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5 聖女が3人

 水家と炎家は五聖家に対して『水家のミナモと炎家のランカの婚約』を打診したが、やはりランカが聖女の力を発動したことを理由にその申し出は保留とされた。


 そして、風家から『フウライからランカへの婚約申し込み』があった。



「フウライが?」

 父親からそのことを聞いたランカは微かに顔を強張らせた。


「それは放っておいて大丈夫だ。牽制というか保険だろう。

 王家がどう出るかだが……、実は新たな聖女も神殿から王城に通うことになった。

 王城でアカリ王女、平民出身の聖女、それにランカで聖女の勉強をするそうだ」


 炎家の当主である父親の言葉に頷くランカ。


「カレン、ブライト王子の婚約者選びが動くだろう。

 カレン、シズク、ランカ、それに新聖女。

 ランカとミナモのこと、それにフウライのこともあるから、ランカは選ばれないだろう」


「それはブライト王子が水家と風家に遠慮してということ?」

 カレンが考えながら言った。


「そうだな」


「じゃあ、風家は私とミナモを認めてくれている?」

 ランカの言葉に当主は首を振った。


「いや、たぶん、炎家の娘がふたりも王子の婚約者候補になるのを阻止したいのだろう。

 それにこの婚約が上手くいかない時に、手を挙げていたということがあれば、聖女の嫁を手に入れられるかもしれないしな」

「なんだか……、ややこしいんだね……」


 ため息をついたランカにカレンが笑って言った。


「ま、ランカは聖女としてアカリ様を支えなさい。

 平民の聖女、どんな子なのでしょうね?」



 ミナモの怪我もすっかり治り、ランカはミナモと一緒に王城へ向かった。


 サライとラッシュが笑顔で迎えてくれる。


「聞いたぞ! ミナモやったな!」

 サライがバシバシ、ミナモを叩いて祝福する。


「痛いって!」

「もううれしいんだよ! あんなにうじうじしていたミナモがはっきりランカに打ち明けたってことだろ!」


 ラッシュがランカに微笑んだ。


「ランカ、あの時は本当にありがとう。ミナモは私を庇って……」

「自分にあんな力があるなんて全然気がついていませんでしたが、ミナモを助けられて本当に良かったです。

 でも『聖女』って面倒くさそうですね……」


 ラッシュが笑った。

「ああ、アカリにはそんな風に言わないでやってくれるか。

 それでなくても聖女の仕事なんかやりたくないと言っていて、今回、仲間がふたりも増えたことに大喜びしていたから」

「そうですね。失礼しました。

 聖女は恵まれた魔法の力だというのに」

「このまま、王城内で学ぶのだろう?

 アカリとランカがその新たな聖女に会ってから、みんなでお茶会だそうだ」

「はい、アカリ様を支えるべく、頑張ります!」



 ランカが王城内の部屋に案内されると、すでにひとりの少女が来ていて窓から外を眺めていた。

 ランカが話しかけみようとした時、後ろから軽やかな足音が響いてきて抱きつかれる。


「ランカ!! よろしくね!」


 アカリが満面の笑みである。

 ラッシュよりブライトに似ているとランカは思った。

 アカリはブライトと同じ金の髪、水家出身の母親譲りの青い瞳。

 ラッシュとブライトは風家の王妃の子であるが、ラッシュは銀髪に緑の瞳である。


「ランカも聖女だったなんて、本当にうれしいわ!

 これからもどうぞよろしくね!」

「アカリ様、こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します」


 ランカが先にいた少女の方を見ると、こちらを見て少し驚いた表情をしている。

 薄い茶色のサラサラなきれいな髪。

 紫色の瞳……。

 もしかしたら、火魔法と風魔法の力もあるかもしれないな、とランカは思った。


 ランカは近づいて行き、挨拶した。


「初めまして、炎家のランカと申します。17歳です。

 こちらは光家のアカリ王女、12歳でいらっしゃいます。

 どうぞよろしくお願い致します」


「初めまして、シャーリーといいます。

 今は、王都の神殿に住んでいて、貴族院のハイリネン様が後見人をして下さっています。

 どうぞ……、その、本当に……、どうぞよろしくお願いします!」


 ランカはシャーリーの手を取って微笑んだ。

「何歳?」

「16歳です」

「ふふふ、私の方がお姉さんだ。どうぞよろしく」


 ランカのほわっとした雰囲気に、緊張と不安で強張っていたシャーリーの表情が少し緩んだ。


「私も光魔法が使えるってわかったのがつい最近でね。

 一緒に頑張ろう!!」

 ランカの空間に優しく響くような明るい声にシャーリーは頷いた。


 シャーリーとランカは聖女や光魔法の基礎的な講義をまず聞くことになり、アカリはいつもの実践的な練習をすることになった。


「アカリ様が一番先輩ね!」

 ランカが微笑みながら言うとアカリは照れたようにふふふっと笑った。


「ランカもシャーリーも早く一緒に練習できるようになってね!」

「「はい!」」


 

 シャーリーは神殿でそれなりの話を聞いてきているし、ランカも四家の姫として全く知識がないわけでもない。

 すぐに講義はおしまいになり、それぞれが光魔法をどれくらい使えるのかということになった。


 少し萎れた切り花が持ち込まれ、ふたりに手渡される。


「これを元気な状態に戻して下さい」


 シャーリーはすでに神殿でやってきているようで、何も質問することなく、手に持った花に祈ると光が発現して、切り花は生き生きとし始める。


「すごい! シャーリー!!」

 ランカは感心した。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

ブックマーク、どうもありがとうございます!

とってもうれしくなってしまい、今日はもう1話投稿しちゃいます。

これからもどうぞよろしくお願いします!

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