時を戻せる僕と結婚予行練習(35話)
季節は8月中旬夏休みも残すところわずかとなった
そして、家の前で車に荷物を詰めながら楽しそうに話しているのは、僕の両親と奈津の両親の4人である。
「いやぁ杉本さんと旅行だなんて久しぶりですな!」
「そうですね〜10年ぶりくらいですかね?楽しみましょうね!!」
今日は4人で温泉旅行に行くのだ。そのお見送りに僕と奈津がいる。
「あ、そうだりんちゃん」
奈津のお父さんが僕に声をかけてきた。
「はい?」
「何事もタイミングが大事だからね?」
「はぁ?なんのことです?」
「この前奈津を押し倒したんでしょ?今日は二人きりなんだから結婚生活の予行練習と思ってさ、チュウまで行ってみよう!」
満面の笑みでファイトと言わんばかりに僕の手を握ってくる。
「するかぁぁぁぁ!!!」
手を振りほどき僕は叫んだ。
前にかるく説明はしたけど、僕たちの両親は4人揃って僕と奈津が結ばれるのを望んでいるのだ。全く困ったものだ。
「それじゃあ行ってくるわね2人とも」
「行ってらっしゃい!楽しんできてね」
「りんちゃん奈津をよろしくね」
「こちらこそ父と母をよろしくお願いします。」
車内から手を振りながら4人は1泊2日の旅行へと旅立って行った。
「ウキウキしてたねみんな!」
「まぁたまには童心に帰るのもいいんじゃない?息抜きも必要でしょ」
「それもそうだね!」
「そういえば最近じいちゃんからスイカ届いたんだ。取ってくるよ」
今日は奈津の家に泊まって欲しいと頼まれたのだった。
「ええスイカ!?本当!!」
「じゃあすぐ行くから、家で待ってて」
「うん!」
〜5分後〜
「おじゃましまーす」
玄関のドアを開けると奈津が出迎えてくれた。
「いらっしゃーい!うわぁ立派なスイカだね!」
いつぶりだろうか、この家に入るのは、
しかし昔と変わることなく綺麗な家だな
「あ、そうだ奈津」
「なに?」
スイカを渡した僕は本来の目的を達成するため奈津にあるお願いをしようと思っていたのだ。
「夏休みの課題見せてくれない?」
溜め込んだ課題を写させてもらうことなんて僕にとっては毎年の事だ
「いいよ!なに見せればいいの?」
そして写させてくれるのは奈津、これも毎年のことだ。このために奈津と同じ学校を選んだと言っても過言ではないな
「全部」
「、、、りんちゃん成長しようよ。」
おそらく今の奈津の呆れた目を表すならジト目というやつだろう。
「失礼だな、僕だって成長はしているさ。」
「嘘だ!毎年全部やってないじゃん!」
「今年は終わってないだけで少しはやったよ」
「どのくらい?」
どのくらいと言われるとそうだな、僕は持ってきたバックの中から漢字プリントを取り出し奈津に渡した。すると奈津はどれどれと言いながらプリントをひらいた
「にんべんしか書いてないじゃん!!」
「なにを言うか?にんべんでも書いてるだけ成長してるだろ?」
正確に言えばにんべんしか分からなかったのだ。
「他の宿題もこんな感じなの?」
「いや、にんべんどころかペンが触れてない。」
目の前の奈津は、はぁと大きくため息をついた。
「奈津の宿題見せてあげるから夜までに終わらせてね。」
「あぁ任せろ!何年この作業をしてきたと思ってる!課題はどこにあるの?」
「奈津の部屋に置いてる」
「わかった!とってくる!」
そう言って奈津の部屋がある二階へと僕は向かった。
「せっかくりんちゃんと2人きりなのに、、、」
「なんか言ったか?」
今、奈津が小声で何か言ったような気がしたけど気のせいだろうか
「なんもないー!!」
階段を上がりきると向かいに奈津の部屋がある
「、、、当然のように来てしまったが女の子の部屋に入るというのは緊張するな」
幼馴染とはいえ奈津も女の子だ。それに最後に奈津の部屋に入ったのなんて一年前もしかしたら、中学生の時かもしれない
「うおっ!!」
ドアを開け部屋に入ると下着(ブラジャー(花柄))がベッドの上に落ちていた
「お、おいこれ!さっきのスイカを包めるんじゃないか、、、?」
見るからにサイズが大きい
『ダンダンダン!』
『バタン!!』
何かを思い出したかのように奈津が部屋に飛び込んで来た
「り、りんちゃん!?」
息を切らしてものすごく焦った顔をしている
「、、、なんだ?」
奈津はその勢いのまま風の如くベッドの上のブラをタンスにしまった。
「見た?」
「、、、何も見てないよ」
「ほ、本当!?良かったぁ」
