第七章 第二節「ビル・ワトソンの陰謀」
ビル・ワトソン大統領は会議の出席者の顔をゆっくりと見まわす。
「そこでだ、CIA(中央情報局)長官。キミには日本に潜伏する天乃解を探し出していただきたい」
ひょとりたした背の高い男が立ち上がる。
「はい。了解しました。ですが、我々の力で『破壊者』なる存在を殺すことができるのでしょうか?」
「如月創君が私の所を訪ねて来た時、私は彼に拳銃を投げつけた。拳銃は彼の頬を切り、彼は血を流した。天乃解と言う者が、彼と同じだとするなら、我々と同じ肉体である可能性は十分ある。が、しかし、私はまだ『破壊者』を殺せとは言っていない。居場所をつき止め、能力をつき止めろ。弱みを握るのだ。殺せるかどうかも探れ」
ビル・ワトソン大統領は一拍置いて、白髪の恰幅の良い紳士に告げる。
「FBI(連邦捜査局)長官。キミの仕事は、如月創君を24時間監視することだ。弱みを握れ。そして彼の殺し方を探れ」
「殺し方ですか。彼は我々の味方では?」
「キミらしくない。裏切りはキミたちの専売特許ではないか。『創造者』だろうが『破壊者』だろうが、我々はアメリカにとって有用な方をとる」
ビル・ワトソン大統領は他のメンバーに次々と指示を与えた。
「国防長官。キミは彼らの軍事的利用価値と抹殺手段をまとめろ」
「国務長官。CIAと連携し、必要とあれば外交交渉を使ってでも天乃解を手に入れろ。いいか、間違っても日本に取られるな。黄色いサルはしょせん、我々とはあいいれない」
「副大統領。FBIと協力し議会とマスコミを押さえろ。漏洩したものは国家反逆罪として銃殺も許可する。非常事態と心得よ」
国家反逆罪と聞いて司法長官が渋い顔をする。ビル・ワトソン大統領は彼をにらみつけながら続ける。
「司法長官。彼らが仲間になった場合の新しい法整備を進めろ。議会には絶対にもらすなよ」
「その他、財務長官、エネルギー長官、経済担当補佐官などは自分の専門分野で、彼らの影響と活用方法をまとめろ」
「期限は一週間だ。一週間後に再度、同じメンバーで安全保障会議を執り行う。以上だ」
議会の出席者が慌ただしくシチュエーションルームを出て行った。




