14話 ちょっと見栄を張りたかったんじゃあ!!
「って事だ。分かったか?」
《うむ、分かった。リュウセイはこの世界の者では無かったのだな。しかも魔王と勇者、両方を倒してしまうとは・・・妾の目に狂いは無かったわ!》
俺はラギ――この自称聖剣の事だ――に、俺がこの世界に来た顛末やこれまでの状況を話してやったんだが・・・なんでコイツは自分が俺を選んだみたいに言ってんの? 五体をバラバラにしてやるとか猟奇な事言ってたよねお前?
「おいオリビア、この剣もう一回地面に刺し直して昼飯食いに帰ろうぜ。こいつはあと1000年ほどここで寝るってさ」
《う、嘘じゃあ!! ちょっと見栄を張りたかったんじゃあ!!》
俺がスタスタ祭壇に近づいたらラギから泣きが入った。最初から素直にそう言えばいいんだよ。
「嘗めた事言ってっと、今度は根元まで地面に差し込んで上から岩で塞ぐからな、口には気を付けろよ?」
《うう・・・なんと恐ろしい主殿じゃ・・・》
人をバラバラにしようとする飛ぶ斬撃を出す刃物の方がよっぽど恐ろしいだろうが。殆ど呪いの装備だぞ。
「リュウセイ」
と、大人しくしていたオリビアが俺に話しかけてきた。なんだ、また辛気臭い顔してんな、コイツ。
「なんだよ、オリビア」
「・・・私を一緒に連れて行ってくれない?」
急にどうしたんだコイツ?
俺が怪訝そうな顔で見ているとオリビアが真摯な口調で語り出した。
「オリビアの名前を捨ててこの場所で一生を終えると思っていたけど、私の使命は果たされたわ。だから、リュウセイが帰れる日まで、アナタを手伝いたいと思ったの。どう・・・かしら?」
ああ、そういう事か。中々義理堅いね。この世界の事を知っているガイドを買って出てくれるんなら俺には断る理由は無いな。でもなんでコイツは不安そうな顔してんだか。久々の外の世界で一人ってのにビビってんのかな?
ま、いいか。旅は道連れ余は満足・・・じゃねぇ、世は情けって言うからな。
「ああ、よろしくな、オリビア」
俺はオリビアに手を差し出した。握手の習慣ってあるんかな?
「うん! よろしく、リュウセイ!!」
幸いオリビアにも俺の意図は通じたようで、差し出した手をオリビアはしっかりと握った・・・って、イテテ、さっきの白刃取りで手が痛ぇや。
それでも初めて見るくらいに笑顔なオリビアを見てると、俺はそんな野暮な事は言えなかった。いいさ、男はやせ我慢してこそ男だ。手が痛いのくらいなんてこたぁねぇさ。
結局その後、手を離したオリビアが自分の手が真っ赤になってて気付かれたけどさ。
さすが聖剣の斬撃、ダテじゃなかったみたいだ。後でラギはしばらく地面に埋めてやろう。
(残念な)仲間達が増えてきましたね。