安心しろ花柄のブラなんて見てないから
「そ、そうだりんちゃん!!宿題は奈津が持ってくるから!りんちゃんはリビングで待ってて!」
この焦りようまだ見られたらまずいものでもあるのだろう。まぁ人には見られたくないものの一つや二つあって当然だ。
「わかったよ出来るだけ早めに頼むね」
「う、うん!待ってて!」
まぁ、今日は宿題を写させてもらう身だ。変な詮索はやめておこう。
「危なかったぁ、、、りんちゃんの写真集がばれちゃうところだった、、、」
『バタン!!』
「そこを動くな!!」
「りんちゃんどうしたの!?」
「手を頭の上におけ!!」
「な、なんにもないよ?本当だよ?」
「僕の写真集とやらを提出しろ!」
「な、ないよ〜そ、そんなもの奈津は知らないなぁ〜」
こいつ独り言で言ったつもりだったのかもしれないが確かに僕の耳には写真集という単語が聞こえたぞ。
「出どころは風松といったところか」
「うっ、、、なんのこと?」
目が泳いでるな
「やはり風松か、、、」
「も、もういいでしょ!!リビング行ってて!」
奈津が僕を押し部屋から追い出そうとした時だった。
『パサッ』と音を立て奈津の着ていた服の中から一冊の本が姿を現した。
「なんだこれ?」
「ああっ!?ダメェ!!」
背の低い奈津が届かないように腕を上げ高い位置で本を開く。
1ページ目:僕のあられもない女装姿
2ページ目:僕のあられもない女装姿
3ページ目:僕のあられもない女装姿
4ページ目:僕のあられもない女装姿
5ページ目:僕のあられもない女装姿
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
表紙には杉本倫太1st写真集『元気りんりん』
と書いてある。
なんて臭いネーミングセンスなんだ!!
しかも無駄にクオリティが高い!まるでプロが作ったかのような本物の写真集さながらじゃないか!!
「お願いりんちゃん返しでぇぇ!!奈津その写真集を夜に見ないと寝れないの!!」
泣きながら僕に懇願してくるその姿になぜか罪悪感を覚えた。
「それにしても、、、これいつ撮られたんだ?」
写真の内容は合コンの時とポスターのモデルでショピングセンターを追われた時の写真など全40ページの黒歴史本だ。
「よし奈津、これの入手ルートを言ったら返してやろう」
「本当!?あのね、あのね!」
僕が返すと言った瞬間に奈津は幼稚園児のように目を輝かせた。
「うんうん、ゆっくり全部話すんだよ?」
「風松くんに予約して取り置きしてもらったの!!」
予想通り風松か、、、ん?
「まて、予約ってなんだ」
「えっとね、、、発売するのがね学校のみんなに発表されてね」
は?学校のみんな?
「学校のみんなって全学年か?」
「うん!あと先生も何人か!」
先生にも、、、だと?
「でもね!予約が殺到しすぎてね!100部売る予定だったんだけど全部1ヶ月前に予約が埋まっちゃってね!でも奈津は1週間前に予約したら取り置きしてもらえてね特別にもらったの!」
あと99部、、、あと99部もこの本が全校生徒に出回っているというのか、、、?ドラゴンボール集めるよりも大変だぞ!?
「あ、、、」
奈津は何かを思い出したように口を開けた
「どうした?」
「これりんちゃんだけには言うなって風松くんに言われてたんだった!!」
まさか僕の写真も奈津のように出回っていたなんて、、、
「ねぇ言ったでしょ?返してりんちゃん!!」
「はい」
僕は奈津にそっと写真集を返した。
「ありがとう!!」
嬉しそうに笑っているが奈津、、、お前も自分の写真が出回ってるんだぞ?しかも他校の男子にも回っているレベルだ。
「、、、強く生きろよ」
「りんちゃんなんでそんな奈津を哀れむ目で見るの?」
この様子だと知らないんだろうな可哀想に。
まぁ僕も奈津の写真を持ってるからお互い様ということで今回は水に流そうじゃないか。
ーーーーーーーーーー
「終わったぁぁ!!」
奈津から宿題を貸してもらいやっと写し終えた。
「お疲れ様りんちゃん」
時間は17時ごろか写すとはいえ時間はかかるな。
「どうする奈津?そろそろ夜ご飯つくりはじめる?」
「そうだね、早く作り始めた方がいいかもね!」
材料は家にあるものでつくれとのことなので冷蔵庫を開いた。
「この材料だと、、、カレーかな?」
「うん、そんなところだろうな」
僕は結構料理をするが奈津はどうなのだろうか?
