家族とは?
一方ケタルとハーキは風の強い気候の悪いダンジョンに来ていた。
「う…ゲホゲホッ!」ケタルが咳き込む。
「お、お兄ちゃんそろそろ休んだ方がいいよ」
隣からハーキが焦燥した様子で警鐘を鳴らす。
「のんびりしちゃいられないんだ…一刻も早く強くならないと…」
ケタルは焦っていた。
魔王がどんどん力をつけている。
そしてそしてケタル自身チイチイがドナーとなって強い技もケタルが使う事になったからチイチイの代わりにならないといけない。
そして強くならないとチイチイに申し訳が立たなくなってしまう。
自身が病弱なばかりにチイチイに負担をかけさせてしまっているようで自分が嫌になる。
だからチイチイ様に強くなると言う形で返したい。
そんな思いだった。
そんなケタルの心情を知っているのか、ハーキは一瞬歯を食いしばった。
その次の瞬間ハーキは「猛ツッコミ!!」とツッコミの更に強化版をケタルにお見舞いした。
「何をするっ!?」
ケタルはハーキに振り向くが涙ながらに息を荒げる妹にハッとなった。
「良いから休んで!休んでないと私…」
そうとまで言うとハーキはふらりと崩れかけた。
「ハーキ!」ケタルが両手で掬い上げる。
ハーキも余程疲れていたのか、寝息を立てて寝てしまっていた。
(なんて事…こんなに疲れてまで僕に付き合ってくれてたなんて…僕はお前に無理させていたんだな…)
ケタルはハーキに対し罪悪感を覚えた。
そしてハーキは寝息を立てながら呟く。
「お兄ちゃん無理しちゃ駄目だからね…」
ケタルはハーキを抱いてやり、風を凌げる場所を探し歩いた。
ーーー
一方フットの元には久しぶりの親からの電話。
しかしフットは快くは思っていなかったらしい。
電話を切った後チッと舌打ちしていた。
チイチイが目を覚ます。
「どうしたんやフット?真面目な顔をして…」
「親からの電話で悪霊の神々になれと…」
チイチイはギョッとする。
「どんな親やったんや?」
「まあ、俺と違って出来が良くてそれだけに俺に厳しくしてきた人ですよ」
なんとフットの親は違うタイプの親だったらしい。
親が出来悪いと子供は苦労すると言うが逆でも子供が苦労するパターンもあったのだ。
「実は俺には二人姉がいますが姉達も優秀で俺には厳しくしていました」とフットは言う。
「なんか意外やな…」
「どう言う意味っスか…」
チイチイ的にはフットは随分甘やかされて育ったタイプだと思っていた。口には出してないが。
「だからだから俺は親や姉に反発するようにグレてやったんです。そしていつの間にかケタルみたいな家族に恵まれてる奴を見てイライラするように…」
フットは他人にも自分にも苛立っていた。
「そうか…しかししかしやからってケタル達に反発しとったらあかんよ?悪い事は自分に返ってくるものやからな?」
「わかってますよ…」
フットはどうしようもない感情と劣等感と戦っていた。
だからこそ強くならなければならない。
「はぁー俺も俺が嫌になっちゃいますよ…昔はとても可愛くてお人形扱いされてたのになんでこんな奴になっちゃったのか…」
ため息をつくフット。
「しかし引っかかるな…悪霊の神々になれと言ってくるなんて…」
「そう言えば…なんでそう言ってきたのか俺も気になってたッス」
「も一回電話してみたら?」チイチイが切り出すとフットは顔を歪めた。
「嫌っスよ話すと疲れるから」
「そうか…そろそろ行くで」
チイチイはこう言って修行に戻る。
そんな所にある人影がフットの前に現れるのだった。




