27話 このオッチャンは天使か何かか!?
「ほう・・・記憶をな。その髪もそれが原因か?」
「ええ、多分そうでしょう。余程酷い目に遭ったんだと思います。最初は私にも怯えていましたから」
オリビアが門番のオッチャンに嘘八百を並べ立てている。記憶をどうこうなんてのは当然嘘だし、最初に怯えていたのはオリビアの方だろ。余程酷い目に遭ったのは本当だが、遭わせた本人にそれを他人事みたいに言われるのは納得いかねぇな・・・門番さん、コイツ人の頭に毒盛りやがったんですよ? アナタの頭みたいに俺の事をしようとしたんですよ?
しかしここで俺がオリビアに突っ込むと話がややこしくなってしまうので俺は黙っているしかなかった。
「でも今では私に甘えてくれる様になりましたから。ちょっと人の多い所で人に慣れさせた方がいいかと思って街に連れて来たんですよ。ね、リュウセイ?」
お、俺がいつお前に甘えたんだ? むしろお前が泣いてるのを俺が慰めたじゃねーか! 人が反論出来ないからってコイツ調子に乗ってやがる。
しかしそれも元の世界に帰る為だ。我慢我慢我慢我慢・・・
「そ、ソウナンデス、お、オリビアサンニハオセワニナリマシテ・・・ハハハ」
け、血管が切れそうだ! 誰かオリビアを殴ってくれ!! スカートめくりでもいい!!!
「ほんと、リュウセイは一人じゃ何にも出来ないダメな人で・・・夜になると寂しがって私に抱きついて来たりして困ってしまいます、ウフ」
・・・やめてオリビア、俺の忍耐力はもう0よ・・・ああ、さよなら、晴子さん。せめて魂だけは貴女の元へ・・・
俺が悲壮な決意を固めるより先に、左手が燃えるように熱くなったかと思うと、俺の耳に地獄から轟く様な声が聞こえて来た。
《殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す挽き肉にして殺す》
《ひぃぃぃいいい・・・怖いのじゃ!》
うぉぉぉおおおお!!! シューティがキレていらっしゃる!? ら、ラギ! ビビッてないで止め・・・ちょ、おま、熱っ、熱いんだよ!! コラ、止まれ! ぐぁぁぁぁあああ!!!
俺はシューティが暴走してオリビアを殺さない様に一生懸命ガタガタ震えながら左手を押さえた。
クソッ! 静まれシューティ!! げ、これモロに中二の仕草じゃねーか!!! バーカバーカ!!! って、俺は誰に言ってんだよ!!!
「ああ、本当だな。そんなに震えて脂汗を流して・・・いいよ、入りな。早くその兄さんを休ませてやりなよ。良くなるといいな?」
こ、このオッチャンは天使か何かか!? 俺の目にはオッチャンの背中に白い翼が確かに見えたんだ。頭にも光の輪が・・・ってこれは太陽光がハゲに反射してる錯覚だった。
「あらあら、リュウセイはちょっと私が離れただけでこんなになっちゃって・・・仕方の無い人ね?」
ギャァァァァァァァアアア!!!!! し、シューティが更に発熱してるだろうが!!! こ、殺せ!!! いっそ殺せばいいだろ!!! アバババババババババ!!!!!
あまりのショックに俺の意識は消失寸前だった。まさかシューティが携帯式拷問道具だとは思わなかったぜ・・・
結構リュウセイも酷い目にあってますね。次はオリビアの番でしょうが・・・