僕の覚えている限り小学生の頃にバレンタインでもらったチョコレートがしょっぱかったのを覚えている。
「奈津は普段料理ってするの?」
材料をキッチンに置き野菜を洗いながら僕は聞いた。
「うん、最近はしなさいってママが言うんだ!」
「へぇなんで?」
「料理できないとりんちゃんのお嫁さんになれないよって」
「あ、あのな!別に料理できないからって僕は嫁に貰わないなんてことはないぞ!?」
前々から思ってはいたけど、美園家の教育方針はどこかずれてる気がする
「じゃあ奈津をお嫁に貰ってくれるの!?」
「、、、ノーコメントで」
「ええ!?なんで!!」
「いいからさっさと作るぞ」
話題をそらすため僕は料理を催促した。
〜それから1時間後〜
僕たちは無事カレーを完成させた。
「いただきます。」
「いただきます!」
早速カレーを一口食べてみる。
、、、甘いな
奈津が甘口しかたべれないのでルーは甘口にしたのだが流石に甘すぎたな。
まぁこれはこれで美味しいからいいんだけどね。
「美味しくできたね!りんちゃん!」
「ん、僕が作ったんだし美味しくなるに決まってんだろ?」
「曇りのない表情で言いきるんだね。」
「そういえば今日7時ごろから花火大会だよな。」
僕は回覧板にはさまっていたチラシを思い出した。
「そうだったね!!」
「確か庭から見えたよな?一緒に見ないか?」
「うん!!」
まだ6時だから1時間ほど時間があるな。
「りんちゃん、時間あるし今のうちにお風呂入っちゃおうか」
これは僕を誘っているよな?そういうことだよな?
「よし!下着取ってくる!」
そうとなれば急いで行かなくてはだな!
「りんちゃん?」
ー 一緒には入らないよ?ー
ー入らないよ?ー
ーないよ?ー
、、、うそ、、、だろ?
「なんでだ!!小さい頃は一緒に入ってたじゃないか!?」
あの時はこんな立派な胸になるなんて思っていなかったけど。
「だってもう高校生じゃん!!」
「高校生でなければいいんだな!?」
よし!リセットしてやる!そうだな中学一年生ぐらいがちょうどいいな?一回10秒だからえーっと
「中学生でもだめだよ?」
諦めよう。
「じゃあ奈津先入ってくるから!」
そう言って奈津はタンスから下着を取り出した。
だが、その瞬間を僕は見逃さなかった。
タンスから一つの宝が落ちるところを
「おうわかった、じゃあ僕一回家に帰って色々取ってくるわ」
「うん!!」
そう返事して奈津は風呂へと向かった。
幸いにもブラが落ちたことに奈津は気づいていないようだ。
『バタン』
、、、行ったな。
「はいどうも!司会進行の杉本です!さぁ僕の右手には今朝家から持ってきたスイカがございます!そして左手には先程奈津が落としたブラジャーがございます!それでは今からこのブラでスイカを包んー『バタン!』
「タオル持ってくるの忘れてた!あれ?りんちゃんタンスの前でスイカ持って何してるの?」
「あぁ〜スイカ大きい〜なんだこれ黒い斑点可愛すぎじゃね?おや奈津どうしたんだい?」
あ、危なかった。ドアが開いた瞬間にブラを足元に敷いたがバレるのは時間の問題だ。
「まさかいたづらしてないよね?」
奈津さん?目が笑ってないよ?
「いたづら?僕が一体どんな事をするって言うんだい?」
今の状況を整理しよう。
タンスの前でスイカを持って正座する僕、
そして足の下にはブラがある。
うん、まさか僕がしようとしていることがバレることはないだろう。
「そうだね〜例えばそのスイカを奈津のブラジャーで包んだりとか?」
バ、、、バレてるぅぅぅぅぅ!!!!
