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喰い譚-感情を喰う者-  作者: かさ


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第四話 残された記憶

翔太はスマホを落としそうになった。


 


振り向く。


 


しかし、部屋の後ろには誰もいない。


 


カーテンが揺れているだけだ。


 


「……気のせいか」


 


そう呟くが、胸の鼓動は落ち着かない。


 


さっき、確かに見えた。


 


スマホの画面に映ったガラスの反射。


 


その中に


三人の人影。


 


男が一人。


女が二人。


 


三人とも、ただ立っていた。


 


そして


こちらを見ていた。


 


 


翔太はベッドに腰を下ろす。


 


部屋の中は静かだ。


 


時計の秒針の音だけが聞こえる。


 


それでも、落ち着かない。


 


胸の奥の違和感が、少しずつ強くなっている。


 


思い出せない誰か。


 


名前も、顔も。


 


それなのに


 


心の奥に残っている。


 


 


翔太はスマホの写真フォルダをもう一度開いた。


 


指で画面をスクロールしていく。


 


大学の写真。


サークルの写真。


友達との写真。


 


そして、ある写真で指が止まった。


 


カフェの写真だ。


 


窓際の席。


 


テーブルの上に


コーヒーが二つ。


 


翔太は眉をひそめた。


 


「……俺、一人で来たっけ」


 


違う気がする。


 


誰かと一緒に来た。


 


そのはずなのに


 


写真には


翔太しか写っていない。


 


 


胸の奥が痛む。


 


何かを思い出しそうになる。


 


長い髪。


 


笑っている女の子。


 


でも


顔がぼやけている。


 


 


「……誰だよ」


 


翔太は小さく呟く。


 


その瞬間だった。


 


 


頭の奥に


 


声が浮かぶ。


 


 


 


『翔太』


 


 


 


翔太はハッと顔を上げた。


 


誰もいない。


 


もちろん、部屋の中には自分しかいない。


 


 


それでも


 


確かに聞こえた気がした。


 


 


『翔太』


 


 


胸が強く締め付けられる。


 


 


名前を呼ばれた。


 


 


誰かに。


 


 


でも


 


 


思い出せない。


 


 


 


その時、ふと窓の外を見る。


 


 


アパートの前の道路。


 


街灯の下に


 


三人の人影。


 


 


男が一人。


 


女が二人。


 


 


三人とも


 


 


こちらを見ていた。


 


 


翔太はゆっくり立ち上がる。


 


 


窓に近づく。


 


 


三人は動かない。


 


 


ただ


 


 


見ている。


 


 


 


その瞬間


 


翔太は


 


 


気付いた。


 


 


 


三人の足元。


 


 


街灯があるのに


 


 


 


影がない。

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