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第十六話 大抵のことは誰かが知っている

最近繋ぎみたいな話ばかりで申し訳ないです。


本格的に動き出すのはしばらく先になりそうです(汗)

「お邪魔するわ」

「あら恵水、どうしたの?」

「物は相談なんだけど……」

 とりあえず恵水は、件の刀のことは知っている理渡に状況を説明、何か案はないか尋ねてみた。


「難しいわよ、それは」

 話を聞いた理渡の反応は恵水の予想通り、よりも少し希望的であった。

「方法、知ってるのね?」

「まあね、毎年違う雪の量を聞きに運候府にはよく行くから」

 運候府は上層部の詰所、上層部の集まりとは裏事情の集まりである。天界における常識、摂理の抜け穴は大概揃っているのだ。

「でも、さすがに難しいのね」

「当り前よ。取り返しに行くならそれ相応の大義名分がいるし、色々と制限もかかるわ」

「……それ私に言ってよかったの?」

「仕方ないわね。あの子は私としてもこっちにいてほしいから、少しくらいなら手伝うわ。それに、こっちのあの子も張り合いがないでしょうし」

 ここまで話せば恵水は確実に理渡経由で取り返しに行こうとするに決まっていることはさすがに理渡なら熟知しているところだ。

「珍しいわね。ありがたく受け取っておくことにするわ」

「ふふっ、でも私は手伝うだけ。一緒にはいかないわよ?」

「……え?」

 しかし残念ながら、そう何度も恵水の期待通り事が進むとは限らない。


 その頃。

「……!? 何か、冷えるような……」

 “彼”は変化に鋭敏である。


 理渡は手早く氷張に連絡し、恵水と連れ立って運候府に向かうことにしたのだが、実を言うと運候府までにはそこそこ距離があり、主に高低差が大きい。

「やっぱり行かなきゃ駄目なの? 遠いけど」

 恵水は涼華が淹れたお茶を飲みながら不満げに言った。

「あのね、難しいって言ったでしょう? それに、寄るところがあるから早くしないと」

「寄るところってことは、そこにこれから一緒に行く人がいるってことね」

「まあね。彼には傍迷惑な話なのは分かっているけど、さすがに涼華を行かせるわけにはいかないし、あなたが出るとなれば、山生女も行くわけにはいかないでしょう」

「彼、ねえ。あなたがわざわざ呼ぶくらいだから、信用して構わないわね?」

「その点は問題ないわ。あなたと行くにはちょっと慎重すぎるかもしれないけれど」

「そう。じゃあ、出発は明日?」

 結局恵水の態度は振りだけで、最初から行くつもりだったらしい。

「ええ、明日の朝に」

「分かったわ」

 恵水にはこの事件の行く先はほとんど見えていないはずだが、およそ打ち合わせとも呼べないような話し合いで決着がついてしまう辺りはさすがに親友の信頼か、こうして恵水は準備のために帰っていった。


 その頃。

「あ、冬宮様。どうなされたんですか? ……はい、……え? ちょ、どういうことですか?! 理渡の依頼で? ……はい、わかりましたよ。あれは僕が言って聞く奴じゃないですし」

 彼は久しぶりに大がかりな面倒が来たことを察し、身の回りを簡単に整理することにした。


 その少し後。

「ただいまー」

「あ、恵水様! おかえりなさいませ。帰って早々で申し訳ないんですけど、その、手伝っていただけないでしょうか?」

「え?」

 恵水が留梨の言葉を量りきれずに立っている間に留梨は忙しなく小走りで行ってしまった。

 すると、

「キュー」

 恵水の足元から不機嫌な鳴き声が。

「……ああ、そういうことね」

 怪訝な顔で足元を一瞥した恵水だったが、その後すぐに得心したような顔になり、

「仕方ないわね。私が来たからにはさっさと終わらせてあげるわよ」

「キュゥ!」

 弾んだ鳴き声を背に庭に向かって走って行った。

 ちなみにこの後珠が元に戻った庭に落ち着いたのは、それからものの数分後だったという。


 次の日。恵水は当然のように早朝に冬の館前に来ていた、のだが、館の門は未だ開いていない。

「まあ、当然よね」


 それからしばらく待ち、そろそろ開いてもいい頃になったが、未だに門は開かない。

「理渡ってば、何してるのかしら」

「呼んだかしら?」

「相変わらず趣味が良くないわね。そんなので出し抜いたつもりじゃないでしょうけど、これは一応形だけね」

 恵水の背後に隠密転移してきた理渡の首元には、すでに恵水の気でできた薙刀の刃が添えられていた。

「まあ体裁は大事よね。私だって出し抜く気ならもう三回はひねるわ」

「当然ね。ま、そんなことは置いといて行きましょう?」

 こうして二人はさしあたっての目的地に向けて出発した。


 そしてその道中。

「あ、店」

 先に気づいたのは恵水、この手の物には非常に目敏い。

「ここって、元関守の……」

「何してるの! 早く行くわよ!」

「あ、はいはい」

 理渡の呟きは恵水に届くことなく、二人はそのまま市場に向かっていった。



 その頃、件の彼はというと、

「どうせどっかに寄ってるんだろうしなあ、もう少しゆっくりしてるかね」

「いいんですか? 遅れるとうるさいんだって昨日言ってましたけど」

「まあ、そうなんだけど、今頃多分関守市にいるだろうからここに来るまでしばらくかかると思うんだよ」

「そうですか。あ、僕は弁解のお手伝いはできかねますので」

「ああ。わかってるよ」

 従者と二人、今のところまだ弛緩した気分でいた。

 毎度ありがとうございます。穂桐です。


 前話でお知らせ出すと言いましたが、こっちに書く時間が取れなかったので、下のURLで活動報告の方を読んでいただけると助かります。

http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/186863/blogkey/605128/


 さて、恵水が“夢見”奪還作戦に動き出しましたが、ところで皆さん第五話の内容は覚えていらっしゃるでしょうか?

 この章ではここの部分を1章かけて回収することになります。

 さて、恵水たちはこの問題を平和的に解決できるでしょうか?


 あ、次回からのあとがきは以前の仕様に戻す予定です。

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