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リセスト  作者: トンボ
学園祭編
46/49

時を戻せる僕とミシンメトリー (46話)

「今日は学園祭だ!!」

僕たちの担任である箱庭先生のその一言でクラス全員は各自、自分の持ち場に移動する。

奈津も幸助もそしてもちろん僕も

「ククッ…。眷属よ我らもとうとう本気を出す時が来たようだな。」

中二病こいつと一緒に。


ーーーーーーーーーーーーーーーー



それは時間を巻き戻すこと二週間前のことである。



「というわけで来週から学園祭準備期間に入る。」

HRにて副担任の丸先生と担任の箱庭先生が教壇に立ちクラス全体に向かって今年の学園祭の説明をしているところだ。

僕の学校の学園祭では1年生は合唱、2年生は演劇、3年生は出店をすることになっている。

「例年に乗っとり、今年も演劇をすることに決まった!」

担任の箱庭先生は大きな声でクラス全体に響かせるようにそう言い放った。

「・・・」

イベント好きな僕のクラスは珍しく無反応だ。

まあ、当の僕も演劇は正直どうでもいいんだよなぁ

「そこで実行委員の美園を中心に今から演目等色々決めてもらう!美園前に来い」

「はい!」

箱庭先生に呼ばれて元気よく教壇に立つ巨乳ロリは自信満々の表情をしている。

そういえば奈津は夏休みくらいからずっと委員会の仕事をしてたもんな。

「えっと!まず演劇の諸注意が3つあるので説明します!」

諸注意なんてあるんだてっきり好き勝手やって良いものなのかと思ってた。

「1つ目はちゃんと原作がある物語を使うことです!過去にオリジナルの演劇をして“停学”になった生徒がいるみたいです!」

ほう。たしかに素人がオリジナルで製作して変な空気になったら嫌だもんなぁ


。。。ん?


―――「「「停学!?」」」――――

クラス全体の驚きの声が調和した


停学っていったい演劇で何をしたらそんなことになるんだ!?


「過去に“これが俺らの演劇だ!“とわけの分からない声明とともに2時間にわたるアダルトビデオの再現をしたクラスがあったみたいです。」

奈津の隣に立っている副担任の丸先生が淡々と説明をした。


「・・・」

騒がしいで有名の僕のクラスがこんなに静まり返ることが過去にあっただろうか。


「美園さん続けてください。」

「はい!2つ目は過度な物語の改変は禁止です!過去には過度な原作の改変をして“退学”になった生徒もいるみたいです!」

たしかに原作を改変して変な方向に進みかねないよな


。。。ん?


―――「「「た、退学!?」」」―――

停学はまだ分かるけど退学!?

いったい何をしたんだ!!


