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ドガティスの英雄と同盟PT

 轟っと降り注いだ大岩のようなものがドガティスの町に直撃し、地響きと共に悲鳴が起きた。足元がぐらつくほどの凄まじい威力。大量の巨大な物体がスチーム上げて飛来する。あんな攻撃が続けば穴ぼことなるだろう。


「桂木っ!上に行くぞ!上からなら相手が見えそうだ」


 駆けだした高峰とルフさんを追いかけようとし、俺は立ち止まり振り返ったキッカに叫ぶ。


「キッカ」


 怪我を負った者を助けにいきたいのだろう。これはゲームだと俺は言わない。彼女自身の事は彼女に決めて貰う。あんな会話ができるのならサポーターとはいえ、彼女に委ねようと俺は決めたのだ。


 どうするっと目で伝えれば彼女はコクっと頷いてこっちに走り出した。少しだけホッとしてキッカと共に一緒に走る。


 高台に辿りついた俺たちは敵の姿をその目に収めた。その圧倒的な存在に度肝を抜かれる。


「んだよあれ」


 ゴオオオオオっと空一面を雲が覆っていた。いや、雲ではない高濃度の白煙スモッグ。下にあるモードモールから立ち上った白靄が巨人の形を成していた。ドガティスの国を雲の巨人が見下ろしている。


 ◆───-- - - -            - - - – --───◆

 スチームタイタンLV???

 土竜族の魂が溶けてできた意思ある魔素。内部は大量の土竜族達の思念で溢れている。土竜族の肉体を求めて漂う性質の結果、空に存在する彼らに向けて伸び、長く大きな土属性の龍脈を持ったため。学説的には土竜ともいえる。

 風を巻き起こし岩を飛ばす。発狂した体内思念を移し、ゴーレムとして向かうものにむけて放つ。

 また目と口のあたりに空洞をつくっているのは彼らが生前の記憶をもっているからといわれている。

 ◆───-- - - -            - - - – --───◆


 解説通り風穴が空きそれが目とギザ口を形作っている。正直、プレイヤーが何レべに達しようとどれだけスキルを得ようともあれに勝てるビジョンは思い描けない。だからこそ防衛戦なのだろう。


「稀人様あれは一体なんなのですか」


 コウカ姫がやってきた。オババとパウゼル隊長もいる。


「スチームタイタン。あんたらの祖先の成れの果てだってよ」


 高峰の言葉にコウカ姫が目を見開いた。


「そんなっ……まさか兄上はここまで見通して」


「何というっ祟りじゃ。やはりご先祖様が望んでおられたとはいえ止めるべきだったのじゃ」


「岩が動き出して!?いかんっ奴らの向かう方向!まさか浮遊石を」


「あいつらは体を求めてるらしい。元祖先で元スチームゴーレムだったっていうのならここがどうやって飛んでるかも理解してる。だから、ここを落とすって筋書だろうな」


「稀人様どうかお願いいたします。伝承の通りとおっしゃるならどうかこの国をドガティスをお救い下さい」


 ◆───-- - - -            - - - – --───◆

 ストーリークエスト『ドガティスの英雄』

 コウカ姫様からの依頼 ドガティスを救ってくれと頼まれ

 ◆───-- - - -            - - - – --───◆


「駄目だよコウカ」


 全てを読み切る前に承諾を押す前に声が響き、俺達の前のクエストボートがパーンと弾け散った。初めて見る演出でびびった。現れたのはあの魔女帽子を被ったロシュー。杖で懸命に立ち、彼の家が空を飛んでいた。


「兄様?」


「彼ら稀人は定められた筋書の中でしか動けない」


 俺達が固まればニっとロシューは笑った。


「それにこれは土竜族の問題だ。彼らに頼るにせよ全てを任せてはならない。パウゼル」


「わっ若様……」


「何を呆けている。貴様はこの国の隊長であろう。姫と共に民を守らんか」


「はっ」


 そして彼は俺たちを見た。


「さてと、稀人、ごめんね君たちに碌に説明もせずに上にあげたことを謝罪する。でも、こうするしかなかった。そう言えば君たちには伝わるだろうか。僕は王子だけど君たちに渡せるものは何もない。でもこれなら」


 ブチっと胸元にあったアルカナハートを放り投げ俺はパシリと受け取った。


 ◆───-- - - -            - - - – --───◆

 クエスト報酬アイテムがロシューのアルカナハートに更新されました

 ◆───-- - - -            - - - – --───◆


「僕にはもう必要がないもの。けれど君たちの役に立つだろう。どうか妹と民を守って欲しい。頼む」


「ロシューの坊や。貴方様はまさか……」


「兄上?どういうことです!戻ってくるのですよね!戻ってきてくれたんですよね!もうどこにもいかないですよね。兄上っ!兄上」


 彼は何も答えず帽子を深く被り直して舞い上がった。そして声を張り上げた。


「ドガティスの兵士たちよ。何をしている!貴様たちの鋭き爪と逞しき腕は飾りなのか!今こそ同胞を掘り起こせ!思い出せ!我らモグラの誇りをっ!土を掘れ!岩を砕け!その穴倉はきっと天まで通じよう!」


