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漆黒のグラディウス  作者: アカシックレコード
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私だけの幸せはいらない


それから5年後


エイルもアイルもそろそろ大人の仲間入りの時期である。

悪魔は魔力供給儀式を受けてやっと成人となれる。

この儀式は一般的に18~20歳になると行われる。

儀式に失敗して子供悪魔が死亡することもある。


魔力は悪魔の力の源である。

膨大な魔力があるほど自然治癒力も高くなる。


レイカはエイルとアイルを呼ぶと魔法陣を書き儀式を開始した。

エイルとアイルの身体には膨大な魔力が供給されていった。

この供給された魔力を自分の物へと変換するのである。

結果は無事成功。

胸の上部分にレイカと同じ紋章が刻まれた。


それと同時にエイルの焼けただれた皮膚は一瞬で再生した。


でもエイルは喜べなかった...

なぜなら妹のアイルはそのままだったからだ。


アイルの皮膚は再生されることはなかった。

つまり、焼けただれた皮膚を正常と認識してしまっていたのだ。

こうなると手術をして傷跡を小さくしようとしても、アイルの自己再生能力が働き正常と認識された焼けただれた皮膚が再構築されてしまう。

そうアイルは一生このままの姿で暮らさなくてはならないのだ。


アイル『エイル姉さんおめでとう。良かった』

エイル『よくないよ』

エイル『私が治ってもお前が治らないなら私は治らなくてもいい』

エイルは泣きながらそう答えた。

アイル『もう姉さんたら』

アイルはエイルを優しく抱きしめた。



数日後

アイルの元に魔界からチラシが来ていた。

これは5年に一回しかやらないセールである。

アイルはもし火傷が治ったらエイルとクゥと一緒に行こうと約束してたのだ。


エイル『アイル一緒に行こうよ』

アイル『ううん、もういいんだ』

クゥ『どうして?』


アイル『だってこんな姿じゃ行けないから』

『それに私のせいでエイルもクゥも辛い思いするのも嫌だし..』


エイル『何言ってるんだよ。行くぞ』

とエイルはアイルを強引に引っ張った。

アイル『ちょっと姉さん』

エイル『もしお前が他の悪魔になんか言われたら私がそいつをぶっ壊ろしてやる』

アイル『....』


結局3人は魔界に来た。

エイル『そういえば私悪魔じゃないんだった』『魔界始めてだ』

アイルはそんなエイルを見て微笑んだ。

クゥ『えっ違ったの?』

エイル『私は一応元神だ』


目的地のバーゲンセール会場に来た。

大きなショッピングセンターみたいな感じだ。

人間界でお目にかかれないアイテムばっかりだった。


他の悪魔がアイルをジロジロ見つめるせいかアイルは少し怯えていたようにも見えた。

アイルとエイルが話しながら進んでるとクゥがある商品をずっと眺めていた。


商品目は惚れ薬。説明文は自分と好きな相手に飲ませればこ~んなことやあ~んなことができちゃう薬と書かれていた。


エイル『なんだクゥはあ~んなことがしたいのか?』

クゥ『違うよ』

クゥは照れながら言った。

エイル『まあそういう年頃だからな』

アイル『欲しいなら買ってあげようか?』

クゥ『いやいらないよ』

エイル『本当は欲しいくせに』


あっあれだ

あれ欲しい

アイルが立ち止まった。

でっかい液晶テレビだった。

エイル『こんなの欲しいのか』

アイル『うん!これは人間界で魔界のテレビ番組も見れる最新のテレビなんだよ』

エイル『魔界のテレビ番組って面白いのか?』

クゥ『何これ画面の中に人がいるんだけどどうなってるの?』

アイルとエイルは大爆笑した。


チャンネルを変えると別の悪魔達が現れる。

クゥには摩訶不思議だった。

エイル『よしテレビを教えてやろう』

テレビには妖精さんが入っていて、その妖精さんが色々な映像を移し出すんだよとエイルは語った。


クゥ『そうなのか』

