強さの意味
ずっしりと重い本を持ってチイチイ達はメイドの琴奈に連れられる。
「勇者様も大変ですね。重い使命が課せられてるんですもの…」と琴奈は息を吐く。
「せやけど誰かがやらなあかんねん。世界に平和を取り戻すために…」
「ケタル様も口癖のように言ってましたわね」
ハーキは胸の重みを感じる。
「お兄ちゃん…」
フットが言う。「あんなに肩肘張って疲れないのかね?気楽に行こうぜ気楽に」
「アンタは気楽過ぎるねん」
チイチイから横ヤジを入れられるがフットは意に介さない。
「ったくよぉ、勇者なんて誰でもなれるわけじゃないのに何で自分を粗末にするのよ」
「お兄ちゃんはあんな性格なのよ。真面目過ぎて不器用なのよ」
ハーキはいつもの元気さが見られず声を落とした。
そしてそしてケタルのいる部屋に入る。
「ケタル具合はどうや?」「あみなさん、そしてそしてハーキも…」
ケタルは本を読んでいた。
「ケタルこんな難しい本を読んでるのか?」
「古代の史書です。チイチイ父の事も書かれていて興味深いですよ」
ケタルは笑う。
「ケタルお兄ちゃん私達が弱い事怒ってない?」ハーキが聞いてきた。
「どうしたんだい?」
「私達もっと強くなるから…お兄ちゃんの負担にならないように頑張るから…」
ハーキの手に力が入る反面悲しそうな顔をする。
「ハーキ…」ケタルは言うべき言葉が見つからず本を閉じた。
「しかししかし人はどんなに強くなろうとしても限界があるんや。そんなに強くなろうとしたら潰れてしまうで?」
チイチイが優しく言葉をかける。
「僕もまだまだ弱い。チイチイさんの大技を使いこなせるように強くならなきゃ…」
とケタルも沈んだ声で溢した。
「はぁ…蛙の子は蛙だねぇ…」
フットはため息をつく。
「あんな…」チイチイが続けて言った。
「やから武器を手に入れるんや。あんさん達は充分に強い。しかししかし、武器を手にせな魔王と対抗出来る力は得られひん」
「そしてなそしてな。武器を手にするまでが長い道のりなんや。これを書いてるノファンさんも武器を手に入れるまでが長かったと言っとった」
「あれですね…」
「そうやあれ…」
あれとは障害者判定の事である。ノファンは普通枠に長いこと苦慮を重ねていた。
皆が出来ることが自分には出来ない。職場でも無能扱いされ、作業が遅い。物覚えが悪いなど散々批判を受けた。
正社員にも一時期なったが、覚えが悪い、動くのが遅いと批判され、仕事のミスで何度も文を書く恥辱を味わい、僅か半年で派遣社員に戻らされた。
また、人が経験するべき事を出来ず、子供のままだった。
ノファンはとある日、Twitterを見て「発達障害」のことが気にかかった。
そうそれがノファンが手にするべき「武器」だった。
そしてそして勇者達も、今は魔王に対応するための「武器」を手にするべき時が来ていた。
「チイチイ父装備、ノファンさんが武器を手にしたようにウチらもその武器を手にせなあかんのや」
チイチイは拳を強く握った。
「それまでが長い道のりなのよね」
フットの言葉にチイチイは頷く。
「そう言うことや。チイチイ父装備はとんでもない難所に隠してあると言う。野郎ども気を引き締めろや!」
チイチイが発破をかける。




