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2話 子供扱いするなぁ!!

《貴様に倒された我は、あとは消えゆくのみであったが、咄嗟に貴様の魂に霊体だけしがみ付いたのだ。ククク、これも魔王たる我だからこそ出来た事なのだぞ?褒め称えても良いぞ?》


面倒くせえなこのロリババア。


そう、何故か目を瞑ると、脳内に魔王の姿が浮かび上がるのだ。露出過剰な紐みたいなビキニアーマーを付けてる割に、背もちっさいし、胸もちっぱい。最初は俺のイマジネーションが限界突破して勝手に脳内の少女が喋るレベルに達したのかと思ったが、それなら俺はまず晴子さんをイメージするはずだ。断じてこんな発育不良をイメージしたりはしない。


《貴様、何か失礼な事を考えていないか? 不愉快な思考波を感じるが・・・》


「いや、全然?」


チッ、考えてる事の中身までは伝わらないのは助かるが、ニュアンスくらいは伝わるのか。気を付けないとな。


「で、その凄い凄い魔王様はなんで俺にとり憑いたんだ? 惚れたのか?」


《糞が、誰が貴様のような貧相なガキに惚れるか!!》


糞呼ばわりしやがったよこの貧相なガキ。ハサミでもイメージしてそのビキニアーマーの紐切ってやろうか?


《貴様には我の力の一部が宿っている。そして我の霊体がここにある。時が経てば、我は復活可能だ。貴様には、その間、我の力を貸してやろう。喜べ? 人間風情には、例え期間限定といえど過ぎた力だぞ?》


「あ、うちは要りません。じゃ、そういう事で」


俺はキャッチセールスを断るように魔王の誘惑を遮った。俺を籠絡したいなら、もう少し育ってから来るんだな。その程度、俺が聖剣をヌくまでも・・・いや、抜くまでも無い。


《お、おい! 貴様!! 魔王だぞ!? 魔王の力が手に入るのだぞ!?》


「んなもん要らねぇよ。目立つだろうが」


俺は目立つのが嫌いなのだ。ささやかに、慎ましく、そして少し幸せに。それが俺の生き方なのだ。あ、でも晴子さんと結婚出来たら超幸せだな。うむむ、コマッタコマッタ。


《くっ!? 人間は欲望が強いと聞いていたからチョロいと思ったのに・・・し、仕方がない・・・》


シリューは(もう呼び捨てでいいだろ)自分のビキニをほんのちょっとズラすと俺にへったくそな流し目? を送って来て言った。


《ほ、ホラ! 喜べよ人間!! 我がこんなサービスをしてやる事など、幹部達にすら無いのだからな! ククク、目が潰れても知らんぞ?》


「さて、せめて夜露がしのげる所くらいは確保したいもんだな」


俺はさっさと目を開けて周囲を探索する事にした。食い物はあとで探すとして、まずは安全な寝床は確保しておかないとおちおち休んでもいられないからな。


《お、おい! 貴様!! 無視するんじゃない!! 我がここまでやっておるというのに!!》


あんなもんがサービスなら、でかいプールの宣伝なんて国宝級だな。ウォータースライダーを滑ってる時なんてある種の感動すらある。俺もスタッフとして潜り込めないものだろうか・・・


《こ、この糞が・・・チッ、分かった!! 我が復活したら、貴様の願いを叶えてやる!! だから我に協力しろ!!》


「お、ようやく建設的な事を言ったな。偉いぞシリュー」


《フッ、我にかかればこの程度・・・って、我を呼び捨てにするな!! 子供扱いするなぁ!!》


「俺は元の世界に帰りたいんだよ。出来るか?」


《だから我の話を聞けと・・・もういい。分かった、我が復活したら、貴様を元の世界に帰してやる。だから、我に協力――》


《許さんぞ!!》


俺の頭の中に突然もう一人、白い鎧を付けた少女が現れた。何だコイツ? なんでこの世界の奴らは俺の頭の中をアパートにしてんの? 家賃取るよ?


《き、貴様は・・・勇者アレクセルフィ!!》


《私も霊体だけだったが、この者にしがみ付く事が出来た。私がいる限り、貴様が解き放たれる事など無いと知れ!!》




大変だ、父さん。俺、勇者にもとり憑かれました・・・

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