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犯人が語ったこと

A母が語った<真実>

 娘は発表会の3日前に高熱を出し、診療所で点滴を受けました。

 夜には熱が下がりました。

 治ったと思っていました。

今思えば、発表会の前夜、元気がありませんでした。

私は唐揚げを作ったり、家の中の掃除で忙しかった。

主人は残業で遅くに帰ってきました。


発表会の、

あの日の朝は、

早くからサンドイッチを作りました。

娘は咳をしていました。熱は無かった。

診療所で貰った薬は朝、飲ませました。

とにかく発表会の間だけでも咳を止めようと、咳止めシロップを飲ませました。

でも、車の中でずっと咳をしていた。

園について、もう一度シロップを飲ませました。

娘がこぼした、と言うので、新たに小さなカップに入れて渡しました。

その時、シロップの容器を、娘の手の届くところに置いてしまいました。

 早く着いたので暫く車の中で時間を潰そうと思いました。

 時間になり、娘に声を掛けると、眠っていました。

 ゆすっても起きません。

 寝息が大きかったです。

 これは発表会に出るのは無理だと、園に電話しました。

 そのまま帰らなかったのは

娘が家でのランチを楽しみにしていたからです。

 発表会は出られなかった、せめて友達と家で遊ばせてあげようと思いました。

 駐車場で発表会が終わるのを待っていました。

 皆さんとは、駐車場で待ち合わせをしていましたし。

 娘が死んでいるのに気がついたのは11時半頃です。

 私も寝不足で、ウトウトしていたのが、眠り込んでしまっていたのです。

 娘は冷たかった。シロップの容器は空でした。

 娘が自分で飲んだのです。甘くて好きだと言っていましたから。


とても現実だとは思えなかった。


3人の友達が来ました。

娘は今にも眼を冷まし、この子達の中に入っていく。

有り得ない<死>を、心が受け付けなかった。


家に着き、皆さんにはリビングに入って貰いました。

大型のフロアクッションを台所に持ってきて娘を寝かせました。

3人の子ども達は娘が起きないと、心配していました。

劇に出ていなかったので心配してくれていました。

お母さん達は、お喋りに夢中で子ども達のことは全く見ていませんでした。


子ども達は、ずっと私と一緒に居ました。

娘の部屋で遊んだときには娘を抱いて行きました。

庭に出たときも、抱いて行きました。

一緒に写真を撮って貰いました。


娘は冷たい、やっぱり息をしていない。

長い悪夢と思いたいが……どうやら現実のようだ

そして、

だんだん……狂っていったんです。


写真を撮ったあと、

子ども達の1人が台所で

咳止めシロップを見つけました。

買い置きが3個ありました。

コレが飲みたいと言いました。

私は、(いいわよ)と言っていました。

3人は2階へ上がりました。

私はデザートを出したり、皿を洗ったりしました。

暫くして、

娘を抱いて2階へ行きました。

子ども達は娘のベッドで眠っていました。

側に、空のシロップの容器が3個有りました。


娘を、他の子ども達と並べて寝かせました。

天使が4人眠っているように見えました。


(皆と一緒に天国へ行こうね)

私の口が、舌が、勝手に動いて呟いていました。


私は誰かの命令に従うように、動きました。

何も自分では考えていない。

身体が勝手に動きました。

玄関から子ども達の靴を持ってきました。

台所からゴミ袋を3枚持ってきました。

3人の子の身体を丸めて袋に入れました。

袋の中で靴を履かせました。

袋の口は結んでいません。

羽根がはみ出していた。

子ども達はぐったりしていた。


子ども達をクローゼットにかくし、

娘を窓から池に落としました。


窓を閉めて叫びました。

お母さんたちに、池を見せました。

あの人たちは驚いて、自分の子を探しに、部屋を出て行きました。

私は3人の子を池に落としました。

ポリ袋に部屋のオモチャや本を適当に入れて、

クローゼットの中に入れました。


なぜ、そうしたか?

誰かに、

頭の中の声に命令されて

しました。



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