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リセスト  作者: トンボ
過去編
33/49

野球少年だった俺と無表情な彼女6(33話)

「あいさつするぞ!並べ!」

主将の川田が整列を部員に促す。今日で大会前の練習は最後、明日から一回でも負けたらそこで終わりなのだ。

「きをつけ!れい!」

ありがとうございました!!と川田の号令の下全員であいさつをした。


ーーーーーー

「よし、帰るか」

着替え終わり部室を出ると七瀬が待っていた。

「うん」

七瀬がマネージャーに就任してから俺らは一緒に帰るのが日課になっていた。


「幸助」


歩き始めて10分程が経ち、家までの距離もお互い半分くらいになったところで七瀬が口を開いた。


「なんだ?」

「キャッチボールしたい。」

「別にいいけどどこでやるんだ?」

「あそこの河原」

そう言って七瀬が指差したのは通学路の途中にある、河原だった。

「でも暗くなったら帰るぞ?」

夏だから夜の7時とはいえまだ明るいな

「うん」

俺に返事をしながら七瀬は自前のグローブとボールをバッグから取り出した。


『バシッ』

やはり、前にキャッチボールした時よりも上手くなってるな。

「幸助」

「ん?」


『バシッ』

「緊張してる?」


『バシッ』

「そんなにしてねぇな」


『バシッ』

「本当に?」

「あぁ、川田も最近調子いいし試合も負けてないしな、、、急にどうしたんだ?」


『バシッ』

「もし、、、」


振りかぶりながら七瀬は呟くようにこう言った


「、、、もし明日の試合負けたら私と幸助はどうなるの?こうしてキャッチボールすることも話すこともなくなるの?」


『バシッ』

「同じクラスなんだし、話すことがなくなることなんてねぇよ。それに俺らは負けねぇよ。加賀中にリベンジするしな。」


『バシッ』

「うん、、、」


『バシッ』

「それに、お前が話しかけてくれば嫌でも俺は返事を返すから」


『バシッ』

「わかった、私は幸助から離れない」


『バシッ』

「あのな、無理に俺のそばに居ようとしなくてもいいんだぞ?」


『バシッ』

「無理に居ようとなんてしてない。だって私は幸助のことが好きだから。」


『ガッ』

俺がキャッチし損ねたボールがころころと足元に転がった。

「、、、どうしたの幸助?」

「お前が変なこと言うからだ!」

「幸助明日エラーしそう。」

「しねぇよ!」

万が一俺がエラーしたとしたらきっと七瀬こいつのせいだろう

「ほら!もう暗いから帰るぞ」

「わかった。」

お互い荷物をまとめ再び帰路に着いた。


ーーーーーーーーーー

翌日

「全員集合!」

監督の号令により部員が集まる。

「いいか初戦の相手の藤咲中は去年よりかなり力をつけてきている。緊張しているかもしれないが

自分のベストを尽くせ!いいな?」

『はい!』

円陣を終え試合開始まで少しだけ時間があるので俺はピッチャーの川田の元へ向かった。

「調子はどうだ川田?」

「悪くはないよ、ななちゃんのおかげかな」

少し表情が固いな、キャプテンとエースとしてのプレッシャーを抱えてるからな。

「そうか。」

「な〜に固くなってんだ2人とも!この俺がいるんだぜ?」

そう言って佐野が俺らの肩を叩き会話に割り込んで入ってきた

「三振すんなよ?」

川田は佐野をからかうように笑顔で言った。

「この俺が三振なんてするかよ!」

「何言ってんだ。最近の試合お前が1番三振してんだろ?」

「なんだ眼鏡?やんのか?あぁ!?」

さっきまで監督と七瀬と話していた古賀が来た。

気がつくとみんな気が楽になっていて、いつも通りな感じに戻っていた。

「なぁお前ら」

「「「ん?」」」

3人が俺の方を向く。

ー「絶対勝とうな。」ー

俺はできるだけ笑顔で3人にそう言った