 うおおおおっと隊長パウゼルが吠えたのを皮切りにドガティスの国中からモグラたちの咆哮が轟いた。それは先の地響きを凌駕していた。


「カッケエなモグラの癖に」


「ああ、カッケえ。分けわかんねえくらい」


 ◆───-- - - -            - - - – --───◆

 ストーリークエスト『ドガティスの英雄を救え』

 ドガティスの英雄王ロシューの助けとなるためスチームゴーレムの攻撃から飛空石を保護しよう。戦闘同盟PT

 天上の戦乙女から同盟PT加入申請があります

 承諾  拒否

 ◆───-- - - -            - - - – --───◆


「桂木」


「分かってる。行こうか」


 皆が頷いたのを見てPT加入承諾を押す。すると飛空石のある舞台まで俺達は転移した。ドガティスの天空舞台と名付けられたその場所は中心に金色に輝く巨大なアルカナハートが設置されていて、家々が立ち並び遠景で土竜族がスチームゴーレムと交戦している様子が見えた。


 真ん中に光の線が描かれていて、事前の手筈通り俺達と天上の戦乙女は互いに別れ準備を整える。そこにあのピンク髪の女の子『天上の乙女のリーダー』笹中咲夜がやってきた。彼女は最初の職を剣士にしたようだ。レイピアを腰に挿していた。


「ねえ高峰」


「んだよ干渉しないんじゃなかったのか?」


「まだ始まってないからセーフ」


 勝手だなと悪態をつき何だよっと睨む。


「アンタ何やってんの?サポ2とかふざけてるとしか思えない」


「いいじゃねえか勝手だろ?」


「今は少しでも学生同士で交流してチーム作りに邁進しないと、まさかサポで対抗試合参加とか考えてるわけじゃないんでしょ?」


「ああ」


「だったら」


「いいだろ別に。どうしてもやんなきゃいけなかったんだ」


「なんでよ?」


「女にはわかんねえよ。ほら、行こうぜルフ」


「了解ですマスター」


「あっこら待ちなさいって!」


 彼女は手を伸ばしたが高峰が声の届かない距離まで行ってしまい。腰に手を当てて悪態をついた。


「ったく。女には分からないとかいつの時代の偏見よ。あの野郎」


 そして、俺はこっそり移動しようとしたが捕まってしまった。


「あっアンタちょっと待ちなさい」


 はあっと溜息をつき俺は振り向く。


「何でそんなに嫌そうなのよ。腹立つけどまあいいわ。どっちの案か知らないけど馬鹿なことは止めた方がいいわよ。対抗戦はスキル、レベル上限なしらしいから進んだもの勝ちなのは確定。どんな理由があるかは知らないけどチーム作りに全力になった方がいいわ。そうアイツに言っといて」


 何かと思えばアドバイス。ちょっと意外と目を瞬かせる。


「そういうの高峰に教えてやるんだな」


「あいつゲームだけは上手いから。馬鹿な理由で落ちられたらつまらないわ。本選でボコボコにできないじゃない。あっ後、縛りは好きにすればいいけどこっちに迷惑掛かったら弁償させるってアイツに言っといて!じゃ」


 そういって向こう側にいくピンクの頭をボーっと見ていればヒョコっとキッカが現れた。


「嵐のような奴じゃの」


「お前どこにいたんだよ」


「隠れておったのじゃ。わしがおるとややこしいことになると思うたのでの」


 キッカが空気を読めるようになってるだとっと驚くが、絶対そんな玉じゃないっと俺は聞いた。


「で?本音は?」


「あやつ苦手なのじゃ」


 やっぱりと軽く頭を掻く。


「また何で?よくいる準廃っぽい性格だけど」


「あやつに限らずものを見るような目を向けてくる者がわしはどうも苦手での」


 あーと納得。


「きついかもだがそればっかりは慣れるしかねえぞキッカ」


「分かっておる。分かっておるのじゃがの」


 珍しくキッカとシンとなって、俺は時計を見た。もうすぐ始まる。


「なあキッカそろそろ始ま」


「のう流星。あやつらは大変じゃ。ストラージュのミアもドガティスのロシューも必死に己が運命と戦っている。でも、わしは彼らが少しだけ羨ましくなるんじゃ。例えそれが作られたものだとしても、彼らにはあるのにサポーターには決してストーリーがないからのう」


「キッカ?」


「すまぬ、闘い前に盛り下がることをいうた。わしはまだ幸せじゃ。良い主人に巡り合わせてもろうたからな。さえ、捨てられんように頑張らねばな」


 最近ちょっとキッカの様子がおかしい。少し心配になったが、ブザーが鳴って仕方なく俺は剣を抜くのだった。

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