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第十八話 異業者との合流

 進まない……。


 模試受けてる方がまだ救いがある気がします今日この頃。

「久しぶりね、雨久」

「ああ、全く久しいな、理渡。急に呼び出すから何だと思ってたが、何だそのおかしな御仁は」

「おかしなとは面と向かって失礼な人ね。私は山咲姫 恵水。恵水でいいわ」

「おっと、失礼恵水さん。俺は地動殿(ちどうでん) 雨久(あまひさ)。こっちも雨久で構わん」

 ようやく合流したというのに、早くも二人は剣呑な雰囲気である。


「まあまあ、これから2人で行くんだし、もう少し仲良くしなさいよ」

「分かってるさ。少なくとも放り出してお前に怒られに行くのは御免だしな」

「そうね。こんな冗談で怒っていてもしょうがないわ」

 普通地上なら、他人と接するとき感情は裏に隠しておくものだが、どうもこちらではむしろ感情表現が誇張されているらしい。そんなに暇なのか、彼らは。


「それはそうと理渡、お前今日の宿とか決めてあるのか? ここから日暮れまでに運候府は結構厳しいぞ?」

「まあ、一応休める場所の目星はつけてあるけど、恵水?」

「私は夜までに上がれると思うけど」

 呼ばれた恵水は理渡の方を向くでもなく、空を見上げながら適当な返事を返した。

「まあ、上がるだけなら間に合うが、その後申請に手続き、色々面倒なんだろ?」

 その適当さに呆れながらも、雨久は至極もっともな意見を返す。

「言われてみればそうね。理渡、その目星っていうのは?」

 ようやく恵水が振り向いた。ただ、理渡に問いかける視線は半信半疑といった様子だ。


「あんまり期待はしないでちょうだい。そんなにいいところではないと思うから」

「どういうこと?」

「私が探した条件は、広い庭よ」

「ああ、そういうことね」

「つまりあれか、宿の質はとりあえず置いといてって奴か」

「そういうこと」

 雨久は随分落胆した様子だったが、口には出さなかった。

『理渡に期待するだけ無駄か』

 というか、諦めていた。


「それはそうと早く行かないと本当に日が暮れてしまうわよ、恵水」

「そうね。もう寄るところもないし、急ごうかしら」

「お前らあれだけふざけてる割に切り替え早いのな」

「「飛影(ひえい)風切(かぜきり)”」」

 二人は当然のように雨久への返事を放棄してすぐさま飛び上がった。

「ちょ、おい待て! “風切”!」

 一泊置いて全速力で飛び立った雨久が二人に追いついたのは……



「はあ、はあ……」

「全く軟弱ね」

「ほんとに、手先は器用だけど持久力はからっきしなんだから」

 二人が途中で一時停止して少し経ってからだった。

「お、お前ら二人と、一緒に、するな」

「もう息も絶え絶えって感じね。どうする理渡、もうしばらく休む?」

「まあ、一息にここまで来たからもうしばらくは大丈夫よ」

「頼むから休ませてくれ……」

「理渡もああ言ってるし、あんたがそれじゃどのみち進めないわ。仕方ないからそこで少し休んでなさいな」

「ああ、すまん……」

 恵水はそんな雨久の謝意は完全に無視、身を翻して理渡に向き直った。


「理渡、暇かしら?」

「ああ、そういうことね」

「話が早いわね、相変わらず」

「何年あなたと遊んでると思ってるのよ」

「は?」

 当然だが、雨久は全くついていけていない。


「危ないわよ、雨久は離れてた方がいいわ」

「あ、ああ」

「さて、どのくらいにする?」

「適当に雨久が休めるくらいでいいんじゃない?」

「だ、そうよ、適当に休んだら止めなさいね」

「ああ、わかった」

 ようやく雨久にも事情が呑み込めてくる、というか彼女らの性格に雨久の思考がようやく追いついた形だ。

『何でいきなり試合なんか始めるんだ……』

 しかし雨久はその訳を聞かなかった。聞いたところで無駄だ。



 それからしばらくして、

「……長え」

 我知らずそんなことをつぶやいたのは雨久だ。

 現在恵水と理渡の試合は佳境に入り、理渡の砲撃が残す青白い射線と恵水が振るう気の薙刀が引く白んだ緑色の尾が目に眩しい。

「しかし速いな」

 自分がいざ相対して集中している時ならまた違うのだろうが、二人の動きはとても速く、若干尾を引いているようにも見えることがあるほど。しかもその速さの中でも動きは洗練され無駄がなく、互いの攻撃の苛烈さとは裏腹に、一撃も当たらずに動き回るその姿は戦神に舞いを奉納でもしているかのように流麗だ。

「…………」

 その時雨久が何を思ったのかは知る由もないが、彼がもうしばらくこうして戦いを眺めていることにしたのは間違いなかった。


 そしてまたしばらくして

「おーい、そろそろいいか?」

 と雨久が止めに入ると、


 キィン!!


「うぉああっ!!」

 砲撃が飛んできた。何とか飛びずさって躱した雨久だったが、明らかに狙った一撃、どうやら二人とも止める気はないらしい。

「ちっ、まだ続けるってか! 悪いが、んなことさせてちゃ日が暮れる」

 そう言うと雨久はその右拳に気を纏わせた。

「面倒だし、一気に行くか!」

 そのまま拳の周囲に術式の帯を二つ展開し

要拳(かなめけん)震域(しんいき)”!」

 地面を思い切り殴りつけた。


 瞬間、地面が揺れた。

「「んなっ?!」」

 恵水も理渡も突然の衝撃に文字通り飛び上がった。足元からの攻撃は、まず斜め上に跳ぶという本能的反射だ。

「おい! 悪いがそろそろ行かないとまずいぞ!」

 下から聞こえたのは雨久の声。

「あら、止めたと思ったのに」

「まあ、確かに言ってることは間違いじゃないし、水が入っちゃったから、そろそろ行きましょう、理渡」

「そうね」


 こうして、恵水と理渡の暇つぶしは終幕した。

 何とか3月中に投稿できたっていう感じで、相変わらず推敲はほぼゼロで運行しています。


 動きが欲しいと思ってこの章書き始めてからしばらく経ちましたが、全然です。

 むしろ時間が作れなさすぎて以前にもましてクオリティが落ちてるような……(汗)


 この春からは受験生なんで、そろそろ投稿停止かなとか思ってますが、出来れば細々と続けていきたいです。


 ではこれにて、またいずれ。

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