時を戻せる僕と愛のノート2(20話)
結局、奈津からノートを借りた僕は自分の部屋で2つのノートを広げ作業に取り掛かるところだ。
「・・・奈津さん?」
「なに?りんちゃん?」
「ノートを貸してもらったのはありがたいんだけどさ・・・」
「?」
「別に僕の部屋まで来なくていいよね⁉︎」
「だめ!りんちゃんがノート写さないかもしれないから写し終わるまで奈津がここで監視するの!」
今回は、冷房がかかってるんだから死ぬ気でやるに決まってんだろ!
「いや、監視って言ったってお前寝るだろ?」
「ね、寝ないよ?」
目が泳いでる、こいつ寝るな
「嘘つけ!お前にはゲームの時の前科があるんだぞ!どうせ今回も寝おちしたお前を僕が家まで運ばなくちゃいけなくなるんだろ!!」
「だったら奈津が寝る前に終わらせればいいじゃん!」
頬を膨らませながら奈津は僕にそう言いつける。
「わ、わかったわかった早く終わらせるから、監視とやらをしててくれ」
これ以上口論しても時間がかかるだけだから作業に移ることにした。
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作業し始めてどれくらいの時間がたっただろうか
ふと奈津の様子を見てみると彼女は僕の棚をあさくっていた。
「な、なにやってるんだ!奈津!」
「さっき棚の中が見えた時汚かったから整理してあげようと思って」
「自分でやるからそのままにしておいてくれ!」
「?、、、なんでそんなに焦ってるの?」
僕が焦るのも無理はない、なにせ、その棚の中にはたくさんの性欲増強本が入ってるのだから
「本当にいいから!それ以上なにもするな!」
僕は椅子から立ち上がり奈津を止めに入る。
このままだとエロ本が見つかるのは時間の問題だ、いや、エロ本以外にも見られたくないものがたくさん入っているから本当にやめてほしい!
「大丈夫大丈夫、整理するだけだから」
急に動きが止まる奈津
1つの本を取り出し不思議そうに僕に聞く
「なにこれ?、、、『極上色女「あーそれか?それは保健体育の参考書だ」
無論奈津が持ってるその本はエロ本だ。
参考書という名の僕の性欲増強剤だ。
「ふーんそうなんだじゃあこのDVDは?」
そう言うと奈津は1つのDVDを取り出した
「それは保険実習の参考ビデオだ」
曇りのない表情で僕は答える。
そう、そのDVDは、保険実習参考ビデオという名のAVだ。
「じゃあ下で見てくるね!!」
奈津は立ち上がり満面の笑みでドアへと歩き出した。
「え?なんで?」
「奈津も勉強したいなぁって思って、ここだと邪魔でしょ?」
こいつ本当に保険の参考書と参考ビデオだと思ってるな?
「すいません!!それただのエロ本とAVです!!
保険の参考書でも、参考ビデオでもないです!!
本当にすいません!!」
さすがに幼馴染にAVを見せるのはまずいだろう
即座に土下座をしながら謝る僕
「そっか、、、じゃあこれもういらないね?」
「奈津さん、それはちょっと『ビリビリ』あぁぁぁぁ!!僕の極上がぁぁぁ!!」
ちょっと待て!弁明の余地もないのか⁉︎
せめてAVだけでも守らねば!
「待ってください!その子たちがなにをしたっていうんですか!」
「え?『バキバキ』だっていらないでしょ?」
こ、童顔巨乳娘!僕の心の安らぎを粉々にしやがった!
「ど、どうしたのりんちゃん?顔色悪いよ?」
「いいんだ、あんなわかりやすいところに隠した僕が悪いんだ・・・」
そっとイスに座り作業を再開することにした。
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過酷なノート写しもそろそろ終わりにさしかかっていた。
「りんちゃん」
「なんだ?」
「このノートなに?」
そう言って手に持っているノートを見せてくる奈津
「ノート?そんなの中学の時に使っていたノートじゃないのか?」
中学時代に使っていたものはだいたい処分したはずなんだけどな?
