22話 大量消費社会の闇って奴だな
「・・・お前、喋れるの?」
《シャベレルヨウニ、ナリマシタ。ワタシハ、シューティングスターデス、マスター》
言葉がカタコトなのは生まれたばかりだからなのだろうか? それとも安い外国で組み立てられたからなのだろうか・・・大量消費社会の闇って奴だな。
「ああ、そうか・・・よろしくな、シューティングスター・・・って、名前が長ぇな、これからはシューティって呼ぶぞ?」
《ハイ、ワタシハ、シューティ、デス》
俺の愛機だったせいか、ヤケに素直だな。魔改造してごめんな。
《フフン! 妾に感謝するがいいぞシューティ!! 妾のおかげで喋れる様になったのじゃからな!》
ラギが地面に横たわったまま口を挟んで来た。お前さっき「ひぎぃぃ!!」とか言ってたじゃねぇか。何で怪我の功名で偉そうにしてるんだよ。
《・・・・・・》
するとシューティが無言で立ち上がり、スルスルと俺の側まで近づいて来た。おお、自立も自走も出来るとはなんとも高性能だな。
と、思っていると、そのまま俺の側を通り過ぎ・・・ラギをタイヤで踏み付けてギャルギャルと強烈なホイルスピンを刀身にかまし始めた。
《ひぎぃぃぃぃぃいいいい!!!!》
《テツクズガ・・・ワタシノナヲ、ヨブトキハ、シューティングスターサマト、ヨビナサイ》
・・・流石の俺もドン引きだ。刀身が摩擦で赤熱化し始めている。シューティもラギの操作の下手さ加減に怒っていたらしいな。
《らめぇ!! 溶けちゃう!! ラギ溶けちゃう!!》
音だけ聞くとエロゲみてぇだな。案外器物同士の親愛表現なのかもしれん。そのまま仲良くやって貰いたいね。
ある程度挨拶? して満足したのか、シューティは再び俺の側に戻って来た。ちなみにラギは何かアヘアヘ言ってた。
《マスター、ドチラヘマイリマスカ? シューティハ、マスターヲノセルノガ、イチバンノヨロコビデス》
前方のライトがチカチカと点滅して俺に意志を伝えて来た。
「どこって言ってもな・・・シューティ、お前はどうやって走ってるんだ?」
《マスターカラ、マリョクヲキョウキュウサレルト、ウゴケマス。イマハ、アノテツクズノ、マリョクデ、ウゴイテイマス。ケガラワシイ》
ラギ、スゲェ嫌われてるな・・・
「そうか、移動の時は頼むぞ・・・っと言っても・・・」
俺が後ろを向くと、昇天中のラギに失神中のオリビア、そして脳内で引きこもる魔王と勇者。
・・・ロクな奴がいやしねぇ・・・
「シューティ、一緒に元の世界に帰ろうな?」
《ハイ、マスター。マスタートナラ、シューティハ、ドコヘデモ、ドコマデモ、ツイテイキマス》
・・・無機物の優しさがヤケに目に染みやがるぜ・・・
ここまでの仲間で生身なのはオリビアだけという。
・・・どうして偏っていくんだ・・・