23話 チャリってボディ叩くと喘ぐの?
《さてマスター、私もこの世界の事には疎いのです。現在ナビが働きません。まずは情報を入手する必要があります》
魔力を注いだらシューティが流暢に話せる様になった。良かった、大量消費社会の闇が原因じゃなくて。それに俺の愛機とは思えないくらい理知的な話し方だ。頼りになりそう。
「おう、街に行けば地図くらいあるだろ。んで何か仕事をして金を貯めて、それから帰る方法を探そうぜ。俺も早く晴子さんに会いたいしな」
《・・・・・・晴子さん、ですか・・・》
アレ? 何かドス黒いオーラをシューティが放っているような・・・?
《マスターを乗せて良いのは私だけなのに・・・雌豚が・・・》
何かシューティが言っているようだが、音が小さくて聞き取れない。
「どうかしたか? シューティ」
《何でもありませんよ、マスター。では出発しますか》
そう言ってシューティは俺を跨らせようとグイグイボディを押し付けてきた。痛いぞ、シューティ?
「待て待て、オリビアとラギがそのまんまじゃねぇか」
《オリビアとラギ?・・・ああ、あそこに転がっている生ゴミと鉄屑ですか?》
オリビアを生ゴミ呼ばわりしやがった。違うぞ、あいつは萌えないゴミだ。・・・じゃねぇ、コイツ、俺以外には口悪いな・・・
「オリビアは俺の命の恩人だからな、仲良くしろよ」
《チッ・・・・・・・・・畏まりました、マスター》
・・・・・・今舌打ちした様な気がしたけど、気のせいだよね、シューティ?
「う、う~~~~ん・・・」
お、ようやくオリビアが気が付いたみたいだ。
「よう、お寝坊さんだなオリビアは。ハハハ」
「あ、おはよう・・・じゃないわよ! 何て事するのよ!! 死ぬかと思ったじゃない!!!」
チッ、騙されなかったか、オリビアのクセに。
「そんな事よりもう行こうぜ? 乗り物も手に入ったからよ」
「そんな事で済ますな!! って、ソレ、何?」
オリビアもシューティに気付いたようだ。
《はじめまして、オリビア。私はササキ・シューティングスターです。シューティングスター様とお呼び下さい。というか呼びなさい》
待て、何でお前サラッと俺の苗字名乗ってんだ? それに仲良くする気無いだろ?
「え? え?」
《チッ、察しの悪い雌犬ですね・・・》
聞こえてる、聞こえてるぞシューティ。コイツはここいらで釘を刺しておいた方がいいな。
「コラ、シューティ。仲良くしないとダメだっつったろ?」
《でも、マスター・・・》
「でもじゃねえ。俺の言う事が聞けないのか?」
俺はボディを手でゴンゴン叩きながら説教をした。
《あん♪》
・・・・・・・・・チャリってボディ叩くと喘ぐの?
深く考えると精神衛生上良くないから考えるのは止めよう。
「分かったか、シューティ」
《わ、分かりました、マスター・・・はふぅ》
ヤンデレでMで無機物でって・・・俺には一つたりとも嬉しくない属性だな・・・。巨乳で黒髪ロングで優しい年上美女とかマダー?
未だシューティを先ほどのチャリと認識出来ずにオロオロするオリビアを見ながら俺は深い溜息を付いた。