生きる希望のない私
これは主人公が巫女になる前のお話
目を覚すと目の前に長い階段があってその先に鳥居が立っていた
「夢…か。賽銭でもしたら何か変わるかな」
そう呟いて歩を進める。
鳥居をくぐると少し背の高い巫女さんが私に声をかけてきた。
「ここは名前のない神社。あなたのように悩みを抱えた人が訪れる少しばかり不思議な神社です。さて、あなたの悩みは?」
そんな私を優しく包み込んでくれるような優しい声に気がつくと「疲れた」とだけ呟いていた
「辛かったね」
その声に色々と我慢していたものが溢れ出して全部話してしまった。
学校でいじめられていること、父に殴られて、母に文句ばかり言われ、家に居場所がないこと、唯一私を気にかけてくれた親友も不登校になってそのまま引っ越してしまったこと、話してるだけで涙が出てきた。
「頑張ったんだね」
その一言にもっと涙が出てきた。もっとここに居たいと帰りたくないと思った。けれども現実は非情で、泣き疲れて目が覚めるといつもの天井
「あぁ…夢じゃなかったらな…」
せっかく見つけた希望がすぐに消え去ってしまった気がして完全に諦めがついた
その日の夜、学校の屋上へ侵入しフェンスに足をかける。
星空を見上げ一歩を踏み出した
これで終わったと
そう思っていたのに…
「ダメだったか…」
夢で聞いた優しい声が聞こえる、目を開けるとそこにはあのときの巫女さんが悲しそうな顔をして座っていた。
そのとき、やっと死んだことを後悔した。
「大丈夫かい?」
「え、あ、はい…」
「辛かったね」
「ごめんなさい…」
「君が謝ることじゃないさ」
「その…これからどうしたら…」
「そうだね。巫女って興味ない?」
「巫女…ですか?」
「そう、あなたみたいに悩みを持った人を救う仕事よ」
「私なんかが…」
「あなただから救えるんだ」
「えっ」
「苦しんだ人の気持ちは苦しんだ人にしかわからない。実際私もそちら側だったからここにいるんだよ」
「…やってみます」
「よしきた!」
そういうと巫女さんは私の手を引いて神社の中へ引き入れる。
「君の身長だとこれかな?少しじっとしててね」
「は、はい」
巫女さんは引き出しから巫女装束を取り出し慣れた手つきで私に着せてくれた
「うんうん。似合ってるじゃん」
「ほんとですか?」
「あぁ本当さっと、もうこんな時間か…」
時計を見るともう直ぐ日を跨ごうとしていた
「あなたは明日から巫女として働いてもらうから」
「明日からですね」
「それじゃあ私は神様に君が巫女になることを伝えてくるね」
「神様…?」
「神様もすごいこと考えるよねぇ。増えてきた自殺志願者を減らすためにこんな空間まで作っちゃったんだから」
ここにきてすごい事実を知った。まさか神様までいたなんて
「それじゃあ私は本社に帰るね」
まさかの事実二つ目ここは分社だった。だとすると他にもいくつかあるのだろうか
「色々とありがとうございました」
「構わないさ。そうだ、そこの引き出しに私が書いた日記があるから参考してね。それじゃまた」
そう言って巫女さんは光の粒子となって消えていった
私は用意されていた布団を使って一夜を明かす、これもまた夢じゃないことを願って…
苦しんだ人にしかわからない気持ち