劣等感
チイチイの前に現れた悪霊の神々の一味、ベリアル。
目つきは鋭く傷だらけの体、長い銀髪。
盛り上がった筋肉は歴戦の戦士を思わせる。
「強そうな奴だぜ」
「しかしウチのチイチイ父装備とケタルのノーナの加護での呪い装備スキルなら奴なんて事は無い行くで!!」
チイチイは果敢に飛び込んだ。
「フハハハ馬鹿め洞窟の形状を変化させて貴様らを散り散りにしてくれるわ!!」
ベリアルが両手を真上に上げ呪文を唱える。
『ビッグバン!!』
「「うわああああぁ!!!」」
チイチイ達はビッグバンに飲み込まれる。
ドドドドドドドドドオオォ……。
眩い光が覆ったかと思うとチイチイ達は宙に浮かび上がったような感覚と共に地鳴りに襲われるような感覚を覚えた。
「くっみんなどこや!!?」
チイチイが叫ぶが皆の応答が無い。
そしてーーー
ピチャーーー…ン。
水滴が一人の顔の元に落ち、勇者の一人が目を覚ます。
それはフットだった。
「どうしたんだ俺は…みんなは?」
フットはキョロキョロとしながら洞窟内を歩く。
「おーいチイチイケタルハーキ!!」
フットは叫ぶが誰の応答も無い。
その代わり何者かがフットに訴えかけてきた。
『フットよフット…』
「だ…誰だ?」
『儂はお前が来るのを待っていた。左を見るが良い』
と何者かが言う。
「む?」その通りにすると禍々しい鎧がろうそくに照らされながら鎮座していた。
「呪いの装備!!?」と驚愕するフット。
飾られてあるのは悪魔の鎧と言う呪われた鎧。
時に悪魔の鎧で操られた死人と戦闘したことがあり、その形状は覚えていた。
『フフフ貴様はケタルと言う男に劣等感を覚えているだろう?』
悪魔の鎧はフットの内面を見透かしたように言う。
「そ、そんなわけ無いだろう!」
と強がるフット。しかし悪魔の鎧はニタニタと笑いながらそんなフットを嘲るように零す。
『強がるでない儂にはわかる。お前は呪文が使えずケタルのように気品も無ければ信頼も無い。それにケタルに出番をほぼ取られ嫉妬しているのだろう』
と悪魔の鎧はニタニタとしながら言う。
「馬鹿にするのも大概にしろ!あんな奴俺の敵じゃねえしそれにそれに俺にはチイチイと言う俺を推してくれる人もいる!!」
フットが声を荒げる。
『くくくそのチイチイとやらは今ケタルに心が揺れ動き始めておるぞ……?』
「なんだと……?」
フットはゾッと顔が歪む。
『フフフケタルをチイチイに取られては貴様の立場も無くなるであろう?』
「くっそれは嫌だ嫌だ嫌だ!」
フットは動揺する。
『ならば我を装備するのだ。そうしたら貴様はパワーアップしチイチイやケタルより遥かに強い力を得られる』
「しかし呪われた装備をしちまうと…」
フットに迷いが生じる。
装備してチイチイやケタルより強くなりたい…しかし装備して食われてしまったら元も子もない。
『どうしたチイチイをケタルに取られても良いのか?』
ケタケタと笑いながら悪魔の鎧はフットを誘惑する。
「ええいままよ!」フットはついに悪魔の鎧に手を出してしまった。
『ひっかかったな馬鹿め!!』「ぎゃあああぁ!!!」
フットは悪魔の鎧の呪いにかかってしまった。
ーーー
「おおーいハーキ!!チイチイ様!!フットさん!!」
ケタルが皆を呼びながら歩いていた。
するとガルルル…と唸り声がする。
「む?」とケタルは立ち止まる。
そしてガシャリガシャリと鎧特有の重なり合う音と靴の音が聞こえる。
それと共にパープル色の気体が揺らめくのが見えた。
「なっ!!魔物か!!」
そこに現れたのは悪魔の鎧そのものだった。
ケタルは剣を構える。
『ケタル…ここであったが百年目…』
「そ、その声はフットさん!!?」
その悪魔の鎧からは聞き覚えのある声がした。
彼は有無を言わさずケタルを攻撃。
「うぐっ!」辛うじて剣を受け止めるも、その力強さに圧倒されケタルは後方に放り飛ばされる。
「ぐあっ!」
壁にぶち当たり崩れるケタル。
悪魔の鎧から赤い光が見えた。
『ひひひ貴様は俺の主人公の座を奪った!ここで死んでもらう!』
そして悪魔の鎧、呪われたフットはそう放った。




