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フェンリルに転生したら男爵に拾われました~男爵に恩を返すために男爵の息子の手伝いをしようと思います~

作者: エレメント

「あー疲れたー。

めんどくさいなー、もう何もかもが。」


そんな言葉がとあるビルの屋上で聞こえてきた。


そしてその後何があったかは直ぐにわかることになる。



……――……

「ワフッ?

ワワワン」


私、安藤 夏美はストレス?でついに人語すらしゃべれなくなってしまったらしいです(たぶん)。


そんなことはないと信じたいが、まぁ逆に人じゃなくなった方が疲れないで済むと考えるとどちらでもいいんじゃないかと思えてくる。


ブラック企業での散々な扱い、己の人間性すら壊そうとしてくる、こんな会社で働くとなると常人の精神ではいられないだろう。


正直何も知らずにこのままゆっくりとしていたい、という気持ちを抑え、私は辺りを確認することにした。


そうするといつもより低い視界だということに気付き、何というか木ってこんなに大きかったっけって思えてくる。


そして私は自分の手を見ようとした。

すると、何故か私は体のバランスを崩してしまい、地面に叩き付けられてしまいました。


よく自身を見ていると現在私は4足歩行をしているみたいでバランスを崩してしまったことが分かります。


そして何故かその足からは白いフサフサの毛が生えている。

体のサイズも小さく、どのような種族かはわかりませんが、もちろん人外であることに間違いはないでしょう。


まさかブラック企業時代に生まれ変わったら人間にだけはなりたくないと願っていたからなのか(たぶんそんなことはない、と思いたい)?