「そそそそんなことするわけないだろう?」
「りんちゃんポーカーフェイスって知ってる?今謝ったら許してあげるよ?」
「マジすいませんしたー!!!」
土下座をして僕はブラジャーを差し出した。
「全くりんちゃんは、、、これママのだし」
「、、、え?」
おばさんそんなに巨乳だったんですね。
僕は奈津の顔から胸に視線を落とした。
、、、美園家の遺伝子恐るべし。
ーーーーーーーーーー
「奈津花火始まっちゃうぞ」
「ちょっと待ってね。今スイカ切ってるから。」
風呂を上がった僕は庭に椅子を二つとミニテーブルを置き花火が始まるのを待っていた。
「りんちゃん飲み物何がいい?」
「そうだな、サイダーがいいな」
夏祭りといえばサイダーのイメージがあるからな
気分だけでも味わいたいな。
「サイダー、、、あれ?なかったかな?」
「ないならお茶でいいよ?」
「あっ!あった!さてはパパだな!こんなところに隠したのは!」
「なんでサイダーを隠すんだよ?」
奈津はお盆にコップを二つと『サイダー』とペンで書かれた2リットルのペットボトルを持ってきた
「はい!サイダー」
奈津はコップにサイダーを注いだ。
「ありがとう。」
その時だった。『ヒュー』『ドン!』と音を立て一発の花火が上がった。
「わぁ!!すげぇな!奈津!」
夜空に上がった。一つの花びらは言葉では表せないくらい綺麗だった。
「んぅ?なぁにぃ?」
「あれ?奈津顔真っ赤だぞ?どうした?」
「ヒック、、、べぇつにぃ?なんもないれど?」
今しゃっくりしたよな?それに発音がおかしい
「まさか!このサイダーか!?」
恐る恐る僕はサイダーの匂いを嗅いでみた。
「くさ!これお酒だ!!」
「りんしゃん!!」
こいつコップ分全部飲みきってる。これアルコールだいぶ高そうだぞ?
「な、なんだ?」
「りんしゃんは奈津のことほったらかしすぎれす!!」
そして僕を指差しながら続けて奈津は言った。
「よって今からりんしゃんにキスしやす!」
「はぁ?何言ってんだ!?」
「つかまえました」
一瞬隙を見せたその瞬間、僕は奈津に押し倒され捕まった
「ば、ばかよせ!!」
「いやれす」
そして奈津は目を閉じ口を僕の口にゆっくり近づける。
ーーー『リセット!』ーーー
僕は咄嗟に叫んだ。
ーーーーーーーーーーーー
キスしやす」
「うおっ!」
奈津が押し倒そうと動き出したタイミングを見て家の中へ逃げる。
「あぁ!にげないれよ!」
「くそ何か奈津を落ちつかせるものはないか?」
そうだ!眠らせよう!酔っているならなおさら眠りやすいだろう!僕が子守唄を歌ってやろう!
「おいで奈津」
僕は腕を広げた。
「んう!」
奈津は返事をして僕に抱きついた。
「どうしてキスなんていきなり言い出したんだ?」
「だってりんしゃんさいきんなつにつめたいんらもん!」
泣きながら僕の顔を見る、アルコールのせいだろう情緒が安定してないな
「すみのしゃんにもやさしいし!ななせしゃんにかわいいとかほめるのになつにはなんもいってくれないもん!」
、、、そうかそんな風に思ってたのか
「ごめんな奈津」
「いいれすべつに、りんしゃんのことはなつがいちばんしってるから」
思い出せばいつも僕の側には奈津がいたな
いつも笑っていてずっと僕のことを支えてくれた
「奈津」
「んぅ?」
「目閉じて」
外は先程から花火の音と花火の光の影響で明るかった。
「一回だけだからな」
僕はそう告げゆっくり口を目を閉じている奈津の口元に近づける。
『ガチャ!』
その瞬間だった。
「ただいま!」
「いやー!日程間違えちゃってね!結局買い物して帰ってきちゃ、、、たよ。」
ハイテンションのおじさんとおばさんが帰ってきた。
「いや、、、そのこれは。」
「ごめん!りんちゃん!おじさんから提案しておいて!邪魔しちゃった!」
「奈津が誤ってお酒を飲んでしまい酔っ払っちゃって、、、」
「ねぇパパどうしてうちにお酒があるの?確かお酒禁止したはずだったわよね?」
「い、いやーママ!ここではなんだから外で話さない?」
なるほどな、サイダーと書いてあったのはカムフラージュか、だから隠されてあったのか。、、、って!考察してる場合か!
「りんちゃん酔わせるとはなかなか考えたね?おじさんちょっと叱られてくるから続けていいよ」
おじさんはそっと僕に耳打ちをしてきた
「ち、ちがうんだーー!!」
僕の声は夜の住宅街に響いていたという。
そういえば前にもこんなことがあったな。
ちなみにこの時には奈津は寝ていました。




