第三章 第四節「捜索の手がかり」
ビル・ワトソン大統領は如月創のもとへとゆっくりと戻った。如月創は涼しい顔で彼を待っていた。
「キミの能力は疑いないようだ」
「そうですか。良かった。では『破壊者』を探し出して殺してください」
「キミの『創造者』としての力に匹敵する『破壊者』が力を使ったらどうなる」
「ここにある1000機のボーイングF-22 ラプターが瞬時に消えてなくなる。彼がその気になればアメリカ海軍最強とうたわれる第7艦隊を一瞬にして消し去ることも可能です」
「それは聞き捨てならないな。キミの力が『破壊者』と対をなすものだとするなら、我が国の第7艦隊を一瞬にして創り出すことが可能と言うことか」
「ええ。ここでやってみましょうか?」
こんな所で、空母や戦艦を造られたのではたまらない。大気圏外には他国のスパイ衛星だって数多く飛んでいる。砂漠に第7艦隊の艦艇が現れたとなったら、第三次世界大戦の引き金にすらなりかねない。ビル・ワトソン大統領は時計を見た。あと二十分足らずで中国の偵察衛星が上空を通過する。それまでに1000機もの戦闘機を隠さなければならなかった。
「それはまた今度にしよう。必要な時は私からお願いする。それより、この戦闘機を他国の人工衛星から見えないようにしてくれないか」
「わかりました」
如月創が答えた瞬間に、1000機の戦闘機を覆うように砂漠の迷彩柄をあしらったカモフラージュネットがかけられていた。しかも、それはアメリカ軍が開発したものとそっくりだった。雨や砂を防ぐだけでなく、電波を反射し、航空機が出す熱源を遮断して衛星から見えなくする最新鋭のネットだった。
ビル・ワトソン大統領は軍服の側近を呼びつけ、ロッキード・マーティン社のCEO、エレナ・ベーカーに従ってボーイングF-22を運び出すように指示をした。彼女らが去ると、兵士たちが慌ただしく作業を開始した。
一旦は国内の空軍基地に割り当てるとしても、いずれは格納庫も彼に造ってもらうことになるだろう。彼一人いれば巨大な製造工場も造船所も必要がなくなった。その反面『破壊者』の力を手に入れた国が現れれば、アメリカ建国以来の脅威になることは間違いなくなった。
「で、我々はどうやって『破壊者』を探し出せばいい?」
ビル・ワトソン大統領がたずねる。
「『破壊者』の名前は天乃解。おそらく日本にいます。彼の力はまだ目覚めていない。彼の力が目覚めるまでが我々に残された唯一のチャンスです」
ビル・ワトソン大統領は如月創の答えを聞いてホッとした。同盟国の日本ならしばらくは安心だ。日本の内閣総理大臣、木崎洋三の顔を思い浮かべた。




