もう一人の勇者
チイチイ達はケタルのいる教会に向かっていたが途中でケタルの妹ハーキが「お兄ちゃんが大変なの!」と訴えてきた。
ハーキの狼狽えように只事ではないと察したフット達は教会に。
ケタルの意識は失ったままでその上体の容態が悪化しているのが一目でわかった。
このままでは危ない。
そこで桜が深刻な表情でこう告げる。
「今はドナーを探している所です。今の所ケタルさんに適合するドナーの方はいません。それで貴方がたに協力していただきたいのですが…」
そしてハーキが「うわぁんお兄ちゃん!!」と泣き出した。
(そこはなんとかせんと…)
チイチイはそこは義理人情に溢れた浪速の少女。
「ウチで良かったら!」と手を挙げた。
「お、俺も…!」
と後でフットも手を挙げた。
一応フットも勇者でケタルの仲間だ。
あれでも情は移っていたのだろう。
「ありがとうございます。しかし二人とも適合するとは限りません。それは承知してください」
「「はい」」
そしてそしてーーー
桜がフット達に告げる。
「調べてみた結果、ケタルさんはチイチイさんとドナーが適合すると確認しました」
「ウチと!?」とチイチイ。
「しかし適応治療するとチイチイさんの能力の一部はケタルさんに分けられる事になりますが構いませんか?」
と確認する桜。
「ケタルはんの命を考えたらウチの能力の一つや二つ安いもんや!」
最高の関西弁で力強く言うチイチイ。
「チイチイさん…それでこそ勇者です。では開始します」
そして桜は寝かされたケタルとチイチイの間に魔法陣を描き、呪文を放った。
ビカーーーーッ!
教会から光が漏れる。
そして、ケタルは目を覚ました。
「お兄ちゃん!良かったーー!!」
「ハーキ!ここまで来てくれてたのか!?」
ケタルが元に戻り、フットもチイチイも安心。
しかしチイチイは能力の一部が失われたのか、体が重く感じていた。
しかし一つの命を救ったのだから心は満足だった。
そして改めて3人が向かおうとしている時の事だった。
ハーキが宣言しだす。
「私もお兄ちゃんに着いて行く!」と。
「駄目だよお前は」ケタルは言うが「お兄ちゃん私がいないとまるで駄目なんだもの!どうせお兄ちゃんの事だから頓服剤二錠一辺に飲んじゃったんでしょ!?」
「うっ!」
ケタルは図星を言い当てられてしまった。
「頓服?」と初耳のフットは頭を傾げる。
「お兄ちゃんは心身症を患ってるの。そして発達障害もあって。それでもそれでも無理して頑張ってきたのよ」とハーキは言った。
「マジかよ…よく知らねえが無理してたのか?」
「無理なんて事はありませんよ勇者ですから」
ケタルは言うがハーキがそこで頼もしく突く。
「それが無理だって言ってるのよ。私も王族。将来を任されてるのに城でのんびりできるものですか!」
「おうぞく…?」理解が追いつけないままのフット。
ケタルはバレたかと言った感じに詫びた。
「すみません、身分を隠していましたが僕は実はマカロニア王国の王子だったのです」
「王子だって!??」フットはびっくり仰天。
「そして私は王女よ」その後にハーキも言う。
そしてケタルは謙遜。
「しかし畏まる必要はありませんよ。僕達は魔王討伐を共にする仲間なのですから…」
「う…とは言え今まで散々無礼を言い続けてすみませんでした…」
フットはカチコチになりながらケタルに詫びる。
「一応ウチはこの世界の創造主の娘なんやけどな…」
チイチイはこう漏らした。
それぞれ身分違いの勇者達。
フットは半ば肩身の狭い思いをしながら勇者として旅立つのだった。




