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36 婚約者決定!

 広間の一段高い所に作りつけられた椅子、つまり玉座があり、その脇に四家の主の椅子がある。


 その下にブライト、ラッシュ、アカリ、ローズ、そしてシャーリーが並んで座り、それに向かい合うような形で四家の子ども達が椅子に座った。


 炎家のカレン、ランカ、カエン。

 水家のシズク、ミナモ。

 風家のフウライ、フウ。

 砂家のシャムザ、サライ、サーシャ。



「ここ数日のごたごたも無事に終えることができそうだ。

 四家の協力には感謝する。

 ランカ、巡回の聖女の引継ぎをありがとう。

 その礼すら、まだ言えてなかったな」


 王の言葉にランカは少し驚いて、ぺこりと礼を返した。


 王がランカに微笑むと言葉を続けた。


「前に出されていた婚約の話だが……。

 今回新しく出されたものもあってな。ここで発表する」


 王はアラシを見た。


 風家の主アラシが書類を手に立ち上がり話し始める。


「まず、水家ミナモと炎家ランカの婚約を認める」


 ラッシュとサライが「「やった!!」」と同時に叫び、カレンがランカの手を取り「おめでとう」と言った。


「んんっ、まだ先がある、聞け」

 アラシがそう言って、静かになるのを待つ。


「次に、炎家カエンと砂家サーシャの婚約を認める」


 カエンとサーシャが見つめ合って微笑む。


「それと……、光家ラッシュと水家シズク。この婚約も認める」


 カレンが思わず立ち上がり、シズクに駆け寄り抱きつく。

「おめでとう、シズク!」

「ありがとう、カレン……、あなたも本当に自分の気持ちを考えて決めるのよ」

 シズクの言葉にカレンが頷く。


 王が立ちあがり、少し浮足立った子ども達は自分の席に戻った。


「3組の婚約が整ったこと、うれしく思う。

 めでたいことが続くな。

 ……それから、ブライト、お前は神殿に出すことにした」


「えっ?」

 ブライトが驚く。


「神殿で働き、いずれは神殿長として五聖家と聖女を支えるように……」

「……それは光家から、出されるということですか?」

「ああ、残念だが、ブライトは王よりそのような道の方が向いている。

 まあ、分家として、五聖家を支えてくれ。

 お前に娘ができれば、聖女になるであろう。私の前の代で光家の分家も途絶えて、聖女の数が……、今いる聖女達にかなりの負担を強いてしまっている……」

「……はい、それはわかりますが……」


「アカリ。アカリも聖女として光家として恥ずかしくない人生を歩んで欲しい。

 ブライトとアカリの婚姻については特に制約を設けないことにした。

 今回のことで、私は考えさせられた。

 五聖家だけで力のある血を絶やさぬように力が偏らないように図り……。

 結局、本人達の意志を無視してということは、これからの時代に合っていないのではないかと……。

 ローズ、先代のこととはいえ、お前にも辛い思いをさせて悪かったな……」


「いえ……、私は……」

 ローズが急に話を振られて謝られ、口ごもる。


 アカリが驚いた顔でローズを見た。

「どういうこと? 昔、何かあったの?」


「……それは」

 ローズが困った顔をすると、王が口を開いた。


「ローズは風家のアラシとお互いに婚約を望んでいたんだが、私が風家のヴィニーと婚約したことで……、四家のバランスを取るため……。

 本当に申し訳なかった。

 さらに、分家が途絶えたこともあり、妹のシャインとローズには聖女としてだいぶ負担をかけてしまった……」


「そんなことが……」

 カレンが呟いた。


「でも、カレンはブライト兄様と結婚できるわよね!

 私とカエンの婚約は無くなったんだし、もう制約はないんでしょ?!」

 アカリが叫んだ。


「えっ?」

 カレンがその言葉に驚く。


 ブライトが決心したように、カレンの前に進み出て言った。


「カレン……、私と共に、これからの人生、生きていってくれないだろうか?」


 カレンはさらに驚きの表情を浮かべ、そして、目を伏せた。


「自分の好きにしろ!

 家のことなど考えなくていい!」

 オウカが声をかける。


 その声に励まされるように、カレンはすっと目を上げて、立ち上がり礼をした。


「ごめんなさい。私はブライト様のことをそのようには見られません」

「……それは、もう、王子ではないからか?」

「いえ、そんなことは……。

 少し前まで、私はブライト様をお支えするのだと、考えていましたが……。

 今回のことで、しっかり自分自身の心と向き合いました。

 私は、私は……」


 カレンが横を向いた。

 シャムザと目が合う。


「……私は」

 カレンが黙ってしまう。


 シャムザが立ち上がり、ブライトの横に並んだ。


 カレンとシャムザが見つめ合う。


「シャムザ、あなたは……、私をそう、見てはいない、の?」

 カレンが泣きそうな表情で、震える声で言った。


 シャムザがブライトを見た。ブライトは驚いている。

 シャムザは一度目を閉じてから開くと、カレンに向き合い、その手を取る。


「カレン、私と結婚して欲しい」


 カレンは涙ぐみながら微笑む。

「ええ、喜んで! お受けします!」


 ブライトは黙って自分の席に戻った。


 王が声を上げた。

「砂家シャムザと炎家カレンの婚約と結婚を私は認める。

 四家とも異存はないな?」


 アラシとサーベイとスイレンが拍手し、オウカも少し遅れて拍手をした。


「オウカ! 炎家は一気に片付いたな!」

 スイレンの言葉にオウカは言った。

「水家も砂家も同じだろが?! あ、フウライは?」


 みんながフウライを見たので、フウライは居心地悪そうに言った。


「私はどうでも……、自分の相手くらい、自分で探しますよ」


 シャーリーがそんなフウライを見つめている。

 フウライもシャーリーの視線に気がつき、見返した。


「ま、フウライは自分でちゃんと見つけそうだな」

 王はその様子を見て呟いた。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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