29話 俺の計算って卑猥なの?
「一泊一部屋銀貨一枚。食事付きなら毎食銅貨5枚だよ」
「んー、どこもそのくらいかぁ・・・」
オリビアはいくつかの宿屋を回って値段を調べては唸っていた。
「それにリュウセイの靴や服も買わないといけないしね。そうすると下手すると泊まれるのは3日かしら?」
うん? オリビア、その計算間違ってるんじゃね?
「なんでそんなに短くなるんだ? 一日銀貨一枚なら、一部屋で8日泊まれるんじゃねぇの?」
そう言ったらオリビアの顔が急速に赤くなり始めた。え? 俺の計算って卑猥なの?
「あ、アンタまさかいいい一緒の部屋で寝るつもりなの!? こ、このケダモノッ!!!」
・・・おい、何で俺がお前と一緒の部屋だとケダモノ扱いされんの?
「・・・まさかお前・・・俺が襲ってくれるとでも思ってたりしない、よな?」
「どういう意味よ!!! わ、私みたいな女の子が一緒の部屋に居たらリュウセイなんてすぐ襲うに決まってるじゃない!!!」
「・・・ごめん無理。本当にごめん」
「だからどういう意味なのよーーーーっ!!!!」
なんだよ、襲われたいのかコイツ。R-15までの露出はともかく、オリビアとR-18な展開は無理だな。俺ロリコンじゃないし。
「襲うなら洞窟で襲ってるだろうが。それに俺だって恩人を襲うような礼儀知らずなマネはせんぞ?」
「む~~~~~~!」
一体オリビアは何が不服なんだよ・・・はぁ、もっと爺ちゃんの話を聞いておくんだったな・・・
「金も無いんだから同じ部屋にしておこうぜ? あ、もしかして全裸じゃないと寝られないクチか? 大丈夫、俺見ないから。お前も業が深いな?」
「勝手に人の寝姿を想像しないでっ!!」
オフッ・・・くそ、コイツすぐ突っ込み入れて来やがるな。俺は漫才の愉快なボケ役じゃねぇぞ。
「~~~~~っ! 分かったわよ!! おじさん、私達ここに泊まるわ! 部屋を用意して頂戴! とりあえず5日間ね!」
そう言ってオリビアはカウンターにバンッと銀貨を5枚叩き付けた。
「あ~~~、こっちは客商売だからいいんだが・・・痴話喧嘩もほどほどにな?」
「そんなんじゃないわよ! いいからカギッ!!」
「あいよ、部屋は階段を上って突き当たりだ。外に出る時はカギを返してくれよ」
宿屋のおっさんの話が終わらない内に、オリビアはのっしのっしと階段を上っていってしまった。機嫌の悪い様子まで子供みたいな奴だな・・・
そんな事を思っていると、宿屋のおっちゃんが俺に話し掛けてきた。
「兄さん、彼女、大分溜まってるみたいだね。今夜は気合入れなよ?」
・・・宿屋のおっさんが下世話なのは世界のルールなのか? 「夕べはお楽しみでしたね?」って言うのかこのおっさんも。それとその中指と人差し指の間に親指を入れるハンドシグナルをいい加減止めろ。爺ちゃんを思い出して思わず頭を叩きそうになるだろうが。
「ま、溜め込んでるのは確かかもな。何とか上手い事やってみるさ」
「その意気だぜ兄さん!! 今晩は精の付くもん作るから期待してくれよな!!」
・・・自家発電も出来ない環境で精がついても辛いんだがなぁ・・・
今日はさっさと寝ようと俺は心に決めたのだった。