時を戻せる僕の日常2 (2話)
季節は高校2年の春
僕と奈津の二人は思ったよりも早く学校に到着し
2人だけしかいない静かな教室にいた。
「ねぇりんちゃん」
静寂を切り裂くように奈津は言った
ー明日テストだけど勉強した?ー
・・・そういえば明日テストだったな
僕は奈津を見下すように言った
「全く首席入学者にそんなこと聞くか?」
もちろん首席で入れたのは能力のおかげだ。まったく、生まれ変わるならカンニングが合法な世界に行きたいものだ。きっと能力がなかったら下から数えた方が早い高校だったと思う
「だよね〜りんちゃん頭いいもんね」
なんだろう・・・すごく心が痛い
ちなみに僕が能力を手に入れたのは中学2年生の頃だ
「中学1年生の頃は500点満点中5点だったのに」
ボフッ!! 痛い!
「うちの高校首席ではいるなんてすごいよね!」
ドスッ!!痛い、なんて痛いんだ‼︎
「すごく勉強頑張ったんだよねりんちゃん!」
ノックアウトだ完璧に僕の心に奈津の純粋な言葉がクリーンヒットした。
でもよく考えてほしい!5点が首席になるなら努力以外になにか違法なことをしている可能性を!
「りんちゃんのことだからテスト勉強も、もう終わってるんでしょ?」
「あ、当たり前だろう?テスト勉強なんてとっくの前に終わってるさ」
違う!違うんだ奈津!僕の勉強はかけ算で終わってるんだ!
色々な意味で終わっているんだ!
「先に言っておくが僕はお前に勉強は教えないからな」
正確に言うと教えないのではない教えれないのだ
「え〜教えてくれてもいいじゃん〜」
(ええい!うるさいぞこの童顔巨乳娘が!!)
そんなことを思っていると教室のドアが開いた
「よぉ朝からいちゃついてんな幼馴染カップル」
そこには僕のクラスメイトであり、親友であり、
ブサイクな顔の持ち主、茅場幸助 が立っていた。
そして僕の見間違いでなければ彼の手首には
手錠?のようなものがはめられている。さて、SMプレイの一環だろうか?
「ねぇこうすけその手首についてるの何?」
「あぁこれか?見ての通り手錠だ」
見ての通り手錠だという返しはおかしいと思う
「誰につけられたの?」
概ね予想がつくが聞いてみる
「聞かなくてもわかるだろ?七瀬だよ」
予想通りだ。そして彼の背後から美しい顔を出したのが光野七瀬だ
『容姿端麗 ・成績優秀 ・スポーツ万能 』
3つのすばらしい特徴を兼ね揃えた男子からの人気も絶大の美少女それが光野七瀬だ。
きっと彼女にならお金を出してでも手錠をかけられたい男はごまんといるだろう。
僕の横にいる『低い身長・童顔 ・巨乳』と
3つの要素を取り入れた幼馴染とは違って
とても華がある。
七瀬は僕らの顔を見ると綺麗な声で言った
「おはようなつ、りんた」
「おはよう七瀬ちゃん幸助くん」
「おはよう七瀬・・・とブサイク」
ちなみに今の「ブサイク」は聞こえないくらいの小声で言った
すると幸助は呆れた顔でこう言った
「なぁ七瀬そろそろ外してくれないかこの手錠もう、学校についたんだしそろそろいいだろ?」
「・・・ダメ」
すかさず七瀬は答えた
「なんでだ?」
「・・・外したら私から逃げるから」
「七瀬よく聞けお前には行って欲しいところがある」
「・・・なに幸助?市役所に婚姻届を出しに行って欲しいの?」
「違う!病院だ!病院に行け!」
「・・・幸助私まだ子供はできてないと思う」
もし、子供を作る行為をしていたら僕が病院送りにしていたところだ。
「ちげぇよ!なんで産婦人科に行くんだよ!」
「えっ⁉︎七瀬ちゃんと幸助くん子供できたの⁉︎
おめでとう‼︎」
と隣の奈津(天然バカ)が割り込んで入る
「できてねぇよ!!いいか七瀬!お前は精神科に行け!精神に重い病気がある!」
「・・・そんなものない」
ここから先は終始幸助が一方的に怒鳴り散らしていたと思う
時間は進み、能力を使う場面は唐突に訪れた。
「この問題をだな・・・よし杉本答えてみろ」
「僕ですか?」『ガタッ!!』僕は立ち上がる
「おい杉本・・・」
先生は哀れそうな目で僕を見ていた
「なんですか先生?」
ー『チャック全開だぞ』ー
ー『ック全開だぞ』ー
ー『全開だぞ』ー
やまびこのように僕の頭をゆっくりと響いてくる
フハハッ!もはや選択の余地もない
『『『リセッッッット‼︎‼︎‼︎』』』
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「この問題をだな・・・よし杉本・・・」
「はいどうしました先生?まるでカップ焼きそばの湯切りで麺を全部落としたときみたいな顔してますよ」
「なんでさっきから股間を触ってるんだ」
え??
「お前なそういうことは家に帰ってだな・・・」
ー「そういうことは家に帰ってだな」ー
ー「家に帰ってだな」ー
ー「帰ってだな」ー
またやまびこのように頭に響いてくる
ふんっ!僕は1度や2度の失敗ではくじけない
大きく息を吸い込んでもう一度心の中で叫んだ!
ー『『『リセットォォォ泣』』』ー と
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