時を戻せる僕と厨二病 (8話)
ガチャ
「パパ!りんちゃん!行ってらっしゃい!」
「行ってきます母さん」
いつも通りの朝、憂鬱な気分のまま玄関を出る
「会えない時間が寂しいよママ!」
「私も、寂しいわパパ!」
また始まった・・・
「くそっ!会社なんてなくなればいいのに!そしたら、ママともっと一緒にいられるのに」
「パパ・・・そこまで私のことを、そうだわ!今日は会社お休みしない?」
「バカッ!僕はママと倫太を養わないといけないだろ!それに、ママが作ってくれたこの弁当があれば僕は無敵さ!」
「パパ!」
「ママ!」
ー永遠にそこでやっていろー
ガチャ
近所の家のドアが開く
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
声と一緒に幼馴染と幼馴染の母がでてくる
「あらおはようりんちゃん(ニヤニヤ)」
前回のゲームの一件からおばさんは、僕と奈津の関係が進展したと思い込んでいる
「おはようりんちゃん」
ぐっすり眠っていたこの少女はきっと昨日の記憶など一切ないのだろう。
「おはよう奈津、おばさん」
歩き出した僕に奈津はいった
「いつも通りおじさんとおばさん仲良しだね〜」
その言葉を聞き、後ろを振り向いてみる
「・・・パパ大好きよ」
「・・・僕もだよママ」
まだやっていたのかあのバカ両親は、
ーーーーーーーーー
ガララァァ
教室のドアを開けると、見慣れた二人が立っていた。
「おはようりんた」
「おっすりんた」
「おはよう七瀬」
絶世の美女と、変態底なし沼〈こうすけ〉が挨拶をしてきた
「おい・・・俺には返事を返さないのか?」
おまえに挨拶をしてやる義理はない。
すると幸助の背後から、ネックレスなどの装飾品を身に着けた小柄な少女が現れた
「まさか・・・幾年層の時を経てまた巡り会えたというのか?我が眷属にして時を司る者よ!」
今彼女は、"時を司る者"といったが決して僕の能力を知っているわけではない。
そういう設定らしい。
「あぁおはよう笹田インフルは治ったのか?」
「澄乃ちゃんおはよう!インフル大丈夫だった?」
彼女の紹介をしておこう
名前は笹田澄乃、発言から察したであろう彼女は厨二病だ、かなり末期の。
「ふんっ!笹田澄乃などという名前はとうに捨てた!」
彼女は続け様に言う。
「私の名は!レイシス・ヴィン・ニルヴァーナだ!」
「そしてインフルなどという貧弱な病気ではない
魔界の病気『闇の障気にかかっていたのだ!」
もしかしたら闇の瘴気というなのインフルエンザなのだろう。
「いや、お前きついとか言って泣きながら早退してたじゃないか」
「そうだよ澄乃ちゃんすごく心配したんだから」
奈津の発言の後に、僕は彼女の腕に包帯が巻かれているのに気づく
「笹田その右腕の包帯どうしたんだ?」
「我の右腕には、魔界に住みし暗黒竜を宿しているのだ、封印を解くことは世界の終わりを意味することになる」
また、よくわからない設定を・・・
「何を集まっているんだ、HRを始めるぞ、席につけ」
そういいながら僕らの担任の大柄な男はまだ10分前だというのに教室に入ってきた。
みんなが席に着くなか、笹田だけは、立ち尽くしていた。
「何をしている席につけ」
案の定箱庭先生の怒りを買ってしまう
「久しぶりだな、BoxGarden」
「箱庭先生と呼べ、それとも貴様は休み明け一発目に俺の指導をくらいたいのか?」
「笹田という名ではない!私の名は!」
・・・教室中が静まり返る。
そしてお決まりのポーズを構えこう叫んだ
ーレイシス・ヴィン・"リリス"だ!ー
いや、お前さっきと名前違うやん
「腕に巻いてる包帯とネックレスは没収だはずせ」
箱庭先生は、指をポキポキと鳴らしながら言う
「この包帯は暗黒竜が住んでいる。そしてこのブラック・バニーは我の本当の力をセーブしておる。ま、一般の者にはただのネックレスにしか見えんかもしれんがの」
す、すごいこの空気でも厨二病設定を貫けることと相手があの箱庭先生だってことが。
「何をバカなことを言っている。お前はインフルエンザだろが!!」
「イ、インフル言うなぁー!!」
あ、今一瞬素が見えた。
「は、外さないと言ったら?」
「ここで一度制裁を加えてやろう」
「がんばれー笹田!」
「応援してるぞー」
「がんばって澄乃ちゃん!」
クラス中が彼女を応援しだした。
「うるさいぞお前ら!静かにしないか!」
彼女が握りこぶしをつくる
「我が最強の拳をその身に受けてみよ!」
「喰らえ!ジャッジメント・スカイアッパー!」
彼女の必殺技?らしきものは空を切り、
ガシッ‼︎
「な、なに⁉︎」
彼女は、襟を掴まれ、そしてそのまま廊下に運ばれて行った。
「やっやめろ!離せ!この愚か者がぁぁぁぁ」
ーーーーーーー
〈休み時間〉
「ぐすん!バーカバーカ!箱庭先生のバーカ!」
彼女は頭に大きなたんこぶを作り泣きながら帰ってきた。包帯もネックレスも没収されたようだ。
笹田いわくどうやら魔界に住みし暗黒竜は封印から解き放たれたようだが、世界が無事でよかった。
「大丈夫澄乃ちゃん?」
奈津は、心配そうに言った。
「澄乃はいつも泣かされる」
七瀬は冷静に言う
「いや、なんとなく予想はついていただろう?」
幸助の言う通り誰もが予想はしていたであろう
この展開を
そして彼女はいつも決まってこう言うのだ
"いつか、痛い目に合わせてやる!"と
まぁ痛い目に合わせた試しがないのだが
第8話読んでくださり、ありがとうございます!