ーーーーーーーーーー

『プレイボール!!』

先攻は俺たちで、1番バッターの佐野が左打席へ向かった。ピッチャーは右投げ投球練習を見る限り少し球が速そうだ。

「しゃす!」

ピッチャーと審判に向かって一礼しバットを構える。そして一つ呼吸をとってピッチャーが振りかぶって投げた。その瞬間

ー カキィン!! ー

と快音が会場に鳴り響いた!佐野が打った打球はライトの頭を越え長打になる足の速い佐野は一塁を蹴り二塁を蹴った!ライトからセカンドへ中継されセカンドからサードへの返球でクロスプレーとなった、ベンチから見ている俺らにはアウトかセーフかわからない。

『セーフ!!』

三塁審判がそうコールした!

三塁まで走った佐野は大きくガッツポーズをして立ち上がった。

「「「ナイスバッティング!!!」」」

初球からベンチが大盛り上がりだ!

「やるな佐野!!」

「続け川田!!」

そして2番バッターの川田が左打席へ入った。

『ボール!』

初球は外角高めのボール球

おそらくスクイズを警戒しているのだろう。

『ボール!』

二球目も同じコースでボール

『フォアボール!!』

結局川田は一度もバットを振ることなくフォアボールとなった。

「ナイスセン川田!!」

「いいぞ!いいぞ!」

そして3番の古賀がバッターボックスに入った

「しゃす」


古賀の次の打者は俺だ、ネクストサークルに座り古賀の打席を見守る。もしここで古賀もフォアボールだったら満塁で俺に打席がまわってくる。

流れはこっちに来ている。俺が打てば勝利に大きく近づくことができるはずだ。


「幸助」

考え込んでいると後ろから肩を軽く叩かれた。振り向くとスコアをつけていた七瀬がいた。

「なんだ?」

「幸助なら打てるから考え過ぎなくていい。いつも通りで大丈夫だから。」

「お前、俺の考えてることでも読めるのか?」

少し呆れた感じで七瀬に言う

「幸助の考えてることはわかる。」

全く恐ろしいやつだ。

『フォアボール!』

そんな時審判の声が聞こえた。

「頑張って」

「あぁ、まぁすぐ帰ってくるわ」

俺はゆっくりと右打席へ向かった。

「しゃす」

ピッチャーと審判に挨拶をしバットを構える

「打て茅場!」

「落ち着け茅場!」

とベンチのチームメイトから声援が聞こえる。

『ストライク!!』

初球は内角低めあまり得意なコースではないので見逃した。

『ストライク!!』

今度は外角低め、俺が狙っているコースではないので見逃す。

キャッチャーからピッチャーへとボールが渡る。


ーもし明日負けたら私と幸助はどうなるの?ー

昨日七瀬が言った言葉が頭に浮かんだ。

(俺はまだ負けられねぇんだよ)俺はそう呟いた


振りかぶって投げられたボールは内角高め俺の狙っていたコースだ。力を込めて思いっきり振った


『カキィィィィィン!!』


俺の振ったバットは白球をとらえ、打球はレフトの頭上を越え柵を越えた。

その瞬間『ワァァァァァァァ!!』と会場から歓声があがる。俺はゆっくりとベースを踏んでダイヤモンドを走る。そしてホームインした。

「茅場!!」

「この野郎!いいとこ持ってきやがって!」

「まぁこれも俺のスリーベースのおかげだな!」

俺より先にホームインした3人が笑顔で待っていた

「いや、お前は暴走しただけだろ?」

「なんだと眼鏡!お前はフォアボールじゃねえか!?」

「幸助!」

七瀬は笑顔で俺のそばに寄ってくる



その試合は川田も絶好調で俺のホームランが決勝点となり4ー0で藤咲中に勝利した。


続く第2試合、第3試合と次々と勝利を収め、そして県大会をかけた戦いも残りわずかとなりついに次の対戦相手は因縁の加賀中となった。





次で今回の過去の話は最後となります。

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