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魔弾  作者: 稲葉明
5/8

へたれのホンカイ?

こつ、こつ、と。

使い古した靴の音が地下空間に響いた。

クロアはヴェルリン-東京街道を一人で歩いた。街道は街道で、まるで繁華街の商店街の様に賑わってはいるのだが、彼だけは違う。何せ、少し気乗りしない仕事――新人指導官――が彼の元に舞い降りてきたからだ。しかも件の新人は異性。健全な男たるもの、教え子が異性であると言うことに何も感じない訳がないのである。

悶々。

クロアは只ひたすら歩きながら考えていた。その足音の中に、回りの喧騒など入る隙がない程だ。

「……い。聞いてんのか」

「あ。聞いてなかった、御免レスカ」

レスカ=マドリードはクロアの幼馴染みで、警察官だ。今はクロアの護衛をしている。

「全く。これだから悩み多きガンスリンガー様は」

「いや、ガンスリンガーは関係ないだろう」

「いやー、関係大有りだろ。マスコミには追っかけ回されるし、ファンにも追っかけ回されるし。関係ない訳がないだろ」

「……。」

「よし、オレが飯を奢ってやろう!そしてクロアの悩みをオレがしっかりと聞いてやろうではないか」



――結局、話をする代わりに昼食はレスカに奢ってもらう事になった。クロアはオムライスを食べながら言う。

「僕に女の面倒を見れると思うか?」

レスカは鶏肉ハーブ焼きを食べながら「無理だな」と即答する。クロアはがくりと肩を落とした。

「まあ落ち込むなって。俺だって無理だからな、そんなの」

「だからって即答するなよ……。流石に傷付く」

「クロアてそんなに繊細だっけ?」

「僕は剛胆じゃないし」

「地上に行ってる時点で剛胆だろ!」

それとこれとは話が違うだろ、と思いながらクロアは渋い顔をする。

「まあよう。そんなに悩む必要性ってないんじゃない?一線を越えなけりゃ良いんだ。な?」

「そんな簡単なもんかなあ」

「簡単も簡単。超簡単。」

「だって誰も見ていないんだぞ。女と二人きりなんだぞ。僕がいつ変な気を起こしちゃっても可笑しくないじゃないか」

「逆に言えば、変な気さえ起こさなければ大丈夫なんだぜ」

レスカはにっこりと笑って言った。それはそれは爽やかな笑みだった。

「クロアはヘタレだから、そんな気起こしても絶対何も出来ないって!!」

――笑みは鋭いチョップによってかき消された。

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