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シマシマ模様は危険です

「だってここ女子高じゃん」

 なによりそれが問題じゃないのかと問いたい、男は女子高に通えない。

「いえ、来年から女子高では無くなります」

「え、そうなの」

「はい、まだ取替えが済んでいないだけですから」

「そうなのか、焦ったよ」

「元が女子高とか共学はお嫌ですか」

「いや女装でもさせられるのかと思ってさ、あの悪しき文化祭の思い出が」

「フフ、崇様女装されたことがあるんですね」

「トラウマなんだ勘弁してよ」

「でも似合いそうですよ」

「だからトラウマなんだけどね」

「タカエちゃんなんていない、居ないんだ…」

「崇様大丈夫ですか」

「ああ、大丈夫ちょっと思い出しただけだから。

 それより、崇様ってのはちょっと照れくさいな、

 呼び捨てにしてくれないか」

「では崇さんで宜しいでしょうか」

「ああ、その方がしっくりくるよ」

「と、ところで…こちらの学校で宜しいですか」

「ああ、こんな立派な学校に入学できるなんて思ってなかった」

「気に入って頂けて良かったです」

「そういえば学校名が」

「ええ、うちの祖母おばあさまの学校なので」

「なるほど、なんだか無理を頼んだみたいだし。

 書類の手続きが終わればご挨拶させてもらえるかな」

「あ、挨拶……はい大丈夫です」

 なんで緊張? もしかしてお婆さんって怖いのかな。

「では崇さん行きましょう」


 ――学園上空――


(どうだ、この威力、この幸運具合は流石我の加護)

(これ、本当に幸運ですか?)

(主は本当に疑り深いな、只で学校に通え、しかも寮費も只)

(うーんなんだか違う気がします)


 などと守護霊が騒いでいるが今は昼、妙な気配は感じても会話までは聞こえない

 ふと、鈴音が見えた気がしたので崇は笑顔で挨拶した。これが鈴音は嬉しいのだ


(ハゥゥ)

(お主…ちょろいな)

(失礼な、崇さんの素晴らしさを知らないからそんな風に言うんです、優しくて可愛くて、熱心で男らしくてッポ)

(まあいい…今夜話してみれば済む事だ…)



