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12.契約士、ジョブの成長を実感する

お待たせしました。


新年一発目の更新で、12話目です。


ではどうぞ。




 モンスター1体で、5体分くらいの経験点が入ってきてるってことだろ? 

 効率性の上昇が半端ないな……。



保有経験点 力:20 技:292 魔:111 センス:265



<ミュゼア様の【女神】獲得で殆ど消費しましたが、これだとそう時間もかからず元の経験点を上回っちゃうかもしれませんね>



 ミュゼアのジョブ獲得に費やしたのは、俺が10年かけて稼いだ血と汗と努力の結晶だった。

 それが【女神の祝福】で、驚くほどのスピードで戻ってくるかもしれないのか。


 単純に5倍くらいの効率になったとしても、2年か。

 卒業までには間に合わないが……それでも凄いな。


 

 ミュゼアが1階層以外でも戦えることとスキルの効果を確認し、俺たちは再び迷宮内での狩りを始めた。



「――っ! らぁっ、せぁっ!」


 

 左手で盾を掲げ、攻撃を弾いたタイミングで剣を振るう。

 本気で仕留めるための切下ろしではなく、単なるけん制だ。

 

 敵は3体。

 コボルトとゴブリンの混成チームだ。



「GOBUUUU!」


「KOBOOO!」



 複数体と相手する時、いつもはどこかで無理しないといけない場合が多かった。

 だが、今回は無理しなくていいのだ。 

 


「――【光輝(シャイン)】!」



 2体いるコボルトのうち、俺のけん制で怯み、仲間からも距離を取ってしまった1体。

 詠唱いらずの光魔法が、的確にそいつを狙う。



「KOBO!?――」 



 青い体毛が全身に生えたコボルトの中心。

 光の球体が、その胴体と重なり合うようにして出現する。


 コボルトは慌ててそれを取り外そうとするも、触れた手の先から光に浄化されるように消滅していく。


 光球が収縮。

 そうしたかと思うと、次の瞬間には大きく膨張し、耐えきれなくなったかのように破裂。


 強い光の輝きとともに、コボルトの胴体を一瞬にして消滅させた。



[コボルトを討伐しました。従者“ミュゼア”が経験点を獲得しました。内訳 力:+1 魔:+1 センス:+1] 


[コボルトを討伐しました。経験点を獲得しました。

 内訳 

 力:+1(女神の祝福→力:+6)  

 魔:+1(女神の祝福→魔:+6)

 センス:+1(女神の祝福→センス:+6)]    



 よし。

 これで、数的不利はなくなった。



「KOBU,KOGYA!?」



 仲間のコボルトは目の前で起こった光景に、明らかにうろたえていた。


 一方でゴブリンはというと元から仲間意識などなかったのか、大した変わりはなく。

 元からただ獲物として(ミュゼア)をどう自分の物にするか、それ以外に考えていないような興奮した様子が続いていた。

   

 形式的には2対2だが、そこには数字では表せない圧倒的な差があった。



「このまま行くぞっ!」


「はい!」



 その後同じように連携して各個撃破していき、3階層より下へ行っても問題ない戦いっぷりを収めたのだった。



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□



[ゴブリンを討伐しました。従者“ミュゼア”が経験点を獲得しました。内訳 力:+1 技:+1 魔:+1] 


[ゴブリンを討伐しました。経験点を獲得しました。

 内訳 

 力:+1(女神の祝福→力:+6)

 技:+1(女神の祝福→技:+6)  

 魔:+1(女神の祝福→魔:+6)]    



【ミナト・イスミ】

保有経験点 力:38 技:298 魔:129 センス:277     



【ミュゼア】

保有経験点 力:3 技:1 魔:3 センス:2 




[ジョブ【プレイヤー】がレベルアップしました。Lv.1→Lv.2]


[ジョブ【プレイヤー】Lv.2 報酬:スキルチケットGランク×1枚]



[ジョブ【冒険者】がレベルアップしました。Lv.1→Lv.2]


[ジョブ【冒険者】Lv.2 報酬:クエスト達成 ※詳細はスキル【クエスト閲覧】にて確認いただけます]




「うぉぉ……」 


 

 4階層へと挑戦する前に、小休止を挟むことに。

 そこで戦果を確認。


 ミュゼアがちゃんと経験点を獲得・貯蓄できていることに何ともいえない感慨がわく。



 また俺の方は経験点だけでなく、ジョブの成長もあったようだ。

 

 ……【プレイヤー】の方が先に取ったのに【冒険者】のジョブとレベルアップの時期が同じってのはどういうこと? 

