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異世界入り

小鳥がさえずる声がする。

瞼を閉じていてもわかる太陽の強い光。

ラベンダーの香、頬をなでる小さな風・・・。


「主様!主様!」


小刻みに揺らされる・・・私はまだ眠たいのだ・・・。


「主様起きてくださいよぉぅ・・・」


この声は・・・まだ私は夢を見ているのだろう。


「主様!おーきーてー!!」

「うおお!?」


あまりの音量に目が覚める。目を開くと強い太陽光。目の前が白く見える。

起こされた上にこの罠・・・これが世に言うピタコラ〇イッチか。


「主様大丈夫?」

「あぁ、目が少しまぶしくて痛かっただけだ。」


・・・ん?今誰と私はしゃべっている?

目を開け横を振り返る。


「・・・君、誰?」

「はぇ!?私を忘れたのですか主様!?」


信じられないといわんばかりの表情をし、涙目になる少女。

どこかで見たことがあるような・・・?


「私ですよ!私!かぐや姫です!」

「家具屋さん・・・?お世話にはなったことないですが、初めまして。」

「違います!かぐや姫です!人形の!あなたの人形のかぐや姫です!」


顔を両手で押さえて上を見てぐすんと泣いている。これを私はガッテムのポーズと名付けることにした。


それにしても・・・かぐや姫で私の人形・・・?


「お前・・・アリスか!?」

「私アリスだったんですか!?」

「えっ?」

「えっ?」


私はあのかぐや姫をアリスと呼んでいた。こいつは偽物か?

というかかぐや姫はこんなに大きくない。私より少し大きいこいつは偽物だろう。


「そうだ!主様とかぐや姫の人形しか知らないことが私が知ってたら本物ですよね!!」

「え、まぁうん・・・じゃあ昨日の朝食。」

「昨日の朝食はなかったじゃないですか・・・」

「あ、そうか・・・んじゃあいつも着せてるドレスは誰が作ったでしょう?」

「主様です。」


本物らしい。本物らしいが私はまだ夢を見ているのだろう。


「んじゃおやすみ。」

「待ってください!寝ないで!寝ないでー!!」


起こされてしまった。


「主様はここがどこだかわかりますか!」


周りを見渡す。草原だった。

周りには丘とかある。至って普通の草原だった。


「モンゴルあたりじゃない?行ってみたかったしちょうどいいや。」


どうせ夢だし。

夢で逝きたい国に来れるとは私もつくづく運がいい。


「えぇ!?日本からこんなところまで来たのに驚かないんですか!?」

「いや夢だし。」

「現実逃避してらっしゃる!?」


騒がしい娘だ。


「なぜしゃべれるし。」

「え?なぜかしゃべれました。目が覚めたら私大きくなってまして。」


人形って目が覚めるのか。

けっこう夢を見始めてから時間がたってるな。そろそろ起きないと某カレー屋に間に合わなくなる・・・。


「ふ~ん・・・まぁとりあえず俺は夢から覚めるわ。」


じゃあねと一言言って頬をぺしんとビンタする。


「・・・大丈夫ですか?」


痛い。すごく痛い。

なにこれ夢じゃないん?


「これ夢じゃないのか・・・?」

「現実逃避やめましょうよ・・・」


え・・・ということはここはどこだ?

この時が、現実に目を向けた瞬間だった。



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