言の葉(短編小説)あの日の約束
荷物をカバンに入れて、家の鍵をしめ、歩いてバスに乗り、そこから切符を買うと、電車の中。
電車の窓から見える景色は、都会から随分と変わるが、それと共に空気も変わる。
電車を降りると、普通電車に乗り換える。
スーツ姿の乗客が気づけば、居なくなる。
そこは見慣れた懐かしい乗客の光景。
電車を降りたら、人のいない改札口を出た。
そこは懐かしい場所。
僕の故郷だった。
変わらない景色がこんなに嬉しいとは知らなかった。
何年時が過ぎても、頭ではなく体が覚えていて、体が勝手にスタスタと歩いていく。
足取りは軽く、あの場所へ到着するのは難易ではなかった。
「懐かしい」
自然と出る言葉。
彼と最後に来たのはいつの事だったか。
まだあるベンチに座ると、
途中で買った、カフェオレを口に含んだ。
彼の分も飲み物を買ってあり、僕は懐かしい景色を見ながら時計に目をやる。
時刻は15:30
約束まであと30分。
あと30分。
そう空に向かい僕は話す。
彼との思い出を頭の中のフィルムを回しながら時は過ぎ行く。
よくきた場所
よく話した場所
よくここで泣いたり、怒ったりした。
そんな時、彼は隣でいつも見ていてくれた。黙って聞いていてくれた。
それが居心地が良かった。
16:00
彼との約束の時間
僕は立ち上がると
持ってきた飲み物をベンチに置いた
約束の時間だ
さて、話そうか。