二人の神
神殺しをなした二人、、
しかし、スリエスの口から発せられるある真実、、
そして、アイエリスとスリエスの覚悟、、
神はどちらが、、
神殺しをなした、アイエリスとスリエスに新たな「称号」が現れる、、
「、、?これは、、」
「私たちが、今まで誰もなせなかった神殺しをなしたから、現れた「称号」、、「神討英歴」。これでこの世界の唯一神が死んだことが証明され、討伐したものが新たな神になる。それを表すための「称号」よ。」
「じゃあ、、結局、誰が「称号」をつけているの?」
「、、、それはね、、「歴史」が「称号」をつけているのよ。」
「、、?「歴史」?」
「えぇ、この世界で神すらも観察対象にできるのは、「歴史」だけだから、、「歴史」ってのはね「真実」しか残さない。それが、私たちに目に見える形で表しているのが「称号」、、それが正体よ。」
「じゃあ、なんで神は「称号」を持ってなかったの?自分で名をつけた時は、きちんと「称号」として認識できてたけど。」
「、、貴方は、元王女よね?」
「えぇ、元王国第一王女よ?それがどうしたの?」
「じゃあ、それが「称号」として認識されていた?」
「いいえ?だってそれは支配者として、与えられた地位だから。それは「称号」ではないでしょ?」
「そういうこと、神は世界の支配者であり、「歴史」が管理者として定めた地位にいただけの存在。だから、神が「称号」として与えられることはなかった。だたそれだけのことよ。」
「なるほどね、、じゃあ、今、神殺しをなした。私たちが新たな支配者であり、「歴史」に選ばれた管理者ってことね。」
「えぇ、、それで、、どうする?」
「何が?」
「神は、管理者は一人で十分、、私とあなた、、どっちが神になるか、、どう決めるって聞いているの。」
「、、なるほどね、、確かに、王国も、帝国も支配してるのは、たった一人の王だけだね。じゃあ、何で決める?今、戦っても勝負はつかないでしょ?」
「、、、、」
アイエリスの問いに、スリエスは自身の覚悟を見せるかのように立ち上がる。
「、、、そう、、貴方はそこまでして、神になりたいのね。」
「えぇ、これは私の悲願であり、譲れない信念よ!!」
「、、そう、、そこまで見せられちゃあ、、やるしかないね。」
アイエリスとスリエスの間に緊張が走る、、
しかし、アイエリスから警戒の気配が消える、、
「、、っ!?どういうことよ!!アイエリス!!」
「そこまで覚悟を魅せられちゃ、、譲るしかないでしょ?さぁ、、私を殺して神になりなさい?スリエス。今度はきちんとね、、」
アイエリスはそう言いながら、スリエスに近づいていく、、
スリエスの持っていた光の剣の先が、アイエリスの胸に当たると同時に、光の剣は消失した、、
「、、無理だよ、、だって、、私はあなたに二度目の生を与えられた、、そして、、命がけで神殺しに力を貸してくれた、、そんな、友人を、、殺せない、、」
「、、甘いね、、スリエス、、自分の悲願なら無情にもならなきゃ、、」
アイエリスが言葉をかけた瞬間、、
アイエリスは自身で自身の胸を剣で貫いた、、
それを見た、スリエスは即座に手を伸ばし、アイエリスを受け止め、回復魔術をかける。
「どうして!!どうしてなの!!アイエリス!!」
「、、ぐふっ、、いいの、、これで、、私はあなたの記憶も持っている、、貴方が私の記憶を持っているように、、だから、、どれだけ願ったか、、どれだけ血涙を流したか、、誰よりも分かってる、、だから、、私が死んで、、貴方の願いが叶うなら、、私は喜んで、、死ねる、、のよ、、スリ、、エス、、」
「いや!!そんなのいやよ!!あなたがいなきゃ!!私が神になっても意味がないでしょ!!」
「、、ふふふ、、随分と変わったね、、でも、、その優しさが、、これからの「世界」に、、必要、、かも、、ね、、」
スリエスが握る、アイエリスの手から徐々に体温が無くなっていく、、
それを感じ取っているスリエスは、回復魔術をさらに強く掛ける、、
しかし、スリエスの回復も虚しく、、アイエリスの眼から光が消えかかる、、
「いや!!死なないで!!お願いよ!!アイエリス!!あなたがいなきゃ!!誰が私の隣に立つの!!お願いだから!!死なないで!!アイエリス・ガスレット!!」
スリエスがアイエリスの名前を呼ぶと、スリエスの前に一冊の本が現れる、、
「こ、、これは、、?」
「お答えしましょう。これは「全ての歴史」。この中に入っているのは、これまでの「歴史」であり、これから起こる「歴史」の全てです。」
「、、っ!?だ、、誰!?」
「私は、管理者補佐 ベルトンでございます。では、続きを、、」
「そんなことはどうでもいい!!この本で何ができるの!!アイエリスは救えるの!?」
「はい。この本では、全ての「歴史」が知れます。ですが、「歴史」の改変はできません。ある方法を除いては。」
「、、そ、、そんな、、改変はできない、、」
スリエスが絶望をしていると、ベルトンのある言葉に引っかかる。
「ある方法を除いて、、?それは、、それは何なの!?教えなさい!!管理者補佐ならば!!」
「ある方法とは、、管理者のみが使える。「改変する者」でございます。」
「わかった!!それはどう出すの!?」
「念じれば出現いたします。」
スリエスが「改変する者」を念じると、目の前に一本の万年筆が現れる。
その万年筆をスリエスは手に取り、「全ての歴史」の「アイエリス・ガスレットの死亡」に二本線を引き、「歴史」を改変した。
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この作品は不定期です。
次回が最終回とさせていただきます。