17話 何故俺がキサマのパンツを堂々と欲するんだよ
「ふぅ、ごっそさん。美味かったぜ」
「ふふん、伊達にずっと一人で暮らしてた訳じゃないのよ」
おお、オリビアのドヤ顔うぜえ。しかしメシを食わせてくれたのは確かなので俺は口にチャックをして黙っていた。出されたメシにまで文句をつけちゃヒモかニートと言われても反論出来んからな。
しかし、ヒモか・・・今まさに養われてる状態では既に反論出来んかもしれん。すぐに帰れる訳じゃ無いし、仕事しなきゃダメかな・・・。なんで異世界にまで来て職探しに頭を悩ませなければならんのだろうか・・・
「なぁオリビア、俺に出来そうな仕事って何かあるか? 出来れば楽で安全で綺麗な女性が多い職場がいいんだが?」
「それは仕事とは言わないわね・・・」
俺もそう思う。
「リュウセイに出来そうな仕事ねぇ・・・・・・あ、そうだ! 冒険者よ! リュウセイくらい強いなら簡単にお金が稼げるわよ!」
「却下」
「即答!?」
異世界に来て冒険者だぁ? そんなテンプレ的生活なんぞ願い下げだ!
「バカ、冒険者と言えば、大変で危険で汚い男が多い職場じゃねぇか!! 俺の希望が何一つ通ってねぇよ!!」
「き、汚い男が多いっていうのは偏見だと思うわ・・・」
そんな事ないだろ。一月は風呂に入ってないような野郎共が、実用性が疑われるデコ兜とか被ってたり、威嚇目的としか思えないトゲの付いた肩当てとかして上半身裸でヒャッハーとか言いながらたむろしているに違いない。まさに世紀末だ。そして焼けた鉄板の上で土下座させられるのだ。あれ、何か違うな?
「ほとんど人が来ない店の店員とかやりたいんだが?」
「そんな店に新しい店員が必要だとは思えないわよ・・・」
くっ、正論だ。そもそも給料が出るのかどうかも怪しい。
「あ~~~~~、いーや、そんなのは街に行ってから考えよう。っと、その前に、オリビア、下に履く物無いか? あったら欲しいんだが」
その言葉を聞いて、オリビアはキョトンとした顔をして固まった。と、思ったら段々紅潮して来て、しまいには真っ赤になって俺に怒鳴った。
「わ、私の下着を何に使うつもりなのっ!!!」
・・・・・・何故俺がキサマのパンツを堂々と欲するんだよ・・・・・・
「そんなもんはイラン。俺はこの世界のズボンが欲しいんだよ、変装用に」
「さ、最初からそう言いなさいよ!! リュウセイならあり得るかと思ったじゃない!!」
な、なんて失礼な奴なんだ。お前のパンツを被って気分はエク〇タシー!! って言ってやろうか?
あ、ダメだ。英語は微妙に通じないんだった。
「オリビアとは一度ゆっくり話し合う必要がありそうだな・・・ま、今はいい。とにかく変装だ。服と靴、それに髪の色を変える薬とかがいるな。用意出来るか?」
「うーん・・・髪の色は何とかなるわ。服と靴は街に行かないと無理ね。・・・あ、でもローブがあるから、折り返した丈を元に戻せばリュウセイの服は隠せると思うわよ」
ふむ・・・髪の色を変えた上でローブで体を隠せば旅人で通るかもな。さっさと街で服と靴を手に入れれば俺を特定する事は出来ないだろう。
「よし、じゃあそうしよう。毛染めから済ませようぜ」
「分かったわ、薬を取って来るから待ってて」
そう言ってオリビアはどこかに薬を取りに行った。
何色の毛染めなんだろうな?コンビニでバイトしてるから、初の毛染め体験で俺は若干ワクワクした。