読めやしない、やまびこの故に。
森の小道の出口にある大きな岩に座っている、精神的に疲れているであろう男がため息をついていた。
「はぁ....なんで俺だけ人が寄り付かないんだろう....俺の周りにいる奴は、いつも楽しそうにしてるし人も集まる人気者ばかり....。
でもおれは、そいつらを真似しても上手くいかない、仮にうまくいったとしてもすぐにダメになる....」
そうやって絶望に浸っていると、後ろから老いた声が聞こえてきた。
「ほうほう....おぬし....どうやら疲れているようだな....わしで良ければ相談に乗るぞ」
と、言ってきた老人に対して男は警戒をした。
しかし、警戒をしながらも頼るものがいなかった為、過去のことを話し、相談した。
老人「ほうほう....なるほどな....わしの後についてこい」
というと、男を置いて森の中に入っていった。
男は相談相手を無くしたくないが為に、必死に老人の跡を追った。
しかし、老人の足の速さは、老人とは思えぬ足取りで男をドンドンと突き放していった。
それから30分くらい経っただろうか?男は、ようやく老人に追いついた。
男「ハァハァ....やっと追いついたぞ!んで?ここはどこなんだ?」
老人「見てわからんかね?ここは、山頂だよ。ほら、あそこの山や川、雲やら綺麗だろう?」
男「んで、ここに来てどうするんだ?」
老人「どうしようもしないさ、君には覚悟が出来ただけさ、わしはもう帰るぞ。あっ、一つ言っておく、わしを追っても無駄じゃ。だがな、己を理解すれば、言霊は、お前を元の世界に戻してくれるはずじゃ....」
とニヤリとわらった。
そして、老人は、男を置いて山を降りていった。
男「おいっ....」
っと、声をかけながら老人の跡を追ったが姿は見えなかった。
かわりに、同じ場所にたどり着いてしまった。
男「おいおい....まじかよ....」
と、ため息をついていると、山の向こうから声が聞こえてきた。
その声は、よくよく聞くと自分の声にそっくりだった。
その声の内容は、ひどいものばかりだった。
罵声、嫉妬、恨み等々、人に対しての怨根の塊だった。
その声に男は、無視をしていたが逃れない場所にいる
為に永遠と聞かされることになった。
男「はぁ....もう何日目なんだ...いい加減にしてくれ....」
そう思っていると、空からノートが降ってきた。
ノートが地面に落ちた。
そして、パラパラとページが読めるようにゆっくりとめくれる。
その内容とは、自分の過去を描いたものだった。
そして、ページのめくれが止まった。
そこに描かれていたものは、その男には読めるようで読めない文字だったのでした。