺には佐々木 流星って名前があるんだ。ちゃんと名前で呼べよ」
《お、おのれぇ・・・魔王たる我に対してそんな口を聞いていいと思っているのか!!》
「思ってるに決まってるだろうが。シリューは居候。俺家主。どう考えても俺の方が偉いだろ?」
《くっ!!》
あ、今のオークに捕まった女騎士みたいだな。シリューよりセルフィの方が似合うと思うけど。でもコイツらほんと胸ねぇな・・・
《フッ、どうやら貴様もリュウセイを完全に手懐けた訳では無いようだな!!》
そんなやり取りを見て、セルフィが元気を取り戻したらしい。
《リュウセイ、私に協力してくれるなら、私からも礼はしよう。だから、私を手伝ってくれないか?》
「お、ちゃんと名前は呼んでるし、中々好感度が高いぞセルフィ。で、一体礼ってのは何だ?」
勇者ともなれば、世間との関わりもそれなりに深いのだろう。ちゃんと釣り合う代価という物を理解しているようだ。そうそう、等価交換が世界の真理だぜ?
《せ、セルフィ? ・・・まぁ、いい。私の対価は凄いぞ。良く見ておくといい!!》
そう言ってセルフィは鎧を外し始めた。・・・なんだろう、既視感がハンパねぇな・・・
鎧を脱いだセルフィは、上着の裾をほんの少しだけ捲って、僅かにお腹を晒して言った。
《う、うっふん》
よし、勇者と魔王は同レベルだという事は分かった。
目の前に居たら腹パンしてたぜ、コレ。
微エロは難しいですね・・・