「愛のノートって書いてあるよ?」
「愛のノート?なんだそれ?」
愛のノート?愛のノートね、愛の、愛の?愛の⁉︎
「待て!奈津それは見てはいけないものだ!」
「あなたの声を聴いただけで、翼を持った鳥のように、僕の心は空に舞う、だってなにこれ?」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!やめろ!やめてくれ!それ以上それを読まないでくれぇぇぇ!」
捨てようか、捨てまいか悩んで結局捨てなかった黒歴史が頭の中で蘇ってくる。
「え?もしかしてこのノートりんちゃんが書いたの⁉︎」
「いや、書いてない」
「え?今もがいてたでしょ?」
「いや、もがいてない」
「あなたは僕の心の太陽、僕というつぼみを花に開花させてくれる『あぁぁぁぁぁぁ!!!』」
「・・・りんちゃん痛いね」
「違うんだ!これは好きなアナウンサーへのファンレターの下書きなんだ!決してポエムではない!」
「へぇそうなんだ・・・」
「待て奈津、そんなゴミを見るかのような目を僕に向けないでくれ」
その後僕は色々なものを失いながらもノートを写し終えた
ー翌日ー
「昨日言っていた通り、今日はノートを回収する後ろから前に集めてこい」
「眠そうだな倫太徹夜でもしたのか?」
前の席の茅場幸助が僕に話しかけてきた。
「徹夜?してないよ?」
あの後、奈津が僕の棚をあさり続けるので朝まで暴走する奈津を止めるのに必死だったのだ。
「杉本くんノートを渡してくれ」
「あぁうん、、、あれ?」
棚、鞄、引き出しを探すが現代文のノートが見つからない、
「どうしたんだ?杉本くん?」
「待ってね?鳴海さん」
その時、現代文のノートの代わりに、僕の愛のノートが出てきた。
その瞬間僕はすべてを悟った。きっと家に忘れたのだろう。
「・・・」
「はい、鳴海さん」
僕は手に持っていたノートをそっと渡した。
「よし、次茅場くん」
「はいよ」
・・・よかったんだ、これで
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放課後
「なんで呼ばれたか分かっているな?杉本?」
「恋愛相談ですか?」
『ゴツッ!!』
「痛ぁぁぁ!!なんですぐ手を出すんですか⁉︎」
「貴様がなめたノートを提出したからよばれてるんだろうが!」
「かわいい生徒が一生懸命書いたノートをあなたは『なめたノート』とかいうんですか?」
「貴様みたいな生徒は可愛くもないな」
「なんてこというんですか!だいたい僕のノートのどこがなめてるのか教えてくださいよ!」
「じゃあ音読してやる」
そういうと先生はノートを開き、音読を始めた
「辛くて起きたくない朝も、疲れた日の夜もあなたの笑顔を見れば僕の体は風のように軽くなる」
どうしよう恥ずかしくて死にそうだ
「俺はこんな駄文を黒板に書いた覚えはないぞ!」
箱庭先生はノートを閉じ僕を怒鳴りつけた
「駄文⁉︎今僕の先生への愛の文章を駄文と言いましたね⁉︎」
正式にいうと好きな女子アナだ
「これは俺宛の文章だったのか⁉︎」
少し、戸惑っている。
もし本当にそうだとしたら何が悲しくてこんなおっさんにポエムを書かねばならんのだ。
「先生への愛を詰めるだけ詰め込んでみました」
満面の笑みでそう答える
「・・・貴様俺をなめてるな、教育的指導をしてやる」
「へ?なんで?」
「問答無用だ!」
『サッ!』
この人僕の愛を拳に変えてくるつもりだ!
「⁉︎どこに行くつもりだ杉本!」
「逃げるに決まってるじゃないですか!だって先生は僕を殴るでしょ⁉︎」
「教育的指導と言っているだろう!説教した後に制裁だ!」
「今認めたよね⁉︎殴ること認めたよね⁉︎」
その後僕と箱庭先生による10分間の校内マラソンが始まった。
もちろん冷房の話は無しだった。
20話読んでくださりありがとうございます。