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



「はい、では確かに受理致しました、宜しくね千鳥君」

「はい宣くお願いします」

「では、先生、実家の方で祖母に挨拶に行ってまいりますので」

「はい、では気をつけて」

「理事長室とかじゃないんだ」

「ええ、祖母はこの時間なら家の方におりますので」

「うん、わかったじゃあ寮より先にご挨拶へ伺わせてもらうよ」

「はい、挨拶、挨拶…」


 しかし、やけに視線を感じるのは気のせいだろうか。

 さすが今度から共学になるとはいえ女子高だもんな。

 ああでも女子中学も併設だったからか由紀さんもいるし

 男が学校に居れば注目も浴びるよな。


 などと暢気な崇である。暢気すぎて後ろから迫る足音に気付かなかった。


「天誅、今必殺のジャンピング!」

「え」

「ニーッキャアアアア」

 飛び込んで来たのはちょっと小さな女の子だった。


 彼女は天ヶ瀬美由、由紀の妹である、女子高にしかも姉の横に男。

 この瞬間に狙うのは小学生時代に幾人もの悪戯好きのガキ大将を沈めた必殺のジャンピングニーキックだった。

 だが、奇襲で声を発するなど愚の骨頂。

 崇が振り向いた事によって位置がずれた。

 3

 2

 1

 ドカッっと膝が入らず股間から崇の顔面へとダイブ。

 崇は踏ん張った、なんとか勢いを殺して女の子を抱え。

 くるっと体を捻っていくことで何とか受け止めた。

 流石に男の子というところで褒めてあげたい。

 だがしかし。

 股間を押し付けた女の子を抱えたままぐるっと回るのはどうなのか…

 直ぐに降ろそうとしているのに女の子が暴れる。

 故に手を離せないという情況。

 助けは驚きの余りに凍り付いていた由紀だけであった。


「美由、ちょっとやめなさいはしたない」

「そ、そんな事言ったってこいつがこいつが股間に!」

「あなたから突っ込んだんでしょう」

「違うもん、後頭部に、ひゃん」

「だから暴れないの」

「違うこいつの息がにゃああああ」

 はやく降ろさしてくれないと窒息する。

 崇は強制的に右手を脇の下、左手をお尻辺りを掴んで引き剥がして抱えた。

「プハァ…ハァハァ死ぬかと」

「このど変態、痴漢、獣」

「言いがかりすぎる」

「美由…崇さんは私の命の恩人ですよ」

「え、姉さまの」

「ええ」

「…ご、ごめんなさい、です」

「ああ、構わないんだが先程の叫びで人を集めたみたいだな」

「お、お任せを誤解を解いておきます」

「ほんとに? 有難う助かるよ、千鳥崇だ宜しくね美由ちゃんでいいのかな」

「は、はい、よ宜しくお願いシマス」

「じゃあ美由、私たちはお婆様に挨拶に行きますから宜しくね」

「はい」


 ぺこっと頭を下げた美由ちゃんは女子へ説明にいった。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 二人は車に乗り更に山の方へ進む。自然が豊かというのはこういう景色なのだろうと崇は外を眺めながら思っていた。

「ふう」

「すいません迷惑をかけて」

「ああ、構わないよビックリはしたけど、僕も妹はいるからね」

「しかし先程は流石に倒れるかと思いましたが、お見事でした」

「え、ああ、ちょっと昔習い事をしたんだ」

「そうなのですか」

「うん、水如合気術すいじょごうきじゅつって近所のお兄さんの直伝」

「凄いですね」

「うんその人は喧嘩最強って呼ばれてた」

「でも、さっきみたいなのもそうなのですか」

「うん、まあ僕の場合はその初歩と応用だけだけどね、こう物が止まって見えるって言ったら変に思うだろうけど。凄く緩やかな動きを目で追いながら対処するから。

 さっきのは最初の声で気がついてそれから膝を避けて抱えながら落とさないように力を分散させて独楽みたいに回っただけだよ、あのお兄さんならそもそも蹴られる前に止めたと思うな」

 車が徐々に速度を落とし門を潜って再度スピードを戻すと大きな屋敷が見えてきた。

「崇さん着きました」

「なんだか大きなお家なんだね」

「土地だけはありますから」

 まあよく田舎の人がいうセリフだと思った崇。

 だが勘違いである。崇の考えた土地と、由紀が示した家の規模が違う。先程の学園も含め目に入る山から一帯が天ヶ瀬の土地だと彼は知らない。

 そして彼の後ろにトラックが来ているのも、その中に崇の荷物があるのも判らないのは仕方の無い事だった。


「お嬢様、お帰りなさいませ」

「ただいま秋江さんお婆様は裏庭ですか」

「はい、お客人をお待ちです」

「では参りましょう崇さん」

「千鳥様、どうぞこちらへ」


「和って感じのお庭だね」

「ええ、祖母のお気に入りです」

 広い庭園の一角に茶室がある、作法など知らない崇は由紀の真似をしてお邪魔する。


「お帰りなさい由紀さん、そして初めまして千鳥様、この度は由紀を助けて頂き、その上でご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「え、あ、いえ、初めまして、この度は学園に入学させて頂き大変有り難く思ってます。

 無理に入学をさせて頂いたようで感謝しているのはこちらの方です。

 由紀さんを助けたのはたまたま自分がそこに居ただけですから」


「ふむ、由紀、宜しいのですね、私は問題無しと判断します。誠実な方では在りませんか」

「は、はいお婆様のお許しを頂ければ…有難う御座います」

「では、夕食の時にまたお会いしましょう」

「はい、では失礼します」

 茶の作法なんて全く判らなかったが、どうやら問題なく挨拶はできたような印象であった。



 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆



 由紀に先導されて屋敷の中へと入っていく。途轍もなく大きな家だ。

「崇さん、お婆様のお許しがでました、今日からこちらのお部屋が崇さんのお部屋ですわ」

「え」


 荷物も運び込まれている…しかも見知った自分の荷物が全て室内に置かれている。


「あれ?」

「今日から一緒に暮らせます」


 何故か一緒に暮らすことになった崇。

 しかも荷物も全て揃ってる…

 何がどうしてこうなってるのか、流石に崇も理解が追いつかなかった。

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