やはり私は人外に転生してしまったらしい。そして推察するにここまで生い茂っている森というのは多分地球にはない(ジャングルの方の地域にはあるのかもしれないが)。


そして私はこんなところで生き抜いていける気はしません。


つまり、私はこれから何の当てもなくこの森から脱出しなければならないのです。


それはどう考えても自殺行為に等しい。

しかし、ここで停滞を選んでも当たり前だが餓死することになるでしょう。

だから私はこの場所から動くことにしました。


日本だとスマホで助けを呼べば別に困ることはないでしょう。

まぁスマホが圏外だったら使えないのでこの場にスマホがあったとしても何の役にも立たないでしょうが。



……――……

何時間ぐらい経ったのだろうか辺りはもう既に暗くなってきている。


この体はもとの私よりも速く走ることができるようで、もう結構な距離を走っていると思う。

しかしそんな距離を走ってもまだ、この森から出ることができる気配は一向にありません。


そして、夜になってからというもの何者かの声?、いや雄叫びが聞こえてきて何とも不気味な雰囲気を醸し出している。しかもその中には悲鳴も混じっています。


日本でこのような状況に会うことはない。

だからでしょうか、私は恐怖を感じてそこで足を止めてしまいました。


その判断がいけなかったのを知るのは数秒後になる。

なんと辺りの草むらから唐突にRPGの初期モンスターとして名高いゴブリンが現れたのです。


いつもの私なら何かしらのアクションを起こすことはできたのだろう。

でも、先ほどの雄叫びのせいで、足が震えて言うことを聞きません。


醜悪な顔面を披露しているゴブリンには何故かあまり余裕があるような表情はしていません。

何というか何者かに襲われているかのような顔をしています。


そして私に明確な殺意というよりかは邪魔者を押しのけるかのように力いっぱいに自分の得物、棍棒を私のほうにフルスイングして来た。


正直なところ私は何の反応もすることができませんでした。

なんとなく身に迫って来た『死』に対して少し身を縮こませることは出来ましたが……。


これまで明確な『死』を体験したことは……ないと思う。

何でだろうか一瞬嫌な記憶が思い浮かんだ気がする。


だが、それ以上のことを考える前に私の胴体に思いっきり棍棒が当たって吹っ飛ばされて気絶してしまった……。



◇◇~??~

今日は遠征で父上と一緒にゴブリンの集落の討伐に来ていた。

と言っても父上はもう貫禄で男爵の座は退いてもう隠居している。

それでもまだまだ元気でこうしてゴブリンなんかの討伐を前線でしているわけなのだが。


困ったもので、ようやく妻との子供が産まれるというような特別な日に限って強制的に連れて行かれる。


父上のことは嫌いではないがこのようなことをされると流石に理不尽な気がしてたまらない。


父上としてはこの街、ウルティアの住人に領主として若造な俺を信用されるという目的があるのだろうが。


そんなことを思いながら俺はとっとと現場で、父と騎士たちと共にゴブリンの集落にいたゴブリン共を抹殺していた。


大体のゴブリン集落の攻略の時には高位の魔術師を呼んで一番最初にドカンと一発デカいやつを撃ってから段々とゴブリンの住処を燃やしていくというものが一般的だ。


だがこんな辺境の地にそんな魔術師を呼ぶのには大変お金がかかる。

だから剣で抹殺しているだけで決して私たちがストレス解消のためにゴブリンを嬲り殺しにしているわけではない、断じて。


まぁ剣で戦っていると大体刈り残しが出るので色んな意味ではストレスが溜まるのだが。


「おーい、あそこに逃げてるゴブリンがいるぞー!」


騎士団長のセルディア・ゴルゴネットが叫んでいる。

ただ、他の騎士たちはゴブリンキングなどの上位種の相手をするのに忙しいようだ。

騎士団長も父上の護衛をしなければならない。


そうなると必然的に俺が残党狩りをするしかない。

俺はゴブリンがいるという方へ駆けていった。


ゴブリンは俺の姿を見るなり、分散して逃げ出そうとしていた。

しぶとい奴らだ。

そう思いつつも俺は一匹、一匹とゴブリンの息の根を止めていった。


しかし、一匹のゴブリンに近づくと、そのゴブリンの注意は俺には向いておらず、ゴブリンの前にいる別の生物に向いているようだった。


「ふむ、この俺に背中を見せてもいいのかな?」


俺の全力で振るった剣はゴブリンの首に吸い込まれていった。


だがそれと同時にゴブリンが棍棒をフルスイングした。

しかし、その棍棒は俺ではなくゴブリンの目の前にいた白い子供のウルフと思わしき魔物に向かってのものだった。


俺の剣の刃がゴブリンの首を完全に刎ねた時、ウルフもゴブリンの棍棒に当たっていた。


当たり前だがゴブリンは即死していた。

だが、子供のウルフは死んではいなかった。


この世界は弱肉強食だ。

このウルフもこのまま放置しておけば他の魔物に喰らわれだろう。


正直な話をすると手負いの魔物を連れて帰るということは言語道断なことだ。

手負いの魔物ほど恐ろしいものはいない。


今日はめでたい日だ。

ここで会ったのも何かの縁だろう。

俺はそのウルフを家に持ち帰り怪我の手当てでもさせようかと思った。


従魔として将来息子の役に立ってくれたらもっといい、というような適当な思いで拾ったこいつが本当に役に立つのを知るのはもう少し先になるだろう。



◇◇~安藤 夏美~


「ワフッワワン(知らない天井だ)」


なんかよくわからないところで寝かされてたんですけど、なんですかこれ?

新手の誘拐ですかね?

私なんていうブラック企業勤めの一般人なんて誘拐しても何の得にもなりませんよ~なんて思っていたが、ふと我に帰るとそういえば私は人じゃなかったんだという事実に気付いた。


まぁ人じゃなくなるとかパワーワードだけど社畜の私にとっては最早人じゃないほうが嬉しい。

そんなことは一旦置いておこう。

私は森から脱出しようとして……、あ、ゴブリンに会ってボコられたんだった。


で、記憶は戻って来た、でもまだ問題は残っている。

ここは何処だということだ。


多分誰かが助けてくれたんだろうがそんな親切な人がこの世にいるのだろうか。

しかも中々大きな屋敷であるようだ。

心配である。


助けた代わりに対価を要求されるかもしれない。でも、私、今人じゃないからそういうわけではないか。


じゃあどういうことなんだ?

え、もしかしてペットとして拾われたってこと?


よっしゃー!

夢のヒモ生活やー!


常人なら人が人に飼われるという状況は嫌だという人もいるのだろう。

でも、私はそんなことはない。というかそんなプライドなんてものはない。


そんなプライドを持っていてみなさい。

この過酷な世界で自分の力だけで生き残るなんてものは不可能に近い。

つまりはそういうことだよ。あと私は働きたくないということが一番の理由なのだが。


というわけで私は御犬様ということでねここで飼い犬として頑張っていきましょうか。


っていうかあんな大怪我してたのに意外とあっさり治ってるな。

もしかして、何日間か気絶していたのかな?


なんて思っていると近くの部屋から物音が聞こえてきた。

なんていうか人のしゃべり声というよりかは泣いている声?のようだ。


え?

もしかして実験中?

私マッドサイエンティストにでも拾われた?


そう思っていたが複数人の足音と共に話し声が聞こえてきた。


「旦那様、元気な男の子ですよ。よかったですね!!」


「そうか、でかしたぞリリ。」


男の人と女の人の声が聞こえてきた。

話の内容的に子供でも産まれたのだろうか。


一応動くことはできるがわざわざ確認しに行って驚かせることもないだろう。

私はまた横になって眠ることにした。



……――……

しばらく経った。


この屋敷はウルティアという街の現領主のマイティス・ウルティアの屋敷らしい。

で、ウルティアというのは目の前に

そして最近産まれた子がレイティス・ウルティアという名前だ。


で、私はそのレイ(略称)の護衛として拾われたらしい。


護衛だけだったら別にどうってことはないと思うから私はレイの近くで一生ごろ寝することに決めた。


向こうも向こうで私が魔物だから暴れるのではないかと思っていたらしくごろ寝している私を見て拍子抜けしていたが私はこういうもんなんですよ。


ちなみに、領主のマイティスさんは王都のグランフィールへ仕事として行かされるらしい。

貴族ってブラックだなー。



……――……

3年経ったのだろうか。

レイがようやく物心が付いて、私の方へ寄ってくることが多くなってきた。

最初のうちはメイドや執事が警戒して見張っていたが今ではそれもなくなってきた。


だって私はレイなんかには一切興味を向けずにただただ寝そべっているだけだからだ。

というか最早動かな過ぎて一回病院に連れて行かれたこともあった。

当たり前だが何の症状もなかったらしい。


そして疑問に思っているがなぜだが私は人の言っていることが理解できるらしい。

これは元々私が人間だったからなんじゃないかということで自分を理解させている。


そして最近、ようやく心に余裕が出来て来た気がする。

レイの部屋から一歩も動かなかった私だがようやく屋敷の中を歩き回ることぐらいはすることになった。



◇◇~??~


「うーーーーっ、あっあっあ(どこよここ?今いい気分だったのに)」


私は目障りな女がビルから命を経って喜んでいたというのに、何なんだここは。

しかも言葉がしゃべれなくなっている。


チッ、まぁいいこれからここがどこか確認しないと……。

少しでも面白いと思っていただけたら評価をお願いします!人気でしたら連載するかもしれないのでお願いします。

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