「“俺らがオリジナルを超えてやるぜ!”という訳の分からない声明とともにロミオとジュリエットをアダルトビデオ調に改変したクラスがあったみたいです。」


「・・・」

頭がおかしいで有名の僕のクラスがこんなに呆れかえることが過去にあっただろうか。


「学校の格を2年連続で下げたとしてクラスの主犯が3名程退学した。それ以降男子クラスは廃止になったのだ。くれぐれも貴様らはそんなバカげたことはしないように」

担任の大男は補足をするように説明した。

「・・・同じメンバーだったのかよ。」

それは、校長もブちぎれるよな。


「美園さん続けてください。」

「最後は大掛かりなセットは作成しないことです!過去には大掛かりなセットによって“帰らぬ人”も出たそうです!」


―――「「「か、帰らぬ人!!??」」」―――


「いや!!もういいわ!!!」

思わず立ち上がってツッコミを入れる僕


「どうせまた男子クラスのわるふざけだろう!!!」

「違うよ、りんちゃん。大きいセットが演劇中に崩れて大けがしてそのまま学校に戻ってこれなくなった人がいたんだって…」

最後だけまじめな理由なのかよ。


「…ごめんなさい。」

僕はそっと席に座った。


「美園さえぎるようですまないが」

極悪担任教師はそう前置きを置くと

「学園祭準備期間中2名ほど俺が顧問している部活を手伝ってもらいたい。」

そう僕らに向けて発言をした。

そういえば、学園祭は基本全員参加だが部活によっては参加できない人もいるみたいだ。

「手伝いと言っても難しいことではない。立候補制だ、誰かおらんか?」

そうはいっても箱庭先生のことだなにかと面倒なことを押し付けるだろう。

僕のその考えと同じようにクラスの中で立候補するものはだれもいない様子だ。

ところで、今、僕は箱庭先生と目が合っている気がするのは気のせいだろうか。

「だれか手伝ってくれるものはいないか杉本」

うん気のせいじゃなかった、名前呼ばれたもん

「いないんじゃないですかね?みんな演劇したいはずですよ。」

僕は最大限の笑顔で答える。

「そうか、言い方を変えよう。手伝え杉本」

僕の笑顔に先生も笑顔で答える。

「いくら先生とは言え、生徒のやりたくないことを強要するのはよろしくないかと。」

変わらず僕は笑顔で答える。

「強要ではない推薦だ。」

ものは言い様だ。

「さきほど、立候補制と仰ってましたよね?」

「・・・」

先生は笑顔のまま拳をそっと構える。

「先生のそのなんでも武力で解決するところ今の社会情勢に反してますよ!!」

全く僕が文春の記者なら3回は記事にして社会的に消しに行くぞ。

…まあ、最もこんな筋肉質なおっさんのクソみたいな記事誰も読まないだろうけど。

「そんな、いやそうな顔をするな。さっきも言ったが難しいことを手伝えとは言っていない。第一貴様という問題児を演劇から遠ざけることが目的なのだから」

「…はい」

おさえろ!僕の右手の拳が文春砲を打ちたがっている!こいつの顔面に文春砲という名の鉄拳を打ちたがっている!!

「それで僕とあと1人はだれなんです?」

怒りに震えながらできる限りの笑顔で僕は尋ねた。

「最悪杉本1人でも問題ない。」

いや、問題しかないだろう。

「フフッ…ならば、我が加勢しよう」

独特なポーズとともに立候補したのは中二病の笹田だ。

「良いのか笹田」

「ああ、我がいないと眷属はなにもできないであろう」

そんなことはない。

「では早速だが俺について来てくれ。美園は演劇の進行を頼む。」

「はい!」

それから僕と笹田と理不尽教師の3人は教室を後にするのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーー



「笹田おまえ演劇とか好きそうだけどこっちに来てよかったのか?」

「案ずるな。我は幼き頃に呪いをかけられて、群衆の前に立つと足と声帯が上手く機能しなくなるのだ。」

「素直にあがり症って言えよ。」

まあ、たしかに海の家の時といい対人があまり得意ではなさそうだもんな。

「俺が先に入るからお前たちはここで待っていろ」

なんて話をしていると箱庭先生が顧問をしている部室に到着した。

『ガララ』

「やっているか貴様ら。」

「「「押忍!!!!」」」

すごいでかい声、それに返事が押忍って、いかにも体育会系って感じだな

「そういえば、箱庭先生の持っている部活って何部だったけ?」

あの体罰教師のことだボクシングとか空手とか武術なんだろうけど。

「眷属は知らないでついてきたのか?我らの学校の唯一全国に出場する部活なのだぞ?」

「え、そんな有名だった?」

僕の学校普通の公立高校だからなあ、そんな強い部活なら知っているはずだけど。

『ガタガタガタガタ!!!!』

なんの音だ?部室から聞こえてくるのは機械の稼働音らしきもの

「い、いったい何部なんだ?」

目の前の部屋から聞こえる不思議な音に僕は唾を飲む

「よし、お前ら中に入れ。」

言われるがまま教室に入るとそこに広がっていたのは


『ガタガタガタガタ!!!』

たくさんのミシンだった。


「おい1年生!玉止めが甘いぞ!すぐ取れるだろうが!!」

『ガタガタガタガタ!!!』

「くそ針が折れた!どうなってんだよ!」



…たくさんの…ミシンだった。




「え!?手芸部だよね!?これ手芸部ですよね!!??」

僕の見間違えでなければたくさんの坊主部員が一生懸命布と向き合う姿がそこにはあった。

「手芸部だが?なんだ?」

「え、なんでそんな不思議な顔ができるんですか!?いかにも体育会系の雰囲気醸し出しておいてゴリゴリの文化部じゃないですか!!」

「体育部とか俺が言ったか?」

「いや、言ってないですけど!うちの高校の唯一の全国大会出る部活が文化部とは思わないじゃないですか!!てゆうか、手芸部の全国大会って何ですか!?」

「国立武道館を午前中貸し切って全国から縫物を展示するんだ」

「それただの展示会でしょ!?」

「手芸連盟”ミシンメトリー”が主催する全国大会だ。」

「なんですか”ミシンメトリー”って!どうせどっかの手芸同好会が『俺ら集まったしどうせなら名前つけようぜ!』みたいなノリでつけた名前でしょ!」

「左右対称を意味するシンメトリーと手芸の命ともいえるミシンをかけた良い名前ではないか。左右対称に縫うのは簡単に見えて難しいんだ。」

「この際”ミシンメトリー”はいいですよ!国立武道館貸し切って展示って何ですか!?『名前も付けたしどうせなら大会しようぜ!』と思って計画したはいいけど『あれ?よく考えたら武道館貸し切ってまで全国から人集めて裁縫ってなんか地味じゃね?』って学生のノリの勢いで計画した感じが否めないんですよ!!」

