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普通が嫌いな人へ

ここは様々な事情を抱えた人達が訪れる名前のない不思議な神社。

今日もまた1人参拝客が…

———日が沈みかけている。今日も参拝客が訪れる。


鳥居をくぐってきたのは中学生ぐらいの女子


「ようこそ」

「え、あ、こんばんわ」


そう挨拶を交わし彼女は賽銭箱まで向かう。戻ってきた彼女にもう一度声をかける


「ここは名前のない神社。悩みを抱えた人だけが訪れる少し不思議な神社です。あなたの悩みはなんですか?」

「特に取り柄のない普通な自分が嫌いで変えたいんです」

「普通、ねぇ…」

「はい」

「そう思う気持ちはわかるよ。でもさ、普通ってなんだろうね」

「それは…あれ?」

「そもそも、周りと比べようとするから普通なんて言葉がでてくるんだよね。あの子はあれができるし、あっちの子はあれができる。でも自分は?なんて考え始めたらもう止まらなくなっちゃうよね」

「…うん」

「そうだな。理科の対照実験ってやつはもう習ったかな」

「うん。ある条件を調べるために、他の条件を揃えて実験して比べるってやつだよね」

「だったら、あれができるこれができないで比べ優劣をつけるのであれば、そしてその結果に劣等感を抱くことになるならば条件を揃えなきゃならない。極端な話、魚と猿を木登りの技術で比べたとて、泳ぎの技術で比べたとて、結果は分かりきっているでしょ?」

「うん」

「あなたはあなただ、勉強ができるあの子じゃないし、運動ができるあの子でもない」

「私は私…そうですね。ありがとうございます。少し自信が出てきました」

「それならよかった」


月明かりが境内を照らすなか彼女を見送る

鳥居をくぐる彼女の顔は晴れやかだった



普通が嫌いな人へ、あなたはあなた、他の誰でもない。

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