 


<【プレイヤー】の方がレアリティ―というか、希少性の高いジョブってことです。それだけ成長するのに多くの経験が必要という意味じゃないですか?>


 

 あぁぁ、なるほど。

 そう言われると納得できた。



 プレイヤーを獲得するきっかけ、次元穴(ゲート)

 そこでよく見せられたゲームの光景に、似たようなものがあったっけか。


 モンスターやキャラクターを育てるゲームで、その対象によって次のレベルに上がるために必要な経験値が違っていた。


 

 ジョブの差についても、そういう視点で見ればいいわけだな。



「…………」



 ゲームの話を思い出すと、視線が自然に迷宮内へと向いていた。


 ごつごつした岩肌。

 暗くもなく、だからといって外ほど明るいわけではない内部。

 何もない、でも広々とした空間。

 

 ずっと生きるためだけに、ここへ一人で通っていた。

 まあ実際はゲートのある場所がずっと仕事場だったけれども。



「? ご主人様、どうかなさいましたか?」



 それが今では二人で。

 しかも自分の従者となってくれた(ミュゼア)と、迷宮(ここ)を訪れている。 


 さらにそれは生活を維持するためではなく、契約士と従者として強くなるため。

 つまり前向きな理由でダンジョンに潜れているのだと思うと、とても不思議な感覚だった。



「……いや、何でもない」



 そう答えると、ミュゼアは小さく頷いて何も言わず、ただ微笑み返してくれる。

 こちらを信頼してくれているのがそれだけで伝わってきた。



 ……クソッ、凄ぇ可愛いな、ちくしょう。


 自分が絶世の美少女だってこと自覚しやがれください。

 そういうのやめてよ、惚れちまうでしょうに。



 だがこうして、ミュゼアは心からの笑顔を浮かべられるようになったのだ。

 そうすると、今度はもっと今以上に陽の光の当たるようにしてあげたいと思う。



<はて? それならばもう今日は帰るんでしょうか?> 



 ……いや、ダンジョンの外に出してあげたいとかそういうことじゃなく。

 

 俺は四大大会に出て、優秀な成績を収めて、地位や名誉を得たい的な功名心は今のところない。

 でもミュゼアには、過去に辛い経験をしてきただろう分だけ、報われてほしいのだ。


 だから、まだ出場するとは決まってないが、出ても恥をかかない程度には頑張ろうと思う。



<……ミュゼア様も、そういう有象無象にチヤホヤされたい的な欲求はないと思いますけどね。誰か、慕うお相手と何気ない日常を過ごすだけで幸せ、みたいにお思いじゃないかなと>

       


 あぁぁ~まあな。


 ミュゼアって穏やかそうな見た目っていうか雰囲気してるもん。

 ……それにこれだけの美少女で、更にそれが【女神】でパーフェクトにパワーアップしてるからね。


 相手なんて選び放題でしょう。

 ……ミュゼアにも、いつかそういう異性が出てくるのかねぇ。



<……はぁぁ。――今の話、ミュゼア様にはしないことをオススメしますね>



 えぇ~っ!?

 なんかいきなりサポートちゃんからジト目溜息を浴びてしまった。


 

 解せぬ……!



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□




「さてっと――」



 ジョブのレベルアップの際、ゲットした報酬の確認を手早く済ませる。

 


[能力UP] 


“スキルチケットGランク”

 能力UPにてスキル獲得の際、経験点50点分(女神の祝福→総経験点75点分)とこの1枚を交換できます。



「ほう……」


 

“チケット”と名はつくものの、具現化されたカードかチケット状の物が出現したわけではない。

 ただ能力UP画面を開くと右上に“使用可能アイテム”という文字があった。


 そこを開くと“スキルチケットGランク×1枚”とあり、タッチすると上のような説明文が現れる。



「“スキル”って用途の限定はあるけど、要は50点分、何もせずに経験点をゲットしたってのと同じだろ」



 確かにミュゼアの【女神の祝福】のおかげで、1体のモンスターから得られる経験点が驚異的に多くなっている。


 しかし、それがないのが通常なのだ。


 つまり“普通に戦闘をして経験点を50点分稼ぐにはどれだけ戦闘しないといけないか”を考えれば、これがとてもありがたい報酬だと分かる。



<それにランクがついていますからね。今後もこの報酬を得られる場合、どんどんその(ランク)も上がっていくでしょう。タダでもらえるのならもらっておけばいいんですよ>



 その通りだ。

 それに、経験点の種類の指定がされていないのもありがたい。


 つまり例えば“力:25 技:25 のスキルに限定”とかされると、獲得できる幅がグッと狭まる。


 でも“合計点50点”でいいのなら“力:10 魔:40”だろうと“技:10 魔:15 センス:25”だろうと、OK。

 選択肢が一気に広がるのだ。

 