「それは貴様の憶測にすぎんだろ!」

「午前中だけってところにノリ感が出てるんですよ!!」


ー「そこに返し縫いをいれろって言っただろうが!裁ちばさみで刻むぞおまえ!!」ー

僕らがそんな討論を繰り広げていると教室の方から怒声が聞こえてきた


「たしかに、手芸は文化部だ、体育会系の部活に比べて日の目を浴びる機会は少ないミシンメトリーが学生ノリで結成された連盟であることも否定はせん。」

いや、否定しろよ。顧問だろ

「だが、こいつらは本気で手芸に向かい合っている。こいつらにとっては学生ノリの金だけ徴収する展示会でも全国は全国なんだ。」

え、ミシンメトリーを擁護したいの?貶したいの?どっち?

「その姿勢手芸に対する本気の姿勢はあいつらを見ればお前にも伝わるだろう。」

そう言われてそっと部室内を覗く。


「おまえら声だせ!!!」

「「「せい!」」」

いや、本気なのは伝わるけど

「おい!!マチ針がねえぞ!!やるきあんのか!?」

気合のベクトルが違うと思うんだよな~

「うおおおおおお!!!粗ミシンじゃああ!!!」

『ガタガタガタガタ!!!』

いや、手芸って静かにやるものじゃん?声張り上げながらするものじゃないじゃん?

「こんな布で何を作れってんだ!?手縫いなら家でやれ!!」

あとこいつらなんでみんな坊主なの?その坊主には何の意味があるの?

「学園祭の演劇の衣装は毎年手芸部が担当するのだが今年は1年生が少なくてな」

そりゃそうだろう。静かに趣味の手芸するつもりで入部したら全員坊主で裁ちばさみで刻まれそうになる部活とか1年生は看板2度見しただろうな。

「できるだけのことでいいあいつらの手助けをしてくれんか。」

そういって頭を下げる先生にいつもの理不尽さが微塵みしんも感じられなかった。

「ほんとにできるだけのことしかしないですからね?」

「すまない。助かるこれから2週間放課後はここで毎日文化祭の衣装つくりの手伝いをしてくれ頼んだぞ。」

そういうと先生は職員室へと帰って行った。

「笹田、おまえ裁縫得意か?」

「我を見くびるなよ?我の戦闘服は我が生み出しておるのだ。」

へえ、あのフリフリのかわいいやつか?凄いなそれは

「君たちが新入部員かい?歓迎するよ」

ほどなくして、部屋から1人の部員が顔を出す。

「いや、僕は違います。こっちは入りたいみたいですが。」

「おおい!!眷属貴様勝手なことを言うな!我は入らんぞ!!」

「おや、誰かと思えばきみ杉本くんじゃないか!?会いたかったよ」

「え、なんで僕のこと知ってるんですか?」

「ひどいな?忘れちゃったのかい?一緒に遊んだ仲じゃないか?」

ほんとに知らない誰なんだこの人?

「3年の田中です。」

「先輩、足踏んでます。」

今のあいさつの拍子に足をおもいっきり踏まれた。

「わざと踏んでんだよ。」

そういうと、田中さんは僕の足をぐりぐりと踏みしめる

なんかこの感じ覚えがあるな。

―『会長このゴミどうしますか!』―

うっすらと記憶がよみがえる。

「改めてよろしく」

―『お黙り!』―

―『ア“ア”ア“ア”///』―

―『ごめんなさい!!』―

―『くん!!』―

―『“中くん!!”』―


―『“田中くん”』―


「お前かああああ!!!!」

思い出したぞこいつは奈津のファンクラブを名乗る頭がおかしい軍団のNO.1田中だ!!

「お、おい眷属この男知り合いか?」

「なっ!杉本!奈津様に限らずまたこんなかわいい子を引き連れやがってこの浮気者の尻軽男が!!」

「か、かわいいだとっ?そんな言葉言われても我はうれしくなんかないぞ…」

「恥じらうその感じたまらないなハハッ///…お名前はなんて言うんですか?」

「ヒィ!助けろ眷属!我はこいつが苦手だ!目がやばい!」

ああ!また状況がややこしくなる!!

もう勘弁してくれええええ!!!



こうして僕の学園祭の準備期間がスタートしたのだ。





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