名前のない神社
ここは名前のない神社
目を覚ました私はこれが夢じゃないことを確認して引き出しを開ける
そこから日記を取り出してペンが挟んであった部分を開く
そこには私のことが書かれていた。自分でも分からないほど辛い顔をしていたようだ。
その日の夜、境内を月明かりが照らしていた。
そして初めての参拝客が訪れた。
「少し疲れちゃって」
そう彼は言った。
生前の私を思い出した。
疲れていた私に親友がかけてくれた言葉を彼に伝える
「お疲れ様」
この一言だけで私は救われた。
それは彼も同じなようで上がったその顔はとても清々しかった。
それから随分と経って昨日の参拝客には何かを私の知っている感じた。
私を気にも留めない顔彼女のを見て日記に書かれた私を思い出す。
あぁそういうことか
きっと彼女は私と同じ道を歩もうとしている。
生きて欲しいと思った。私のように死んだことを後悔してほしくなかった。
私の本心を全て伝え彼女を帰す。
ここにきた人を本当に救えたかなんて私にはわからない。
だから、たまに階段を下って下の景色を眺める。
少しだけ柔らかくなった彼女の顔を確認して神社へ戻る
そして巫女装束を羽織る。
ここは名前のない神社。悩みを持った人が訪れる少しばかり不思議なここに今日もまた参拝客が訪れる。
今日もまた参拝客が訪れる。