第九章 第一節「バスケットボール」
ちっ。あれれはいったい何だったんだ。遠山一馬は天乃解を体育館裏に呼び出した時のことを思い出していた。天罰なのか。バカバカしい。そんなことがあるわけがない。しかし、夢ではなく事実として、俺は丸裸になって学校中を逃げ惑う羽目になった。思考が堂々巡りして結論が出ない。
ピピー。
笛の音で遠山一馬は自分が、今、体育の授業を受けていることを思い出した。バスケットボールを追いかけて、体育館を走り回っていた生徒たちが気だるそうに戻ってくる。
「次、BチームとCチーム」
体育の平岡先生が授業中に骨折するという失態をおかして、しばらく入院になった。担任の石谷里帆が授業を代行していた。彼女はこの機会を利用して、クラスの問題児である遠山一馬と転校生の天乃解を仲良くしようともくろんでいた。
遠山一馬は戻ってくる生徒からゼッケンを受け取って身に着ける。横を見ると天乃解も同じ色のゼッケンを着けている。なんだよ、やつと一緒かよ。絶対に、ボールを渡すもんか。俺、一人で勝ってやる。遠山一馬はバスケットボールには自信があった。
ゲームが始まると遠山一馬は天乃解の様子をうかがった。天乃解は相手チームのボールをカットすると、あっと言う間に三人抜いてゴール前でジャンプした。直接、ゴールにボールを置いてくる。ボールはリングの上でクルリと回ってネットに吸い込まれた。
「結構やるな。負けてられっかよ」
遠山一馬は小さく吠えると、相手チームのボールを奪いにかかる。が、なかなかカットできない。どう言うわけか今日に限って相手チームのメンバーが五人ともバスケ部員と言う組み分けだった。遠山一馬は、笛を口にくわえた担任の石谷里帆を見る。彼女はニヤリと笑った。
「ちっ。田舎のバスケ部員なんかに負けてられっかよ」
彼は腕を大きく伸ばしてボールをカットする。ようやくボールを手に入れて、ゴールを目指すが三人がかりで行く手をふさがれる。彼は周りを見回すが、天乃解以外のチームの二人は変な場所に陣取ってなかなかパスを出せない。それでも、その内の一人に無理やりボールを投げる。案の定、相手チームにカットされる。
「なんだよ。あのバカ」
その時、横から飛び出してきた天乃解がボールを奪い返して、遠山一馬に投げてよこす。遠山一馬はドリブルで一気にゴールにつめ寄り投げる。ボールは吸い込まれるようにゴールネットを抜けた。
体育館裏の事件をまるで気にしていないかのように、天乃解は遠山一馬にパスを出してくる。遠山一馬は仕方なくそれに応じた。次第にゲームはバスケ部員五人と遠山一馬と如月創の二人の対決のようになっていく。点の取り合いは一進一退でなかなか差がつかない。
ゲーム終了間際に遠山一馬は根負けして、天乃解へとパスを出した。ボールを受け取った如月創は、その場からゴールに向けて投げる。ボールは弧を描きながら飛び、ゴールネットに飲み込まれた。
ピピー。
遠山一馬のチームの勝利でゲームは決した。




