人形作家S氏の臨死体験
このお話は、架空のお話ではない。実際に起こったことをそのままお話にしている。その出来事は、人形作家S氏の手記に書かれてある臨死体験のことである。つまり、このお話は、人形作家S氏が実際に体験した臨死体験についてのお話ということになる。もう一度、言う。これは、実際に起こったことである。この先を読み進めていくことは、こちら側からしたら、あまり推奨したくないのだが、もし、読者が読み進めていきたいのであれば、こちら側は、それを止めようとしない。しかし、読み進めていって、読者が精神的に大きなダメージを受けたとしても、こちら側は責任を一切取らない。
ここを読んでいる読者は、恐らく読み進めていくことにしたのだろう。では、そんな読者に対して、このお話を進めていくことにしよう。だが、まだお話は始まらないので、もう一度、考えて、読むことを辞退しても構わない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読まない
これを選んだあなたは、誰よりも賢い人だ。
本当に、この先、読み進めていくと精神的に大きなダメージを受けてしまうから、ここで、諦めるということが賢い選択肢なのかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで来てしまったら、もう、辞退することは不可能だ。そのため、最期まで読み進めていかないといけない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
精神病院で入院をされていたS氏は、ある日の夜、全く知らない少女と出会う。その少女に戸惑うS氏。そんなS氏に少女は、「私は、あなたによって作られ、あなたによって捨てられた人形のアンナ。覚えてる?」と言う。
そしたらS氏は、「あなたによって作られ……?あなたによって捨てられた……?は?俺、こんな人形作ったか?って、え!この人、人間ではなく人形なの!」と困惑して、
その少女から逃げて、自分自身の部屋に入った。
そして朝。S氏は、必死になって、あの少女……いや、あの少女の形をした人形を作って、捨てたことを思い出そうとする。しかし、なかなか思い出せない。確かに、S氏は人形作家。しかし、S氏にとって、思い出すことが困難だった。
そんなS氏は、夜になると身震いした。また、あの人形が現れると思うと、こうやって
S氏は身震いするのだった。その予感は的中していた。S氏がいる部屋のドアを叩く音が聞こえる。そして、あの時の声が。今度は違うことを言っていた。「あなたの人形なのに、どうして、あなたは遊んでくれないの?」と。
この声で、S氏はあることを思い出す。この人形を作ったことを思い出すのだった。しかし、捨てたことは思い出せなかった。そんなS氏だが、確かに作ったことは事実なので、この人形と遊ぶことにして、ドアを開ける。
ドアを開けたS氏が見たもの。それは、廊下の横にある大きな窓が開いていて、その窓から少し見上げところに、真っ暗な大きなトンネルがあり、そのトンネルに向けて道が伸びているというもので、その道の脇には、道から外れないように、たくさんの黒色の羽の天使たちがいた。
S氏は、あの人形がどこにいるのか探すが、どこにもいない。しかし、黒色の羽の天使たちが、自分自身のことをずっと見てるので、
S氏は、その道を無視することができなかった。そしてS氏は、その道を歩く。
歩きながら、黒色の羽の天使たちを見ていたら、全員、不気味な笑みを浮かべていた。そのため、S氏は身震いするのだった。しかし、脇には黒色の羽の天使たちがいて、道から外れることができない。
そんなS氏は、真っ暗なトンネルの入口に着いた。そしたら、黒色の羽の天使がS氏の背中を押して、さっきまで無かったトンネルの入口のドアを閉めた。この後のS氏は、真っ直ぐ歩くことしかできなかった。
そんなS氏は、トンネルの出口に着く。そこには、あの人形がいた。その人形は、「ようこそ。私たち、あなたに捨てられた人形の世界へ」と言って、S氏の腕を掴み、逃げることを出来なくさせた。そして、その人形は、「こっち、こっち」と言って、S氏を無理やり歩かせる。周りには、S氏によって捨てられたたくさんの人形があった。それを見て、「ごめん。ごめん。捨てたことがいけなかったんだな。本当にごめん。もう、捨てないから。もう、捨てないからさ。俺に、生きるという選択肢を与えてくれ」とS氏は言う。そしたら、「その言葉。何回も聞きました。もう、いいです。あなたには……」と人形は言って、S氏の顔を覗き込む。そして……
「もう、終わりですよ?」と言うのだった。それは、自分自身に訊かれていることだと思ったS氏は、「いいや。違う!」と答えた。そしたら、その人形はS氏に、「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。死んでしまえ!」と言った。S氏は、「ああ……もう、終わりだ。ああ。ああ。ああ……これで、俺の人生は終わりだ……ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」と狂うのだった。
そんな狂ったS氏を、精神病院で入院するきっかけとなった病が襲う。そして、S氏は死……
違った。S氏は、死ななかった。そのためS氏は、「こ、こ、これで生きることができる……」と呟いて、思いっきり泣くのだった。