 そして【女神の祝福】の効果で合計点は“75”に。

 これにも及ぶのか……凄過ぎるな。




「よしよし。これは後で使い道を考えるとして……」  



 次に、ジョブ【冒険者】のスキルを確認することにした。

【冒険者】を獲得した時に得られたのはスキル【冒険者ランク】と【クエスト閲覧】の二つだ。



[冒険者ランク]


名前:ミナト・イスミ

ランク:Gランク


クエストポイント0/25



「……まあジョブをゲットしたばっかりだしね」



 前回、ジョブを獲得して直ぐに確認はしたのだ。

 だが今のところこれに変化はない。


 なので、しばらく【冒険者】のジョブで重要になってくるだろうスキルは【クエスト閲覧】の方になる。

 



[クエスト閲覧] 


 冒険者ランク……Gランク 

 閲覧可能クエスト:Gランククエスト



「閲覧可能なクエストは、冒険者ランクに連動してると……。で、今回のジョブのレベルアップでクエスト達成となったはず――おっ?」



[Gランククエスト No.12]


 クエスト名:ジョブレベルを上げよう!


 ●内容:ジョブ【冒険者】のレベルを2に上げる


 ●達成報酬:全経験点+30(女神の祝福→全経験点+45)


 ●クエストポイント:5ポイント(女神の祝福→8ポイント)


 ●クエスト進行状況……クリア!  




「うぉっ!?」


  

 エグッ!

“全経験点+30”がつまりは最終的な報酬だが。

 それがミュゼアのその、き、キス……ごほんっ。


【女神の祝福】のおかげでそれが1.5倍になっている。



 ……つまり、総経験点180点分ゲットってことか。


 

 さらにクエストポイントも上昇している。


 おそらく、これがランクアップに関係していると推測していた。

 そうすると、ランクアップについても【女神の祝福】の恩恵は及ぶのだ。



「他にもGランククエスト、色々あるじゃん。――おっ、達成しているものもあるな!」




[Gランククエスト No.5]


 クエスト名:モンスターを3体、討伐しよう!


 ●内容:モンスターを3体討伐する※モンスターの種類は問わず


 ●達成報酬:全経験点+7(女神の祝福→全経験点+9)


 ●クエストポイント:2ポイント(女神の祝福→3ポイント)


 ●クエスト進行状況……クリア!  



[Gランククエスト No.17]


 クエスト名:スキルレベルを1つ、上げてみよう!


 ●内容:スキルのレベルを1、上昇させる※スキルの種類は問わず


 ●達成報酬:スキルの才能チケットGランク×1枚

 

 ●クエストポイント:3ポイント(女神の祝福→4ポイント)


 ●クエスト進行状況……クリア!  



 

 この【冒険者】というジョブはつまり、冒険の過程で得た様々な人生経験を。

 能力UPでの経験点をはじめとした、具体的な力へと変えてくれるジョブなんだろう。


 そしてこのジョブはそもそも見たことも聞いたこともない、おそらく俺しかもっていないジョブだ。

 ジョブ【プレイヤー】、そして【ステータス操作】がなければ得られなかった能力。



 このダンジョン、ゲートでの仕事を続けてきたことからここまで繋がってきたことに、決して少なくない興奮を覚えたのだった。



皆さん、新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。


……とはいえ、一発目から大分疲れました!


推敲の際、読むとそうではないんですが。

書いていると、執筆カロリーというのか、それが半端ないです……(絶望)


ステータスの上昇・更新や経験点の計算とか、ゲームだと勝手にカセットやゲーム機がやってくれるんですけど。

書く側で、創作でやると本当に色々大変で……。

いつかはやりたい題材だと思って書いてみてはいますが……うぅぅ(涙)


ですので、順調に増えているPVやブックマーク、それと特に評価とか。

そういうのを見ると疲れた心にしみます、ありがとうございます!



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