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人間やめても君が好き  作者: 迷子
一章 村人の旅立ち
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そんな時もありました

 暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。

 異世界に転生したら、チートで無双してハーレム作って退廃的な生活を送るんだ。


 昔はそんなことを考えていたな〜と、トトはふと思い出した。

 トトは現代日本で生まれ育ち、そしてこの異世界へ生まれ変わった転生者である。


 日本で社会人をしていた時は、やりたくもない仕事で疲れる毎日を過ごしていた。安い給料を貰うためになんでこんな必死になって働いているんだろうと、常々思っていたものだ。日本、狂ってる……!


 現実逃避にネット小説で流行っていた転生ものを読みながら、俺も異世界に転生できたらな〜とよく思っていたものである。まぁ、自分にそんなことが本当に起きるとは考えてもいなかったが。


 だからこそ、自分が赤ん坊に生まれ変わったと気付いた時には驚いたし、嬉しかった。


 自分がなぜ死んだのかをトトは覚えていない。最後の記憶も、いつも通り会社から帰って布団に飛び込んだ所だ。だが、推測はできる。恐らく過労死でそのまま死んだのだろう。むしろ今までよく保ったものだ。ブラック企業滅ぶべし。


 そんな不幸の究明よりも、突如訪れた奇跡による衝撃の方が大きかった。異世界転生ハーレムキタコレ! と赤ん坊ながら思っていたものである。今世の父母よ、こんな息子で申し訳ない。


「まぁ、そんな夢は最初の一、二年で消え去ったわけだが」


 昔の自分を思い出し、トトは自虐するような笑みを浮かべる。本当に、なんで自分が特別だと思っていたんだろう、俺は。


 天職、魔法、気、魔力、エルフ、ドワーフ、獣人、精霊、勇者、魔王、女神。周りの大人達の口から聞いたことがある語句が出るたびに、ここがまさに剣と魔法の世界なんだなと実感した。


 他世界から転生したなら、何か特別な力を持っているはず。その力で暴れまわってやるぜ! という野望を持っていたトトであったが、当然そんな都合のいい話はなかった。この世界は、ある意味で前世以上に才能という物が重視されている世界だったのだ。そして、トトには悲しいことにその才能がなかった。


 最初はがっかりしたものの、今ではまぁそれでもいいかと受け入れている。トトとして生きる人生が、思ったよりも充実していたからだ。


 娯楽もないし、毎日農作業で大変ではある。だが、幸いにもトトの住むノカド村は飢えない程度には裕福だった。前世での過酷な経験のせいか、のんびりと農作業をする生活は意外にトトの性に合っていた。


「――トト!」


 突然聞こえた高い声に、トトは農作業を止めて顔を上げる。

 そこには、黒髪の綺麗な女の子が嬉しそうな顔で立っていた。


「アメリアか。どうした?」

「迎えに来たんだよ。今日はあたし達が当番でしょ?」

「ああ、そういえばそうだっけか。ちょっと待ってろ、すぐ行くから」


 トトはすぐに農作業を止めて、離れた所で作業をする両親に伺いを立てに行く。



 仮にも婚約者候補を待たせるわけにはいかないしなと、心で呟きながら。






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