使命
「で、そんなモルテに転生? なんて漫画みたいなことが起きた訳だけど俺は何をすればいいわけ」
「おぉ、物わかりがいいんだね……僕好きだよそういうの。まず……えーと、そう、君はもう人間じゃないんだ。とりあえず自殺は成功してるよ、おめでとう」
「なっ……」
それは、『人間としての如月雅臣は死んだ』と解釈して良いのだろうか。──蛇足だが自殺成功おめでとうと言われるのも変な感じがすると思っていた──
けれど、こうして実質今までと変わらず生きている状態の今では死んだ意味がない。……罪悪感は薄れない。
そして雅臣が苦虫をかみ潰したような顔をしていると、ルチアが口を開く。
「それでさ、これから君には──死神として、その鎌でアルバニアを、討伐して欲しい……お姉さんのこと、悲しかっただろう、アルバニアが、許せないだろ……!!復讐、するんだよ」
「な、んで……お前、それを知って」
「うん。僕は外人さんだからね……。アルバニアには君が持っているそれでしか……その鎌でしか、対抗できないんだ。モルテになった君なら──これを使う資格が、あるんだよ」
ルチアの言葉を聞いた雅臣ははっとする。本能的に、雅臣は深紅の大鎌に手を伸ばしていた。
ずっしりとした重量感はあるが、思ったより重くはない。むしろ何故だか体の一部の様な──
「それは君の思念が創り出した物だよ。だから、君の想いが強ければ強いほどその鎌も強くなる。」
「これが、俺の……」
なるほど、と思った。禍々しい姿のこの鎌は、確かに雅臣の心を具現化しているようだった。
雅臣の中をずっと渦巻いていた罪悪感は不思議といつの間にかに無くなって、代わりに今では復讐の炎が、雅臣の中で大きく燃えている。
大鎌もそれに応えるように、一際鮮やかな深紅に燃えていた。