思い出
ハーキはこの孤立無縁の中で過ごしていた。
「勇者は泣いちゃダメよ。泣いたらチイチイ父に笑われちゃうわ…」
ハーキは涙を拭う。
ケタルがいないと自分も何も出来ない。それを実感してしまった。やはり私はケタルお兄ちゃんと依存し合ってたんだと。
「くぉらああぁ何やってるのーどれだけ朝ごはん待たせるのよ〜〜!!」
下から激しい罵倒。ハーキは慌てて駆け降りる。
そしてニコニコに怒鳴られている様子をトモミツに指差されながら揶揄われる。
「また怒られてるよ…」「可哀想に可哀想に…♪」
そして食べている最中にも文句を言われる。
「味が薄いわちゃんと味付けしたの!?」
「しましたよ!」
「口ごたえするんじゃない!もっと料理の勉強しなさい!!」
そしてそしてーーー
「なにやってるんだよーおせーぞ!」
「そらそこ埃がついてるよ!」
トモミツも煽る煽る。ハーキはそうしているうちに元の元気さに暗雲が立ち込めてきた。
『元気だして…』そこでハーキは声を聞いた。
誰なの誰なの?キョロキョロすると穴の中からネズミが現れた。
普段なら怖がるところだが長い間孤立無縁だったので不思議と愛着が出てきてしまった。
そして話せる相手が欲しかったのか、彼女は自分の思い出話をネズミに聞かせた。
ーーー
兄が病弱になったきっかけに遡る。
マドンの降らせた死の灰でケタルとハーキの兄妹はシェルターに駆け込もうとする。
マドンの死の灰は人を病弱にしてしまう恐ろしい灰だ。目には見えないが浴びると体が蝕まれる。
シェルターに入り込もうとしたが小さな子供達と壮年の女性がいて「そこはもう1人しか定員が入れません!」と注意する。
ケタルはそこでハーキを入れて自身は敢えて外に出てその扉を閉める。
「お兄ちゃん!」ハーキは叫ぶもケタルはニコっと笑顔を向けたままそれを閉めた。
ーーーそれから死の灰が病んだ頃。
扉が開かれるがそこにいたのは体が蝕まれ倒れたままのケタル。
ケタルは辛うじて生きていて「や…やあ…」と弱りかけた声で交わした。
ーーー
「お兄ちゃんは気弱じゃないわ。とても強い人なの。でもあんな体になっちゃったから私がいないと駄目なの…」
ハーキは友達と話すようにネズミと話した。
ネズミはチュチュっと鳴いた後話が聞き飽きたかと言いたげに穴の中に入りだした。
「あっ!はぁ…話はわかってくれなかったのね…」
ハーキはため息をつく。
時間を見てハーキは飛び上がる。
「大変お風呂沸かさなきゃ!」
と忙しく動き回る。
ーーーチイチイ達はハーキの探索をしていた。
「ゴホゴホッ」「ケタル大丈夫か?」
チイチイがケタルの背中を摩ってやる。
「すみませんチイチイ様。ハーキがあまりにも心配で…」
「病は気からとも言うしな。協力してハーキを見つけ出すんや」
「大丈夫かな?崖から落ちてたり遭難してなきゃ良いけど「縁起でもないこと言うなフット!」
チイチイがフットを怒鳴る。
「しかしこの洞窟の中じゃ…」「つべこべ言わんと一緒に探すんや!」「へーい…」
ダンジョン内で3人はハーキを探しまくった。
そんな時そんな時大ネズミが現れる。
「むっ魔物や戦うで!」チイチイが魔物の襲来を呼びかけ武器を構えさせる。
『チュチュチュ、オイラは敵じゃないよハーキって子を探してるんだろ?』
大ネズミがこう言い出した。




