時を戻せる僕とゲーム攻略1 (5話)
キーンコーン カーンコーン
そのチャイムは授業と1日の終わりを合図する
ものだ。
「おーい奈津帰ろうぜ」
荷物をまとめた僕はいつものように奈津を誘う
「・・・」
しかし、当の本人はは何か言いたそうに僕を見つめる
どうしたのだろうか、また胸でも成長したのだろうか?
「どうした奈津?」
童顔をすこし歪ませ彼女は言った
「帰りにゲーム屋さんに寄ってもいいかな?そんなに時間かからないから!」
奈津がゲームショップに行きたいだなんて珍しい
「別にいいけど、ゲーム買うのか?」
僕の返事を聞くなり嬉しそうに言った
「うん!今日発売のゲームがあるんだ‼︎‼︎」
なぜだろう奈津が可愛く見えてしまった。
やはりこいつは胸の膨らみを抜いたら、高校生ではない幼女だ
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ウィーン
「いらっしゃいませ」
僕たち二人が訪れたのは、近所のゲームショップ小さい頃はたくさんのゲームに囲まれた夢のような場所だったが最近はゲームなんて一切しなくなったこともあり、大人になるにつれて次第にその感覚はなくなってしまった。
しかし、ゲームショップに来るのなんていつぶりだろうか
「奈津、お前は目当ての商品を買ってこい僕はそこらへんをうろついてるから」
買いたいゲームが決まっているなら、そんなに時間はかからないだろう。
そこまでここに長居する気もないしな。
「うんわかった!」
とりあえず隣の幼女に目的を達成してもらうことにした。
このゲームショップは一戸建ての広い店で小さい頃にはよく来ていたが、しばらく来ないうちに、店内の雰囲気はガラッと変わってしまったようだ。
「昔はカードゲームも売ってたんだけどな」
過去の余韻に浸りながら店内を歩くと四隅の一角に赤と黒の二色で彩られた魅惑の暖簾≪のれん≫が姿を現す。
ーそう18禁だー
前言撤回しよう、この店は何も変わっていないと。
欲望のままに僕は子供のころから変わらない理想郷へと足を運ぶ
「ん?」
18禁コーナーの暖簾を潜ろうとしたとき
横に小さなかごがあることに気づいた。視線を向けると、そこには大きな文字で
クソゲーコーナー‼︎ 全品100円!
と書いてあった。
こんな広告で買うやつなんているのか?
クソゲーには小さい頃に何回か当たったことがある。
先が読めない展開でプレイヤーを何度もどん底へと叩き落す。
あのイライラとクリア後の興奮は忘れられない。
僕は気がつくとそのコーナーの商品の品定めを始めていた。
「なるほど、どの作品もクソゲーの名に引けを取らないな」
パッケージといい絵柄といい何から何までクソゲー感満載だ。
例えるならまるで超サイヤ人のバーゲンセールだ。
「りんちゃーん!買って来たよ!」
満足そうにこっちに来る奈津の手には某モンスターゲームがみえる。
「よし、帰るか奈津」
口では言ったもののクソゲーコーナーから目が離せない。
小学生のころの僕なら間違いなくスルーして新作ソフトに走っていただろう。
「え?りんちゃん買うんじゃないの?」
ロリっ子がすこし驚いた表情で問いかけて来る
「・・・買わないよ」
こんな広告まで、出しといて買ったって後悔するに決まっている!
中学生のころの僕なら迷わず18禁へと走っていただろう。
「あー!りんちゃん本当は欲しいんでしょ?」
奈津は、ニヤニヤしている。
「い、いらないさ、こんなに魅力が感じられないのは初めてだし、どれくらいクソゲーなのかは気になるけど欲しいとは思わないね!」
高校生の僕はツンデレってやつかもしれない。
「しょうがないなぁ、奈津が買ってあげよう今日はついて来てくれたし、帰って一緒にやろう?りんちゃん」
「お、お前がそこまで言うならしょうがない一緒にやってあげなくもないぞ?」
僕ってば本当にめんどくさい男だな。
ていうか、クソゲーのせいで18禁に入り損ねたじゃないか!!
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ウィーン
「ありがとうございました」
結局僕と奈津は、
『その口づけちょっとまった!〜中年男性とのいけない恋〜』
という、ジャンルでいうと恋愛ゲーム?なのか、どうかわからないゲームを購入した。
題名から、想像するに中年のおじさんとの恋愛ゲームなんだろう
この題名といい、明らかに大衆受けを狙っていない設定といい
あぁこれだからクソゲーはやめられない!
気づけば僕は18禁を忘れクソゲーをやりたい衝動に駆られていた
6話に続く
5話読んでくださりありがとうございます