自分を愛する方法を君が教えてくれた
お越しの皆様、おはようございます。こんにちは。こんばんは。
初めましてお目覚めです。少しの時間でもサクッと読めるような作品を投稿しています。
今回は、短編作品です。魔法の座学はできるが、実践となると苦手意識のある今作主人公であるユア。そのユアに2年生になって初めてできた友達であるセル。二人は学校生活や放課後を通して、魔法を使うことについて話し合います。主人公ユアは実践への苦手意識を克服することができるのか!
「はーい、皆さーん着席してー!」
先生が教室の皆に声をかける。今日から新しい毎日が始まる。我ら、魔法学校の新しい毎日が。新しい教室、同じ学校だからあまり変わり映えしないけど、新しい世界が広がる。
「はい、皆さんしっかり自分の座席に着席しましたね!では、朝の会を始めます!今日からあなた達は新2年生!1年生の頃には学べなかった自分の身をもまるための攻撃魔法などを新たに学んでいきます。また、1年生の良いお手本になれるようにも頑張りましょう!」
とてもワクワクしている反面僕には一つ心配なことがある。それは魔法の実践がとても苦手という点だ。座学はできるのだけれど、なぜか実践がうまくいかない。うん、でもまずは新しい友達作りからだ、まずは隣の席に座る男の子に声をかけてみることにした。
「お、おはよ…」
緊張で声がうまく出せなかった。目立つように手を挙げながら僕はそのまま少しの間固まった。
「ん!おはよ!ごほっ、名前、何ていうの?」
その子は片手にオレンジジュースのパックを持ちながら答えた。飲んでいる最中だったのか、少しせき込んでいる。明るい雰囲気を醸し出している人だった。
「あ、ごめんごめん、自分から名乗るべきだったよね、俺の名前はセル!気軽にセルって呼んでくれてどうぞ!」親指を立てながらグッドサインを出しているその姿は自信に満ち溢れているように見えた。
「よ、よろしく!セル君!うんと、僕の名前はユア、全然ユアって呼んでよ!」
セル君のおかげでいつの間にか緊張が解けていた。僕たちはその後も授業の課題を一緒にといたり、体育でも同じペア、そして僕の好きなランチタイムがやってきた。献立表からそれぞれ好きなメニューを選び、決まった場所へ伝え、料理をもらう。この調理にももちろん魔法が使われている。炒める、蒸す、揚げる、冷やす、どれをとっても上級魔法使い兼コックさんが美味しい料理を作ってくれている。やっぱり、上級魔法使いということもあって火の通り方も一流だと思う。僕は好物の辛いラーメンを頼み、セル君と向かい合って席に座った。
「ユアは何の魔法が得意なんだ?俺は完全に真っ暗にする魔法!寝るときとかに便利だぜ!」
セル君はまた親指を立てながらそう言った。これが彼の癖らしい。
「えーと、僕は、」
話すべきか迷った。僕は魔法の実践が苦手だ。このことを言ったら馬鹿にされるだろうか。周りに知られるだろうか。もっともセル君は明るい性格がゆえに友達も多そうだ。信頼はしているけど、言われるといやだな。
「僕は、得意な魔法が多くてね、帰り!帰りに話すよ!」
僕はその場しのぎでうそをついた。本当は得意な魔法どころか使える魔法なんてないのに。それから僕はどうごまかそうかずっと考えていた。炎を出す魔法といって影でマッチに火をつけるというのはどうだろうか、水を出す魔法と言って水筒から水を出すのはどうだろうか、ずっと考えていた。僕の弱さが知られないように、自分の傷を見られないように。本当のことを言ってもどうせ自分が傷つくだけだから。でも心の奥底では本当の自分を見てほしいとささやいている自分がいることに気づいていた。でも僕は都合が悪いから見て見ぬふりをしていたのかもしれない。
「よっしゃー!学校終わり!帰ろうぜっ、ユア!」
「う、うん、帰ろう、やっと学校終わったね」
僕たちは初日の感想を話しながら正門から歩き出す。いっそのこと僕の魔法の話なんか忘れていてくれ!そう思った。
「そういえば、ユアの得意魔法教えてくれよ、ずっと聞きたかったんだ!授業中もずっと気になってた!」
やっぱり覚えていたんだ。今までとは違う感覚を覚えながら少し口ごもってしまった。もし本当は魔法が使えないとバレてしまえば失望されて友達を辞められてしまうかもしれない。せっかくできた友達だからより失くしたくはない。口ごもっている僕を不思議そうに目を丸くしながらセル君は見ている。反射した太陽光がいつもより熱く、じりじりとした光とともに向かってくる。焦りと暑さで汗がにじむ。
「どうした?なんか体調悪い?どっかで休む?」
「ううん、大丈夫、ごめん、全然話せなくて…」
「大丈夫だぜ!それぞれのペースがあるよな、ゆっくりでいいんだ、ゆっくりで~」
セル君はまたグッドサインでいてくれている。なんだか今度はそのサインがとても自分にとって心地の良いものに感じた。それから僕たちは無言のまま歩き、いつの間にか河川敷にまでたどり着いていた。少しの間休憩をし、思い切って話す。
「ほんとは、本当は僕は魔法が使えないんだ、1年生の頃に学んだ魔法だって使えない…」
セル君の顔には驚いた様子など一切見えなかった。それどころか優しく言うようにこう返してくれた。
「なぁ~んだ、そんなことか、全然恥ずべき事じゃないぜ!」
僕はなんだか少し認められた気がした。
「だし、ユアはさ、魔法が使えなくても座学ではトップじゃん!俺なんて全然よ、難しい」
「何か、コツとかってあるの?」
僕は素直に聞いてみた。まるで生徒が先生に分からない問題について質問するかのように。
少しの間の後、セル君はこう続けた。
「なんか、ユアって自分を愛せていないような、自分をないがしろに、どうなってもいいやって思っている節ない?」
僕は少しの間自分の心に問いかけてみた。自分を愛す。考えた。考えた。でも、自分を愛するなんて具体的にどういうことなのかぼんやりとしていた。自分を愛せたなら、それで魔法が使えるなら、いくらでも自分なんか愛してやる。でも使えていないということは、無意識下で自分を愛せていないのではないか。セル君と本音で話していくうちにその結論に落ちた。
「だからさ、ユア。自分を愛そうぜ。もう自分を許してあげようぜ」
それでもうまく腑に落ちない自分がいた。でもセル君の言葉はどんな人よりもすっと受け入れることのできる言葉だと感じた。自分を許す。こんな自分でもそれを含めて自分。僕は今日、ここから自分を愛してみる。
次回作の投稿日は未定です。現役大学生である私の授業中の眠くなった時に手を動かして物語を書き、目覚めさせているので、完成したその日が投稿日です。
次回は、恐らく「オールギャラクシー」の投稿になると思います。ぜひ!みてね!




