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30 全員集合!

 ローズは王城に到着し客間に通された。


 入室してびっくりする。

 オウカとスイレン、それに炎家の子ども達、カレン、ランカ、カエンの3人がいたからだ。


「どうして、ここに?!」


 オウカが笑った。

「王城に四家がいちゃ、おかしいか?」

「だって、自主的な登城禁止とかって?

 あ、それよりも気になることが!

 神殿でシャーリーの両親と弟がいなくなったと聞いたのだけれど、何か知らない?」


 スイレンとオウカが顔を見合わせて笑った。


「何?!」


 ローズがイライラして言う。


「すまん、わけあってこちらで保護している」

 スイレンの言葉にオウカが付け足す。

「シャーリーにとって、人質に取られてたわけだったからな」

「人質?」

「シャーリーは神殿長と貴族のハイリネンとやらに、五聖家の仲を引っ掻き回すようにとか、ブライトの妃になって四家に食い込めとか言われてたそうだぞ」


 ローズはあっけにとられる。


「え? それって、反逆罪に近い……」


「ま、だいぶまだるっこしいやり方だけどな。

 おかげで今、この王城ではブライト王子とアカリ王女が廃嫡されるかもしれない瀬戸際だ。

 それを阻止するべく、シャーリーの家族を保護して、こうして乗り込んできたってわけさ」


「じゃあ、他の子ども達は……」


 スイレンが答えた。

「もう、ブライト王子やアカリ王女と対面する頃だろう。

 フウライが話を聞けるようテラスに案内してくれる手はずになっている」

「では、私も御一緒しても?」

「ああ、一緒に見届けて頂けるとありがたい」


 その時、ドアがノックされミナモが顔をのぞかせた。


「こちらに! ローズ様も?」

 ミナモが驚くが、スイレンの「御一緒されるそうだ」との言葉に頷いた。


 ミナモの案内で、1階の食堂の庭に面したテラスの陰の席に案内される。

 すでに王が待機していた。

 食堂の窓やテラスへの扉は開け放たれていて、姿は見えないが声は良く聞こえる。


 食堂に入室するミナモの声が聞こえた。


「遅くなってすまない。お茶を頼んできた」


 お茶を給仕する音が響いてきた。

 使用人達が退出した。


「ブライト、いったい何が起こっていたのか、ブライトの言葉で聞かせてくれないか?」

 フウライの声が聞こえた。


「そう責めないでくれ」

「責めてないよ。

 ブライトが努力をしていたことは、シャムザやカレンから聞いた」

「カレンから?」

「できるだけ公平に聞き取りをしようとしたんだろ」

「……それをカレンが?」

「ああ、そう言っていた。

 聞き取りをすることはわかる。

 それにどちらにも肩入れしないように公平にということもな。

 でも、その後の……、対応がよくわからない。

 自分でもきちんと思い返して話してくれないか」


 沈黙……。


「……アカリが炎家は登城禁止だと叫んで……。

 それから、シャーリーとアカリから、炎家がしたこと聞いた。

 信じられない内容だったが、筋は通っていて、もしかしたら、そんなことがありえたのかもと……。

 調べたかったが、フウライやラッシュは不在で……。

 シャムザは……、ひとりで忙しそうで……。

 とりあえず、アカリを宥めた方が早いかと、シャーリーとふたりでアカリを宥めるというか、アカリの世話を……」


「そうか……、それは大変だったな……。

 私は帰ってくるなり、何が起きているか調べたよ。

 そこで、少し前から起きていた五聖家に対する陰謀というか……、それに気がついて、昨夜、四家の主にも協力してもらい、聖女シャーリーの家族を保護することができた。

 シャーリー、これで本当のことが話せるね?」


「……はい」

「シャーリー?」

 ブライトの訝しげな声が響いた。


「私は聖女の力があると神殿に保護され、家族と離れました。

 神殿長が貴族ハイリネンを紹介し、私の家族を彼が保護すると伝えられました。

 保護する代わりに……、王城に上がることになるから、王子の妃になれるように振舞うことを命じられました。

 四家以外の娘が妃になることで、五聖家の結束を乱すことが目的です」


「えっ? だから、私に近づいた?」

 ブライトの悲痛な声が響いた。


「ごめんなさい。ブライト様。

 私はその命令で、動いていました……。

 そして聖女として活動する中で、アカリ様が……、我儘な気質で、聖女の仕事を嫌がっていて努力が足りないこと、聖女として力があり王城の人々に慕われているランカ様に対して複雑な気持ちを抱いていることに気づき……。

 アカリ様の気持ちを煽るようなことを言い、ランカ様とカレン様を……攻撃するような……。

 本当にごめんなさい。

 その……、家族が人質にされてるだけじゃなかったの。

 私も、ランカ様の聖女の素質や力に嫉妬していて……、より、悪質な……。

 ランカ様、カレン様に謝りたいし、巻き込んでしまったブライト様とアカリ様にも謝りたい!!

 申し訳ありませんっ! ごめんなさいっ!」


 カレンがランカの背に手を当てた。

 ランカが頷く。

 ふたりがそっと立ち上がると、カエンも立ち上がり、3人でテラスの開け放たれた扉から食堂に入って行った。


 ブライトが「カレン……」と呟き、シャーリーが涙を流した瞳でランカを見た。


「シャーリー、わかりました。

 私はあなたを許します。辛かったわね。

 アカリ様、私達の登城禁止はもう無効ということでよろしいですね?」


 カレンの言葉にアカリは叫んだ。


「はい! ごめんなさいっ!」

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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