Dの母が語ったこと
「Cがリーダーぽい。どんな人?」
「茶髪で長い髪。睫はエクステかな。爪もごてごて。おしゃれというか派手というか。年は33才。短時間のコンビニパート。ダンナは塗装関係の自営業や」
Dの母が語った事。
家でランチなんか嫌だった。
始めに断らなかった私のせいです。
ああ、まだ娘がいないなんて信じられない。
これは悪い夢ですよね。
B、Cとは入園式で初めて会って、たまたま席が近くて、二人は前からの知り合いで、
ラインに誘われて断れなかった。
発表会の家ランチに誘われて……断るより、家ランチ自体をなくせば良いと思いついて
1回、家に誘って、ドタキャンしたんです。
そうしたらファミレスランチにするだろうと、普通そう思うでしょう?
ファミレスの方が気楽ですよ。
それが急遽、Aさんに招待されて。断れないじゃないですか。
Aさんとは殆ど話した事無いです。
幼稚園の先生をしていたと噂で聞いていました。
ちょっと上から目線の人だと、Cさんから聞いていました。
Aさんの家で子ども達は楽しそうにしていました。
部屋を行ったり来たり、2階に行ったり、寒いのに庭に出たりして、
楽しそうにしていました。
同じ衣装なので、ちら見では、どの子かわからない。
……娘が何していたかいちいち見てなかったです。
BとCがふたりでずっと喋っていました。同じ団地で家族ぐるみの付き合いみたいで。
かなりワイン飲んで、二人とも酔っ払っていましたよ。
私はトイレに1回行くのにリビングを出ただけですが、
あの二人は、台所とか、庭とか、ウロウロしてました。
Aさんの叫び声を聞いて、一番最初に私が2階に行きました。
片手で口を押さえて、片手で窓の外を指差していました。
窓は閉まっていました。
カーテンは開いていました。
私は指差す方に眼をやって……ティンカーベルの、羽根が浮かんで居るのを見ました。
最初は服が、浮かんで居ると思ったんです。でも、よく見ると……。
その時は浮かんで居たのは一人だけです。
ショックでした。誰だろうと思いました。
娘だとは全く思わなかった。
BとCが2階に来たのは2,3分後です。
「何の、騒ぎ?」
と言い、赤い顔して千鳥足でへらへら笑ってました。
池を見たら、ギャアギャア、喚いてましたけど。
「他の子はどこにいるの?」
って、Aさんが聞いたんです。
怒ったような声で、一人づつに聞いたんです。
言われて初めて、少し前から子ども達の姿を見ていない事に気がつきました。
皆自分の子どもの名前を呼んで、捜しました。
家の中に居ないので、庭を捜しました。
庭からそのまま、池の柵に沿って、行きました。
私たちは、四人の子どもが浮いているのを見ました。
娘が浮かんでいるのを見ました。
その先の事は覚えていません。
立っていることも出来なかった。
柵を掴んで泣き叫んでいました。
誰が通報したかも知りません。私ではありません。
「Dの母はどんな人?」
「35才。シングルマザーで実家暮らし。派遣で老人施設で働いている」