アイルはそのテレビ購入した。

エイル『じゃあ次いくか』『次は剣を見よう』


アイルとエイルは剣を見て悩んでいた。

エイル『やっぱり伝説の剣じゃないとな』

『私にはクラウ・ソラスあるしいいか』

アイル『私この剣欲しい』

エイル『何これ高っ』

アイル『そうかな』

クゥ『どんくらい?』

エイル『クゥの10年間分の食費くらいかな』

クゥ『えっ』

アイルはウィケッドクレイモアを買うとさっそく自分の背中に装備した。


楽しく会話をしてるとムードをぶち壊すかのようにカイ達に遭遇した。


カイ『うおっエイルの方は傷治ってすげぇ美人な姉ちゃんじゃねぇかよ』『胸もすげぇ出けぇしたまんねぇな』

エイル『ゲス野郎が』

カイ『アイルは相変わらず化け物のまんまだな』

エイル『....』

カイ『もしかしアイルも傷が治ったらこんな美人な姉ちゃんになるのかな?』

カイ『そしたら喜んで結婚してやるよ』

アイル『・・・・』

カイ『そうだエイルさんあんたなら特別に俺の嫁にしてやってもいいぜ』

エイルはいきなりカイの顔面を殴りつけ鼻を折った。

カイ『チクショーやりながったな』

カイはエイルに何発も殴りかかったが全てかわされエイルのパンチを顔面に何発も喰らって床に倒れた。

レオナ『貴様ら』

レオナが魔剣を抜きエイルを何回も突き刺そうとして来たが全てクラウ・ソラスに弾かれた。

レオナ『くっ。まだだ!』

レオナが再度攻撃したが結局エイルに全てかわされてしまった。


エイル『次はこちらの番だ』


クラウ・ソラスの攻撃をレオナは魔剣でガードしたが魔剣にはひびが入り砕けた。


レオナ『馬鹿なこれは高級な魔剣だぞ』


その時ちょうど起き上がったカイがエイルの腹目掛けて強烈なパンチを喰らわせた。

エイル『いてて今のは少し効いた』

カイ『馬鹿な俺のパンチをまともに喰らって』普通なら動けなくなるぞ


エイルもアイルも儀式を成功させた日を境に膨大な魔力を手に入れ、肉体的にも精神的にも一段と強くなっていた。

そうもうカイ達とは比べものにならないほどの力の差があるのだ。


カイは次のパンチを繰り出すが軽くかわされ、エイルの強烈なパンチを腹に喰らい吐血した。

カイ『くそっ覚えてろよ』


カイとレオナは逃げていった。


その後クゥ達は魔界を出て自分達の家へ戻った



数日後


クゥはエイル達の部屋の扉を開けようとした時だった。

バタっ

すごい音だった・・・

外で何かが落ちた音がした。


クゥは扉を開け急いで窓をみた。

そこには血まみれのアイルが倒れていた。


クゥは急いでアイルの元へ向かった。

レイカも尋常じゃない音に気づいてすぐ駆けつけた。


その後アイルは治療室へと運ばれ仲間の悪魔が治療した。

どうやらアイルは屋上から自殺を図ったようだ


アイルの部屋から遺書らしい紙が見つかった。


紙にはこう書かれていた。


私の火傷のせいで家族が辛い思いをするのはもう耐えられません。

私は知っていました。母さんは魔界に帰ると私のせいで差別されることを。

それでも母さんはいつも私をかばい私が泣いていれば優しく抱きしめてくれました。

私は母さんに何一つ恩返しすることもできないし、これからもきっと迷惑をかけるでしょう。

それに私のせいで名門だったこの一族の地位も地に落ちました。

それもそうですよね。魔界では最強といわれた一族の娘が火傷の傷すら治せないんですから。

私はどうやら一族の面汚しです。

私に生きる価値なんてないんです。

私が家族にできることは死んで償うことだけです。


最後に

母さん、イリス姉さん、エイル姉さん、クゥ、愛してます。

今までありがとう。さようなら


次の日


アイルは目を覚ました。

レイカ『アイル』

エイル『アイル何やってのよ』

イリス『アイル』

クゥ『アイル姉』


アイル『ごめんなさいごめんなさい』


アイルは大粒の涙を流して答えた。


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