第一歩
――何かが起こる、そんな淡い期待を抱いていた。
いつも通り、がやがやと帰る準備をしているときだった。
「んっ?」
足元が揺れたように感じた。周りを見るが、彼らは立ち話をしているばかりで、揺れに気が付く者はいない。
「うわぁっ」
さっきより強い揺れがきてしゃがみ込む。
次の瞬間、視界が黒く染まった。
色も音もない世界。
その中に、一人。
「孤独」
その二文字が頭に浮かんだとき、人影が三つ、微かに見えた気がした。
ハッと目が覚める。
ここは……⁉︎
薄暗い廊下。
不気味なほどの静寂に、違和感を感じる。
みんなはどこ?
立ち上がって、歩き出す。
すると、五組から人影が近づいて来た。
長身の、ガッチリとした身体。
間違いない、何度も見てきたこの姿。
一年五組担任の、鷹柳光言先生だ。
「っ鷹柳先生っ」
「悠実輝っ!大丈夫か⁉︎」
「はい……でも、人が、いません」
気がつくと、手が小さく震えていた。信じられない。
「とりあえず、一組から見て回るしかないな。」
その言葉にうなずき、鷹柳先生の後を追う。
一組。
開きっぱなしの扉から教室を見ても、人の気配はしない。
「おい。誰かいるか。」
そう言う鷹柳先生の声も、心持ち緊張しているように聞こえる。教室を一周したが、誰も見つけることはできなかった。
二組。
生活感残るその教室にも、誰もいない。
三組。
そこにも、皆の荷物があるだけで、人の姿はない。
四組。ドアを開けると、窓近くに座り込んでいる人ががあった。近づくと、それはここにいないかのような目をしている、飛鳥馬君だった。
「飛鳥馬君⁉︎大丈夫っ?」
問いかけると、こちらを振り向いた。
「えっ?悠実輝さん?鷹柳先生?」
「飛鳥馬。今、一、二、三組には誰もいないんだ。五、六組を、一緒に探してくれるか?」
「えっ……本当ですか。」
頷くと、
「はい」
と言い、立ち上がった。
五組。
「いない。」
そう呟いたのは、立ち尽くしている飛鳥馬君だった。
机の下を見ても、人の姿を捉えることはできない。
六組。
一縷の望みを賭け、教室を隅々まで探し回るが、誰も見つけることができないまま、廊下に出てしまった。
「他の階も、見てみるか。」
『はい』
階段に向かって歩き出した時だった。
「鷹柳先生。待ってください!」
「ん?」
何か、人の気配を感じたような気がしたのだ。
私の勘は、意外と当たる。
ロッカーの奥に歩いて行くと、倒れている人影があった。
「竹友っ⁉︎大丈夫?」
鷹柳先生と飛鳥馬君も来る。飛鳥馬君が竹友の額に手を当てた。
「っ!あっつ。」
「とりあえず職員室に行こう」
いとも簡単に竹友を持ち上げた鷹柳先生は一歩を踏み出した。
よく分からなくて、不安で、怖くてでもわくわくする、第一歩。
初めて書いてみた物語です。まだまだ未熟な点ばかりですが、暖かく見守っていただければ幸いです!




